「これで作ればGoogleで上位に入るCMS」をSaaSでも

http://www.atmarkit.co.jp/news/201004/27/xi.html

4月27日19時51分配信 @ITの記事

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、「CMS(コンテンツマネジメントシステム)の開発・販売を手掛けるジゾンは4月27日、同社の企業向けCMS製品「HeartCore」のラインナップを拡充」し、「同等の機能をSaaSで提供する「HeartCore ホスティングEdition」を2011年にラインナップに加え」ますよって内容

「ジゾン」のHP
 ↓
http://www.xyxon.co.jp/

「HeartCore」についてのプレスリリース
 ↓
http://www.xyxon.co.jp/file.jsp?id=2931&version=verB

「「HeartCore」は英国のベンダ、アズブル(Asbru)社が開発した製品で、2002年から「Asbru Web Content Management(以下、WCM)」という名称で販売されている。」

とあり、元は英国ベンダーの製品らしい、

「アズブル(Asbru)社」のHP
※全て英文なので、翻訳機能を持っているブラウザで見てください。
 ↓
http://www.asbrusoft.com/

それを2005年に「CMSベンダのエグザクソンが日本向けにローカライズし、「HeartCore」の名称で提供」とある。

「2009年6月設立のジゾンは、このエグザクソンから「HeartCore」の販売権を取得。」

とある。

「ローカライズ」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://e-words.jp/w/E383ADE383BCE382ABE383A9E382A4E382BA.html

そのジゾンが販売権を獲得した先のエグザクソンを完全子会社化して、サポート専任とし、販売戦略を一手に担う事となったと記事にある。
販売戦略を集中すつ事で、国内でのCRM市場を一気に推し進め、先行するセールスフォースなどを追撃する体制になっていると思われる。
ジゾン代表取締役社長 神野純孝氏は次のように解説。

「HeartCoreはWCMの単なるローカライズ版ではなく、日本企業のニーズを汲み取り、各種機能を追加した“英国生まれ、日本育ち”というべき製品だ。ベースとなったWCMは、NASAをはじめシーメンス、ボーイングなど、グローバルでは2800社が導入。国内ではカシオ、日立製作所、読売新聞など、100社に採用されており、すでに優れた実績を挙げている。この導入効果を今後、中小企業も含めたより多くの企業に提案していきたい」

要は、元になった英国製品WCMのローカライズ版ではなく、日本企業のニーズにあった、商品であると述べている、
また、元になったWCMも世界大手企業に導入されていたりしており、2800社が導入してるとある。
国内でも各大手企業も同社の「HeartCore」を導入しているようで、100社が採用されていると言う。
※ただ、全体と言うのではなく一部部署かもしれないが。

HeartCoreは、以下、4つを基本機能としている。

(1) Webコンテンツの編集・管理などを行う「コンテンツ管理機能」
(2) ショッピングカート機能など、Eコマース運営に必要な機能をまとめた「コマース機能」
(3) ブログやSNS、Twitter運営に必要な機能をそろえた「コミュニティ機能」
(4) アクセス統計分析やSEO対策などの機能を持つ「マーケティング機能」


それぞれの機能もかなり充実しており、非常にCRMとしては、魅力的な製品である事は確かなようだ。

また、同社の「HeartCore」には、3つの特徴があるのも非常に注目すべきものである。

「1つは“Microsoft Officeの感覚でコンテンツ編集ができる”使い勝手の良さだ。Webブラウザで表示されるHeartCoreの編集画面に、WordやExcelなどOffice製品で作った情報を取り込み、自在に加工できるという。」

通常、HPを作るには、HP作成ツールの操作やHTMLやCSSなどの知識が必要である。
そのために、ややHP作成に二の足を踏み、ホスティングやドメインを取得したのは、いいがなかなかHPを作成しないとか、HPを外注で依頼するなどがある。当然、外注になると時間も費用も掛かり、馬鹿にならない。
そんなやや敷居の高い、HP作成をWordやExcelで作ったものを取り込んで、自在に加工できると言う機能は、非常に一般受けし易いのではないかと思う。実際、ちょっとしたHPを作るのに何時間も掛けて作るより、手馴れたWordやExcelで作って、取り込みWeb公開する簡単な利点は大きなポイントである。

「2つ目は「全自動SEO機能」。HeartCoreで作成したWebサイトは「何もしなくても、自動的にSEO対策がなされ、どんなキーワードでも、Yahoo!やGoogleといった検索サイトの30位以内に高確率で入る」という。」

