5月27日にドラクエの新作情報が6つ発表された。
私はスマホゲー、ドラクエ12、9もしくはキャラバンハートのリメイク、カミュマヤモンスターズの情報が来るのではないか?と予想した。

結果は皆さんの知っての通りである。

そこで今回は何が当たり、何が外れたか、発表を受けて私がどう感じたかを書こう。

  • 1.ドラゴンクエスト けしケシ!

予想通りのスマホゲー。ゲームジャンルは「パズルゲーム」。
正直言って誰得感は拭えないが、暇つぶしには丁度良さそうなお手軽ゲーの雰囲気は感じられる。
見た目のかわいらしさなどから、ちびっ子や若い女性など新規ユーザーを取り入れる狙いもあるのだろう。
意外とクオリティに富んだ意欲作なのかもしれない。

  • 2-3.ドラゴンクエスト10  天星の英雄たち &オフライン版

ドラクエ10未プレイ勢の私にとって、注目すべきはオフライン版だろうか。
私自身がそうだが、オンラインゲームである事を理由に敬遠していたユーザーに向けて製作されるらしい。
最大の特徴はミニキャラ風の等身となっていること。
ほぼ同時期に発表されたポケモンのリメイクソフト「ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」も似たような等身であったため、「ダイパ等身」と比喩し、困惑する声も聞かれる。

まぁ、これはこれでありかな?と私は思う。

  • 4.ドラゴンクエストⅢ HD-2D版

ドラクエ3のリメイクに関しては実のところ予想はしていた。
というのも数年前に制作サイドで「ドラクエⅢのリメイクをするか、新作タイトルを作るか」で議論が交わされ、結果的に11(もしくは12)を作るべきである、という結論が下された、という話を耳にしていたからだ。だが、あのグラフィックは予想外だった。

そのグラフィックとはSFC版のゲーム画面をより美麗に、より立体的に作り直したという様なもので、PS4版の11のようなグラフィックとは異なる。

ドット絵の空気感、雰囲気、懐かしさを残すことで古参のユーザー、新しいユーザーを幅広く取り入れる狙いがあるようだ。
映像をご覧になった人の中にはお気づきの方も多いだろうが、グラフィックはswitch用ソフト「オクトパストラベラー」と酷似している。
実際、今回のリメイク版のプロデューサーを担当するのは、「オクトパストラベラー」でアシスタントプロデューサーを務めた早坂将昭氏である。

なぜ1からではなく、3からリメイクするのかという問いに堀井氏は「3が一番思い入れがあるから」と答えている。
この事から同作の売り上げが良好であった場合、1と2のHD-2D版も出すものと予想される。

しかしそれは同時に9のリメイクが後回しにされかねない、という事態も意味しているが.....。

  • 5.ドラゴンクエスト トレジャーズ

待望の新作モンスターズの情報!と思いきや、まさかのお宝探しゲーム。しかも家庭用ゲームと言っていたのに発売プラットフォームは未定という衝撃の発表。
プロデューサーの犬塚氏いわく紆余曲折の末に完全新規コンテンツとして製作されるらしい。また、堀井氏曰く「モンスターズではない」らしいので、全く別種のゲームと見ていいだろう。
2018年の発表から今年で3年目。今か今かと待ち望んだモンスターズファンにとってこの発表は失望の二文字であったに違いない。
モンスターズの情報を心より待ち望んでいた私も大変ガッカリしたし、この場で言わせてもらうと「ふざけるな」という話である。

犬塚氏はお茶を濁すように説明していたが、要するに企画自体が頓挫した。しかし鳥山氏の新規デザインは無駄にはできない。そこで、新しい企画を立てて、そのゲームの主人公に採用したという所だろう。
堀井氏は「モンスターズは別の担当が開発を進めている」と言っていたが具体的な情報は一切示されなかった。そもそもこの体たらくだとそのモンスターズとやらも完成するかは怪しいものである。無事完成してもスマホゲーというオチが待ってそうだし。

  • 6.ドラゴンクエスト12 選ばれし運命の炎

ドラクエ12が製作されるという話はかねてから耳にしていたし、今回発表されるであろう事はほぼ確実と読んでいたので予想通りである。
もっとも発表された明確な情報がタイトルだけというのは肩透かし感もあるが。
堀井氏によれば「ダークで大人向けな雰囲気になり、いろいろな選択肢を迫られ、生きかたを決めるゲームになる」「シリーズ伝統のコマンドバトルが一新される」とのこと。
どの程度反映されるかも分からないし、9のように途中でゲームデザインが変更される可能性もある。あくまで初期の構想と見るべきだろう。
だが、言葉通りに「 ダークで大人向けな雰囲気で、色んな選択肢を迫られ生き方を決めるドラクエ」になるとしたら、一体どんな内容になるのか?

