現代は「タイパ」の時代などといいますが、私は空に浮かぶ雲をいつまでも心静かに追い続けているだけで満足で、先日などはいつも「アハハ」と笑っている『ちびまる子ちゃん』の山田くんの涙を流す姿を拝見し、つられて目頭を熱くしておりました。
さて、「きどにたてかけし衣食住」という言葉があります。
これは、出会ったかたと雑談をするときのキーワードになる話題の頭文字を並べたものです。無難な話題をもとに会話を弾ませつつ気持ちを寄せ合う機会は、日常生活において少なからずあります。これを意識しておいて、損はないのかもしれません。
その逆バージョンは「政宗の皿」というそうで、政(政治)、宗(宗教)、の(プロ野球の贔屓球団)、皿(サラリー、収入)とのこと。まあ、関西では「なんぼやねん? いくらもらってはんの?」というおカネの話題はスルッと出てくることもありますが(「スルッとKANSAI」だけに……💦)。
その「政宗の皿」の筆頭にある政治の話ですが、昨今ご自身の支持政党や政治的な主義主張、政権や特定の党派に対する批判など、SNSを中心に、見ず知らずの匿名アカウントから、リアルでよく見知ったひとに至るまで、老若男女問わず積極的に発信されるかたが、実に増えてきたように私には感じられます。
そのたびに不思議な心地というか、ある種のすがすがしさと危うさが私の心に生まれます。ことに、対面で政治の話をしてくださるひとには「このひとは私を信頼して、本音をお話ししてくださっているんだな」「このひとがこんな切っ先鋭い一面をお持ちだなんて気づかなかったな」というそれぞれの思いがその都度湧き上がってきます。
ふむふむとお話をお伺いをする一方で、私は家族以外のかたに、そういう話を開陳することは極力控えています。相手のお気持ちに要らぬ波風を立てたくないからです。
以前こんなことがありました。
少し前のことですが、私はお誘いを受けて、ジャーナリストとして著名な櫻井よしこさんの講演会に参加させていただいたのです。
後日あるかたと話していて、何かの話題の折に「そういえば、こないだ櫻井よしこさんの講演会に行ってきたんやわ」と私が話を振ったところ……。それまで穏やかだった空気が急に張り詰めたような感じがするや「あっ……。○○さんって、そっち側の人なんや……」って。
「そっち側って何やねん」と思いました。話の内容にまったく触れていないのに。
急速に気持ちが萎えてしまって、今まで会話が弾んでいたのが噓のように、話が終わってしまいました。そして、このひととはもうあまり話をしたくないな、と思ってしまったのです。あれだけ心を開き合った仲だったのにな……。
政治の話題を第三者に持ちかけるのは、私には今でもハイリスクに感じられます。さまざまな物事に関して、自分なりの視点や意見を持つことはとても大事なのに、最近はその意見の根拠ではなく、結局のところこいつはこちら側(味方)なのか、あちら側(敵)なのか、そう認定されるツールに使われているような気がしてなりません。
ご承知のとおり、7月20日に参議院議員選挙が行われました。もちろん私も1票を投じました。総務省によると、この選挙の選挙区の投票率は58.51%で、3年前の選挙に比べて6.5%も増加したとのことです。それだけ今回の選挙は衆目を集めたのですね。
□ 『自公 議席大幅減』改選過半数割れ 参院選 首相続投の意向(7月21日付日本経済新聞朝刊1面)
□ 『首相続投「党派」超え協議』 自公大敗、過半数割れ 衆参で少数与党に(7月22日付同朝刊1面)
結局のところ、予想されたとおりの展開に着地したといえるのかもしれません。しかしこの先、与野党問わず離合集散の動きが活発化するのは必至で、私たちの政治談議を楽しめる局面が続きそうには思います。まさに「昨日の敵は今日の友」ですね。
そういった動きにより、私たちの生活にどう影響が及んでくるのでしょう。「読み専」らしく、飛び交う情報を取捨選択しながら、私は今後も心静かに考えてまいります。

