2015-01-09


東京地裁において判決公判が行われ、少年2人に対して、懲役3 - 5年の不定期実刑が下された。

判決理由を述べあげた後、山室惠裁判長が被告人2人に対し「唐突だが、君たちはさだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか」と切り出し、「この歌のせめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が人の心を打たないか分かるだろう」と説諭を行った。

裁判官が具体的に唄の題名を述べて被告を諭すことは異例のことであり、『償い説諭』はマスコミに取り上げられ話題となった。

さだまさしは新聞社の取材に対して、「法律で心を裁くには限界がある。今回、実刑判決で決着がついたのではなく、心の部分の反省を促したのではないでしょうか」とコメントしたうえで、「この歌の若者は命がけで謝罪したんです。人の命を奪ったことに対する誠実な謝罪こそ大切。裁判長はそのことを2人に訴えたかったのでは」と述べた。さだまさし「償い」は、実話に基づくもので、その歌詞は心を打つ。



作詞・作曲 さだまさし 「償い」


月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに

必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった

仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと

飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ

たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ

配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に

ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた

人殺し あんたを許さないと 彼をののしった

被害者の奥さんの涙の足元で

彼はひたすら大声で泣き乍ら

だ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった

何もかも忘れて 働いて 働いて・・・

償いきれるはずもないが せめてもと

毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た

しゃくりあげ乍ら 彼は一通の手紙を抱きしめていた

それは事件から数えてようやく七年目に初めて

あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました

だから どうぞ送金はやめて下さい

あなたの文字を見る度に

主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど

それよりどうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

手紙の中身はどうでもよかった それよりも

償いきれるはずもない あの人から

返事が来たのが ありがたくて ありがたくて

ありがたくて ありがたくて ありがたくて・・・

神様って 思わず僕は叫んでいた

彼は許されたと思っていいのですか

来月も郵便局へ通うはずのやさしい人を許してくれて ありがとう

人間って哀しいね だってみんなやさしい

それが傷つけあって かばいあって

何だかもらい泣きの涙が とまらなくて

とまらなくて とまらなくて とまらなくて・・・