野の花賛歌 -4ページ目

野の花賛歌

 沖縄で見ることの出来る 南方系の植物を中心に 野生の草花や花木

 帰化植物、時には沖縄に集中する米軍基地などについて 


父の日というので
恒例の植木市へ出かけた
市に来ると毎回新しい植物に出会えてワクワクする

前日の夕方に訪ねたら 縄が張られて本日は終了とのこと
それでも一回り
見たこともない花木を見つけた

オオバナホルトノキの花によく似ているので翌日も見に行った

父の日は日曜日
元の職場に植えたオオバナホルトノキを見に行くと
峠は過ぎているものの残り花がちらほら咲いていて・・・

オオバナホルトノキを撮った帰りだったので
興味も一入 早速撮影


珍しい花の木には
南国スズランなんて名札が付いていた ???






ハイナンホルトノキ


鉢植えにされた木は1.5mほどの高さ
樹高も高いが 値も高い 8000円 では手が出ない

オオバナホルトノキで画像検索すると
此花も出てきた ????

通販では オオバナホルトノキ  として扱っているようだ
属を頼りに検索を深めると 本種にたどり着いた
全て外国のhpである





花弁の先が細かく深裂



さらに検索を重ねると 中国のhpにヒットした




ハイナンホルトノキ
漢名:水石榕(水柳樹)
英名: Hainan Elaeocarpus.
學名:. Elaeocarpus hainanensis Oliver.
     ホルトノキ科 ホルトノキ属
原產地:中国南部(海南島)・ベトナム・インドシナ


和名や英名は種小名のhainanensis(海南島産の)に由来する




下垂する総状花序に群れて咲く






樹高4~5mまでなるとされオオバナホルトノキに比べるとかなり小さい





萼の形や長さはオオバナホルトノキとほぼ同じ





葉:狭長楕円形 10~20cm長 1.5~3cm幅 鋭頭 楔脚 微鋸歯縁
枝先の葉腋から15~20cmの総状花序を下垂して緑黄白色の花をつける
花はオオバナホルトノキとほぼ同大  花弁の先は細く深裂

*オオバナホルトノキと見誤ることはほとんど無い




オオバナホルトノキ




オオバナホルトノキとの最初の出会いは
20数年前に出かけたバリであった







花は下を向いて咲き紅色の萼と純白の花弁が美しい



オオバナホルトノキ
 Elaeocarpus grandiflorus Smith

ホルトノキ科 ホルトノキ属
 原産地:中国 インド 東南アジア

樹高23~30m

和名は種小名の grandiflorus(大きい花)による



今はどうだか知らないが 当時は実にゆったりした時のながれであった
道ばたの 大きな木の下の出店には
20~30kg大のパラミツが無造作に転がされていたので
車を降りた 
一抱えもある果実はジャック・フルーツの名に恥じない重さであった




下からはなの中をのぞいてみた



その果実のそばに飾られていた 花

何の花?

と訪ねると ○△□・・・
後ろの大きな木を指して これがそうだ という

一生懸命種子を探して持ち帰り播種したら
4本発芽した

直径40~60cm 高さ30mにもなる木を
庭に植えておくことも出来ず
職場に持ち込んで植えることにした






4~5年前から花が咲いたとの連絡があったのだが・・・

昨日訪ねてみると
咲いていました
久しぶりに見る花は やはり美しく優雅である



 



* 日本におけるオオバナホルトノキの開花株は極めて少ない

県内でも海洋博記念公園とこの撮影株の数本だけである

そのためか 後日up予定のElaeocarpus hainanensis
との誤認が多いので測定データを記す


測定データ

葉:倒被針形 両面無毛 8~15cm長 3~5cm幅 葉柄10mm内外 
  鋭頭 楔脚 全縁 中録は下面に凸出

花:  総状花序 小花柄は30mm内外 花冠は径20~25mm 
   花弁は倒卵形20mm内外  先は細かく深裂
   萼は狭被針形赤紅色 14~20mm長 4mm幅











ハナソウカ(宜野座村)2011.6




那覇の東方390kmの洋上に南北両大東島があり
沖縄本島とは水深6000~7000mの
琉球海溝によって隔てられています

島を乗せている大東海嶺は約3000万年前の漸新生には
およそ1000kmも南にあったとされています

それが「ひょっこりひょうたん島」よろしく環礁を成長させながら北進
 して 260万年前に現在の位置にたどり着いたと言われています

その大東島に島の人がソウカと呼んでいる
得体の知れないゲットウがあります

琉球植物目録ではタイリンゲットウAlpinia uraiensisとしていますが
Alpinia uraiensisで検索すると大東産のゲットウとは全く別の種にヒットします






