最近はあまり小説は読まないが、好きな作家は村上春樹と星新一である。村上春樹の作品は大学時代にはまり、過去作品を1から読み漁っていた。特に短編集が好きで「神の子どもたちはみな踊る」、「パン屋再襲撃」、「象の消滅」、「カンガルー日和」「螢・納屋を焼く」などは今でもたまに読み返すくらい好きだ。

 

最近、めくらやなぎと眠る女が映画化されて注文が集まっており、私としても非常に鑑賞したいが、私の住んでいる地域の映画館では上映されておらず、残念である。鑑賞できる地域に遠出した際には是非鑑賞したいと思っている。

 

さて、村上春樹に関しては本とは関係ないが、少し思い出がある。大学時代に友人が所属していた学生団体で無人島に3泊4日する企画があり、私は参加側で参加していた。その時同じグループだったメンバーとは今でも親交があるくらい仲が深まった思い出である。

 

そのメンバーの一人である主催者側として参加していた女性Aは背が低く、可愛らしい容姿と何事にも一生懸命な姿が印象的で参加者やスタッフからの人気が高かった。個人的にも恋愛感情ではないが、人間として凄く好感を持っていた。

 

社会人になってからは我々はグループ同士で交流が続いており、Aの職場のカフェ兼雑貨屋にみんなで行ったり、お酒を飲んだりしていた。そんな中で、Aが実家である鹿児島に帰るという話を聞いた。なんでもメンタルを崩してしまったとのこと。

 

ひょんなことから、実家へ帰る前に一緒に二人でランチをすることになった。新宿駅のパスタmamaで確か私はトマトとエビのクリームパスタを食べた気がする。彼女が何を食べたかは覚えていない。別れ際に私は、村上春樹の中で一番好きな「カンガルー日和」を渡して、これは好きな本だから貸してあげる。でも大切な本だから、必ず返してほしいと伝えた。彼女は理解した表情で何も言わずにハグをしてくれて我々は別れた。

 

それきり彼女には一度も会っていない。一度、他のメンバーと一緒に彼女の実家がある鹿児島に旅行に行く計画があったが、当時私は仕事をし始めたばかりで有給がとれず、参加しなかった。今となっては旅行に行かなかったことを非常に後悔している。

 

今日、図書館に行って、村上春樹の本を借りたらふとそんなことを思い出した。