梨木香歩
村田エフエンディ滞土録
 とうとう読み終えた。私的には時間をかけてゆっくりと読んだ。行きつ戻りつ…
トルコという地名にも懐かしさを覚え、挿絵を見て「アーこれ知ってるとこ」…誰が挿絵を描いたんだろうと探してみるにも見つからず、梨木さんが書いたんだろうか?疑問符のままだ。
ギリシャ、ペルシャ、トルコなどを漢字で書いているから初めは戸惑った。何回も前のページで振り仮名を探した。終り頃は読めるようになったが、ふーん、明治時代はこんな字を書いていたんだ…埃及で、エジプト。希蠟(虫へんでなく月へんなのだけどパソコンでは見つからないので)、ギリシャ。波斯で、ペルシャ。
 トルコの発掘、町のその辺にも古代の遺物が残っている…確かトロイの遺跡ではまだまだ手つかずの所があったなー…村田の下宿もそんな所に在るらしい。犬や狐の置物が夜中に走り回るというのも梨木さんの世界だ。
村田が日本に帰ってからの物語の展開、特に最後の所は何回読んでも心に残る。
 梨木ファンの友人から借りた最後の梨木本だ。「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」という言葉が頻繁に出てくる。実際にはそんなに出てこないかもしれないけど、どこか根底にその言葉がページのあちこちに潜んでいることを感じさせられる。
 
 ところで、梨木さんは赤毛のアンの作者をあまり好きではないのかなー。「ぐるりのこと」の著書の中にそんなことを書いてたように思う。私は梨木さんも、赤毛のアンも同類であると思う。モンゴメリーの著書と「アー同じだ」と思ったことがたくさんある。「西の魔女」から始まって、最後はこの「滞土録」まで読んでもそう思う。
 
この本は、夫も読んだので、感想など話し合うことができた。梨木さんの小説の運び、博学さなども話しの材料になった。要するに我が家を熱中させた本なのだった。
 
 次は「食堂カタツムリ」をもう一度読むつもりだ。梨木本を送ってきた友人がまた送ってくれた本だ。さらっと読んで終わりと思っていたのにまたページを開いてしまった。「うん?!これはもう一度読んでみよう」と思わされたから・・・・