とある土砂降りの日だったと思う。


いつも通りの朝、

いつも通りの真っ暗闇迎えるはずだった。


“つまらない毎日”

心の中ではいつもそう思っていた。

その日も確かにつまらなかった。


日に日に増える体の傷。

そんなことはもう慣れっこだ。

誰かに殴られることなんて、

誰かに蹴られることなんて、

誰かに暴言を吐かれることなんて、

もう慣れっこだった。


その日も兄はいつもと変わらなかった。

憂さ晴らしに私を“利用”するのだ。

いつからか兄の前では笑わなくなった。

笑えなくなったと言った方が正しいのかもしれない。


『今日はどんなことをされるのだろう』

そんな事に怯える毎日だった。

そう、その時も。

私の心の中で“助け”を求める反面、“諦め”があった。


“どうせ誰も助けてはくれやしない”


だがついに、“諦め”が勝る日がやってきたのだ。

たまたま兄からの暴力がクリーンヒットしたのだ。


パ リ ー ン ………


土砂降りで周りの音はザーザーと聞こえていたはずなのに

その音だけは確かに聞こえた気がしたんだ。