食堂かたつむり   小川糸
 もう読んだからいいやとページをめくっていた。レシピのような、料理心得のようなもの、料理の仕方をちらっと見て、もう一度読み直そうと思った。
 人のために料理ができる人はすごいと思う。私が献立を考えるときにまず自分が料理の本を見て「これ美味しそう」と思うものを選ぶ。その次に作り方が簡単なものを選ぶ。そして材料が手に入るものを選ぶ。
 なのにこの主人公は面接をして、どんなものが食べたいかを見抜き、野山から材料を調達し、肉などは吟味をして生産者から直接買ったりする。
 最後は自分が飼っていた豚を料理するのだけどもその根底にあるものは「豚に愛する愛情」か?ほんとの持ち主の(母親)への愛情か・・・
てるてるのあした   加納朋子
 これは主人公の自分探しの物語だと思う。この本も、友人から送られてきたものだ。彼女推薦の本には(梨木香歩さんの本もそうだが)摩訶不思議な存在が登場する。
 物語の町「佐佐良」には不思議なことが起こる。そしていい人がいる。主人公は高校生で、その成長物語でもある。
 面白くて一気に読んでしまった。読まないと編み物もできない。そんな状態だった。
 
この2冊はどこか似通っている。主人公の年齢も違うし場所の設定も違う。母親に対する心が同じなのかな。母親を嫌っていた主人公が、母親から認めてもらう、愛されていたと気づく物語かなー。
 
 私の母親は今は施設にいて、寝たきりで、私が行ってもわからない(耳は聞こえるらしいのでわかっているかもしれないがそれを表せない)。若いときは母のような人になりたいと思っていた(一つを除いて…それは整理整頓能力の欠如)。料理も上手だし、手先も器用でなんでも手作りしていた。
ぜんざいが食べたいと思えば、小豆から煮て作る人だった。その小豆も畑に植えて収穫したものだ。
 わかめも海に採りに行き、ところてんも天草から煮て作る。つくしや蕗は山に採りに行く。大阪にいた私の所に土筆、蕗、筍、季節によっては海藻(天草や、いぎす)を送ってくれた。
 和服も自分で縫うし、娘3人の洋服は洋裁学校へ行って習い、縫ってくれた。
 障子の張り替えも年末に糊を作って一人でとりかかっていた(手伝った時もあったけれど)。
 娘の離婚のときは裁判所まで出かけていきその手続きを教えてもらってくる。
 42歳の時に車の免許を取り、孫5人の面倒を見た。私の子供は大阪にいたけれど、おたふくかぜや、麻疹、風疹の時は今治と大阪を往復し、一人(長男)が治れば連れてきて、次にうつった弟をまた連れ帰るという離れ業もしてくれた(保育所では預かってくれない。長期に休めない核家族は子供が病気になると本当に困った。)
 私は、母親っ子だったのだと思う。
 倫子も照代も(2冊の主人公)、本当は母親が大好きだった。自分探しと、母親探しをしていたのだ。
 
 とりあえず友人から借りた本は読んだぞーと思ったらまた1冊出てきた。
 マイマイ新子 高木のぶ子 うたい文句が「日本版赤毛のアン」となっている。カナダのアンを超えられるか…・