綿の種を取っている。この後どうしよう。紡いで糸にして何か織物でも・・・と思い立ち、糸車を出した。
本棚の上に置いていた糸車はホコリだらけだったのできれいに拭いた。
友人のセーターを編む予定だったのだが、どうもひとつ色が足りない。青い原毛を紡いで足そうと思った。
青がある方がいい。この冬、綿とこの青の原毛を紡いでいこうと決めた。
糸車の横に段ボールの箱があったのであけてみると・・・
編みかけのものが出てきた。ストール、ベスト、帽子など、6点。
「えー、こんなの編んでたかなー」
「編み方忘れた」
どうしようもなく忘れているものと、これはまだ覚えている、編み図もあるから編めるというもの、これはだれかに聞いたらわかるもの、と分けていく。
あけたくなかったこの箱。
これから箱を開けるときは用心しよう。何が出てくるかわからない。パンドラの箱は「希望」が残ったが、私の箱は「失望」と「ショック」「しんどさ」が残った
ショックだったのは、「これ私が編んでたの?」いくら思い出してもその記憶が戻ってこなかった。そのこと。こうも忘れることができるんだと驚いた。そして、編み方の分かるものは仕上げなきゃというしんどさ・・あーあ。開けなければずっと忘れたままだったのに、こういうものは開けてはいけないんだ。あーあー。