長年行きたいと思ってきた庭園美術館へでかけた。庵治石で有名なところにある石の美術館と思っていたが思っていた以上にいいところで、イサム・ノグチの芸術作品(石だけでなく)に触れることができ、満足感でいっぱい。心満たされる旅になった。
明かり
大阪で照明器具のギャラリーで出会った和風の照明。あんな明かりで暮らしたいと思っていた。それがだれの作品か分かったのは10数年前。丸亀の美術館で一生・三宅とイサム・ノグチの美術展だった。あの明かりのデザインはイサム・ノグチの作品なんだ!「この近くに彼の石の美術館があります」と知らされたのが「行きたい」気持ちの始まりだった。
庵治石
毎年牡蠣のおいしいころになると友人たちが「鎌倉」に行こう・・・という。よく調べると高松の東側にその牡蠣の食べ放題の場所があるらしい。では牡蠣の食べ放題へと出かけた
帰り道、石屋さんがたくさんあった。へーここは石の産地なんだと案内板を見ると庵治石で有名な牟礼と言うところだった。確か、この辺に石の博物館があるはず、イサム・ノグチのミュージアムがあるはずと探したがわからず仕方ないので昔修学旅行で行ったことのある屋島に登って空しく帰った。「行けなかったのよ、悔しかった、残念だった」と友人たちの集まりで話していると、
幅広い交際関係を持つ高校時代の友人が「イサム・ノグチ!そこなら案内してあげるよ」という。
それから2年
日程を調整して4人の高校時代の友人を誘いやっと行くことができた。
 
彼のポリシー
アトリエ、住居、作品群を見学するにつれ、心打たれるものがあった。アトリエ(作業場?)とその周りの未完の作品群、完成度の高い作品などたくさん残されて自由に見ることができる。
作品を置いてある家屋は愛媛県の宇和町から移築されたもので、初めに作品ありき、あとからそれを置く家屋を建てたという感じだったらしい。作品は「世界平和」を願う気持ちを表すものだった。
住居も見学できた。芸術家の住まいらしく、庭に置いてある石の作品(?)も立てた当初から計算された場所にあり、居間で座って見ると緑(竹やカキの木)も大きな額縁に収めた絵を見るようだった。おちてくる雨だれさえ効果があった。彼の遺志は「教育と慈善」で、それを引き継いだ「財団」もそれを守っているので見学の仕方もほかの美術館と違うのだ。行ってみて初めて分かったのは見学が申込制で前もって葉書で連絡をしなければならないことだった。(きっと友人がそうしてくれてたんだろう)。案内の人もグループごとに着いてくれて、足もとの悪い日だったので、それぞれに長靴と雨傘を用意してくれていた。
作品は石だけでなく鉄を使ったものもあった。粘土のものもあった。明かりは竹と和紙だし頭から「石だけの美術館」と考えていた私には驚きだった。
図録にはイサム・ノグチの写真もあった。穏やかないい表情で写っていた。
石の不思議
石は表面の色と、内部の色、磨き上げた色、削る(はつる)とまた色が違う。それぞれ表情が違う。その違った表情で作品が生まれる。おもしろいとおもった。
雨に当たるとまた違った色に見える。備前焼を使う時に「ぬらして使う」とよく聞くが、石も濡れた方がいいかもしれない。もし私たちが晴れの日に来ていたらまた、違った感想を持ったに違いないと思う。