今、Webサイト作成後に必要不可欠となっているのが、SEO対策と言うのがある。
これが全自動で出来るのは、非常に嬉しい。
どうしても当該機能は、これも外注せずにいられないもので、対策内容も様々で素人には解り難い。
それを有名検索サイトで上位30位以内に入るようにしてくれるというのだから同社のCRMが持つ、機能はポイントが高い。

「SEO」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://e-words.jp/w/SEO.html

「 3つ目はユーザーが最初に到達するページを最適化する「LPO(Landing Page Optimization)機能」だ。例えば一般消費者が「メーカー名」と「製品名」の2つのキーワードで検索した際、検索結果としてメーカーサイトのトップページのURLが表示されることがある。しかしこの機能を使えば、その検索結果をクリックしても、トップページではなく、その製品の紹介ページを最初に表示させることができる。」

これも便利機能であり、Webサイト構築して、顧客誘導で非常な便利な機能である。
マーケティングを行う場合、どのように対応していくのか非常に重要なことは、顧客誘導であるので同機能は、Webサイト運用では重要なものであるとも言える。

「LPO」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://e-words.jp/w/LPO.html

このように同社のCRM「HeartCore」は、有効な機能が実装されておりなかなか魅力的な製品となっている。
また、外国製品のローカライズだけではない日本企業ニーズまで包含したものという事なので、その動向もしくは戦略次第では、セールスフォース独走状態のCRM市場に何かしらの変動を与えるかもしれない。

ただ、SaaS展開は、もう少し後のようで、2011年とあるので、ちょっと出遅れ感が否めない。

「今後はクラウド化のトレンドに対応して、「HeartCore ホスティングEdition」を2011年度から提供開始。HeartCoreと同じ機能をSaaSでも提供する。」

また、販売戦略では以下の様に他との競合部分も多く、市場攻略が今後、どうするのかがポイントになってくるかとも思う。

「「すでにホスティングサービスやSaaS事業を展開しており、そこにCMSサービスも加えたいと考えているISP(インターネット・サービス・プロバイダ)」や、グループ各社の情報インフラを一元管理している大企業などを想定しているという。」

ただ、CRM市場の見解が以下の様に述べられているのは、非常に興味深い。

「確かに現在、飛び抜けた製品はほとんどない。加えて、CMS利用企業の9割が手組みシステムを使っており、残り10%のシェアを多数のベンダで食い合っている状況だ。しかしWebサイトが企業にとって重要な意味を持つようになった現在、Webサイトのきめ細かな管理・運営や、CMSに対するニーズは確実に高まり続けている。言ってみれば、現在はERPの黎明期と似ているのではないか。すなわち、パッケージ製品市場の規模は今後確実に拡大すると見込んでおり、その中で優位性を発揮していく」

要するに、CRM市場と言ってもまだ、CRM導入の全体10%に過ぎず、それを各社が奪い合ってる状況であり、9割近くが自前サーバと手組みシステムであると言う訳だが、その多くの手組みシステム市場も、そのうちWebサイトの普及と相俟って、SaaS市場に移行していくだろうという事である。
ただ、最後に、ERP黎明期と同じで同社は、パッケージ製品市場としてCRMまだ捉えていると考えられ、SaaSへの軸足を順次、移動というわけでもなさそうだ。

とは言え、このようにパッケージ製品販売を主体としているベンダー企業においてもSaaSを確実に意識しておかなくてはならない時代だという事なのだろう。実際、セールスフォースを既にCRM市場で1位を獲得しており、その販売実績とビジネスモデルは、ほとんど固まっているといえるだろう。

同社の社長は、以下の様に述べている。

「現在、HeartCoreは国内CMS市場の中で約2割のシェアを獲得している。」

さて、このシェア獲得約2割とあるが、SaaSへの展開が鍵を握ると思うのだが、パッケージ販売との社内でのバッティングもあり、スムーズに販売できるのか、社内でのコンセンサスは素早く得られるのかが、焦点でもある。

従来のパッケージ販売メーカーは、そのようなジレンマに陥っている傾向にあ今あるのかも知れない。
イノベーションのジレンマ」と言う言葉があるが、いかに素早く、同業界のビジネスモデルの流動性を見極められるかが、大きなポイントになると思われる今、クラウド・コンピューティングとの接点は、どこも無視できない状況にあるのだろう。

IT開発者は、その流れをしっかりとアンテナを立て情報を収集しておかないと(何度も言うが)、いけない時代になっている。