大雑把ながら予想してみよう。

  • ドラクエの伝統とマンネリ

これまでのドラクエは特別な血を引く主人公が悪の魔王を倒し、伝説の勇者として讃えられるというファンタジーの王道、 勧善懲悪を基本としていた。

プレイヤーはどのような選択をしても常に善であり、不法侵入をしようと、壺を割ろうと、女湯を覗こうと、泥棒をしようと咎められる事はない。どのようにプレイしても勇者は正しくあり続ける。それ以外の生き方など存在しないように。見えざる神の手によって勇者の生き方は固定化されている。

それは誤解を恐れずにいえばご都合主義の極致であると言える。

勇者こそが絶対善であり、魔王こそが絶対悪であるというドラクエ特有の世界観もシリーズの長期化に伴いマンネリズムの様相を呈しつつある。

 

それを打破しようという試みこそが「ダークで大人向けなドラクエ」なのではないか。

例えばプレイヤーの選択次第では伝説の勇者にも、世を脅かす悪の魔王にもなりえる

そんなマルチエンド方式を採用するのかもしれない。

コマンドバトルがどのように一新されるかについてはまるで見当がつかないので、そのあたりの予想は後日に取っておこう。

  • すぎやま氏の進退問題

もう一つ気になるのは作曲家すぎやまこういち氏の進退だろう。
すぎやま氏は今年で90歳。間違いなく世界最高齢のゲーム作曲家である。そんな彼だが、12でも作曲を担当するのだろうか?

まず、すぎやま氏は12の製作発表にお祝いコメントを寄せており、そこで「僕の音楽に心を動かされた聴き手がいらっしゃる限りはがんばりたいと思っています」と述べている。
この事からすぎやま氏が作曲に関わることは確実だろう。
しかしすぎやま氏と言えども、肉体的には90歳のお爺ちゃんである。いくら十分な作曲能力を備えていたとしても体力的な問題もあるだろうし、事実、最新タイトルの11では曲の使い回しが異様に多かった。多すぎて自分はガッカリした。
この問題は言うまでもなく、すぎやま氏一人に全ての曲を作らせようとしている事に起因している。

そもそも作曲の分業化も行わず、新たな作曲家を登用することもなく、高齢のすぎやま氏に全ての曲を作らせているという状況が異常であると言える。
その点ではファイナルファンタジーは10以降に多人数による作曲体制を取っているし、クロノトリガーは新人をメインコンポーザーに据えてその脇をベテラン作曲家で固めるという体制を取っている。その結果生まれた音楽がゲームファンからどのような評価を受けたかは言うまでもない。
これは見習うべき前例ではないだろうか?

では何故こんな事になっているのか。
まず第一にすぎやま氏がドラクエ音楽をライフワークと捉え、作曲に意欲的であること。また、堀井氏ら製作サイドも長年の付き合いから勇退もしくは多人数作曲体制を進言することを憚っていると考えられる。
我々ドラクエファンの間でも「すぎやま音楽なくしてドラクエはあり得ない」という教条主義的、保守的な考えが蔓延しており、製作サイドもそうした空気を読んでいるのかも知れない。
だがその結果が曲の使い回しのオンパレード、マンネリに繋がるのであれば本末転倒ではないだろうか。
また、仮にドラクエ12で全曲新しく作りました!となっても、すぎやま氏の作曲者としての寿命は長くはない。よほどの楽観論者でもない限りは製作サイドもこの問題を真剣に考えているはずである。

私の考える最も妥当な方法は「すぎやま氏をメインコンポーザーに据えて、多様な作曲家を登用した上での作曲分業体制」である。
そうすれば楽曲の使い回しによるマンネリを解消することができるし、ドラクエに新たな息吹を吹き込むことができる。何よりいずれ迎えるであろうすぎやま氏亡き後の後進の育成と登用にも繋がる。
製作サイドとしては様々な問題を一挙に解決できるアイデアのはずである。もっとも実現するかどうかは正直むずかしいとは思うが。

  • 実現されなかったドラクエ9のリメイク
ドラクエ9のリメイク発表がなかったのはかなり意外だった。
しかも「製作中」とも「作る予定がある」とも言及されなかった。まあ「作らない」とも言ってないが。扱いとしては影も形もないモンスターズ以下と言える。あれだけの好材料を揃えながらなぜリメイクされないのか。堀井氏にその気がないのか?ドラクエⅢ HD-2D版の制作も堀井氏の鶴の一声から始まってるっぽいし。これだけリメイクする理由があるのに!とか、まず3より9だろ!とか、ロト三部作はもう充分リメイクしただろ!とかどれだけまっとうな異論が噴出しようが、堀井氏がその気にならない限りは無理なのかも知れない。神の意思は絶対なのである。