タイリンゲットウAlpinia uraiensis



近の研究の結果 大東島・八丈島・小笠原産のゲットウは
タイリンゲットウ(ウライゲットウ)とゲットウspの雑種?
である変種として

和名をハナソウカ(小笠原の地方名)
学名を Alpinia zerumbet var. excelsa Funak.&T.Y.Ito
と名付けられました


ソウカ(大東島と八丈島の地方名)という名は
このゲットウの草丈が高くサトウキビの結束に使われるからで
漢字を当てると 束荷・花束荷 となります

けっして 話そうか?ではありません

いずれにしても解りにくい名です
せっかく  excelsa(高いの意)としたのですら
背高月桃(セイタカゲットウ)のほうがしっくりするのでは・・・


だいぶ前置きが長くなってしいまいましたが

今回は混乱している大東島産のゲットウ(ハナソウカ)について
ゲットウとハナソウカを比較した画像を中心にupしました


まずは金武町における画像の比較です




ハナソウカ 2013.6

全体に赤みを帯びています




ゲットウ 2013 6


色ぬけした感じ




次は 同じ日に宜野座村で撮影した画像




ハナソウカ 2013 6




ゲットウ 2013 6



3番目は読谷村での撮影です





ハナソウカ 2013. 6


蕾の先端に注意して下さい

ハナソウカは鋭く尖ります




ゲットウ 2013. 6




金武町のハナソウカとゲットウで花の大きさを比較してみると


ハナソウカの方が一回り大きいことがわかります





左ゲットウ 右ハナソウカ


上の画像の唇弁を比較しました






唇弁表 左ゲットウ 右ハナソウカ





唇弁裏 左ゲットウ 右ハナソウカ



若い果実の比較です





タイリンゲットウ(ウライゲットウ) 2008. 7  東南植物楽園

ハナソウカの雄親(花粉)とされています

溝が不明瞭で毛が多い





ハナソウカ  2013. 6

溝や毛が両者の中間形



ゲットウ  2013 6

溝がはっきりしています





ハナソウカにはアロマオイルや香料として使用する精油含量が
ゲットウの約2.5倍もあるとかで
最近では沖縄島でも栽培が行われるようになりました

来沖の際思いだしていただければうれしいです

沖縄には前回upのゲットウ・キフゲットウや今回のハナソウカの他に
野生のものとして
クマタケラン・アオノクマタケラン・イリオモテクマタケラン・クマタケゲットウ
があります

次回はこの4種についてupします

















普通に見られるゲットウの花



梅雨の時期になると
ゲットウやクマタケラン・アオノクマタケランが
競うように咲き始めます
香りはゲットウが一番強く次いでクマタケラン
アオノクマタケランには殆ど香りがありません
どちらも餅を包むカーシャとして使われています







草丈は2mほど



ゲットウ(月桃)
Alpinia zerumbet
ショウガ科
ハナミョウガ属





             生活に密着 家の近くでよく見られます





                     油彩F20



花期は5月~6月

              

                    
                           咲き始め





舟形をした包につつまれた蕾



秋になると黄色に色づきはじめ 晩秋には紅色に熟します







6月末 まだ青い果実





         この後灰色となって中から沢山の種子が出ます



ゲットウの葉には香りがあり
一般の家庭ではムーチーカーシャや食べ物の香り付け
肉や魚を包んで蒸し焼きにするのに使います
また企業ではゲットウ油を活用していろいろな製品を
開発販売しています








キフゲットウ

                
                  キフゲットウ

Alpinia zerumbet 'Variegata'

観葉植物として栽培される


カーシャ(葉)ムーチー(鬼餅)

 旧暦12月8日はムーチー(鬼餅)の日
(子供の無病息災を祈願する行事で沖縄諸島で
広く行われている)
この日にムーチーを食すると1年間健康に過ごせるとの
言い伝えがあります
「どこの家でも子供達の役割は野や日当たりの良い山裾で
ゲットウの葉の採集でした
家に帰ると 家族総出で餅を作りゲットウの葉に包んで
蒸していました

葉を蒸すとゲットウの香が餅に移ります

できあがった餅は子供の年齢に会わせてはしご状に連ねて
軒下につるし時に応じて食べていました」
そういう風景も今では少なくなり
スーパーで買うことが多くなりました


また 鬼餅<ウニムーチー>の伝説と言うのがあります






             兄妹が住んでいたとされる岩屋(金城町)




「昔、首里の金城村(現那覇市首里金城町)に
兄妹が住んでいました
ところが兄は、人を食う鬼になってしまいました
その兄をゲットウの葉に包んだ餅を利用して退治した」
と言う話です

詳しくは ムーチー(鬼餅)伝説 で検索下さい


 

画像はクリック拡大




アブラギリ



五月下旬から六月上旬にかけて

桐でない桐が咲きそろいます

あるものは華やかに

そしてあるものは隠れるようにひっそり

沖縄には他府県で言うノウゼンカズラ科の桐はなく

それよりも大型のタイワンキりが

僅かに栽培されているだけです

桐でない桐にはいろいろありますが

今回は種子から油が採れる桐のupです







アブラギリ


この株は一昨年の台風で途中から折れてしまいました





   アブラギリ(油桐)

Vernicia cordata

トウダイグサ科  アブラギリ属

中国原産

 種子から採れる油を桐油といい

家具の塗料や油紙の材料として使われました








雄花は純白色で桜より大きく枝一杯に咲きます







雌花は乳白色で目立ちません




カントンアブラギリ(広東油桐)

Vernicia montana

トウダイグサ科   アブラギリ属

中国原産





花の大きさや形・色などアブラギリと殆ど同じ


アブラギリは葉の縁が3にカントンアブラギリは5に深裂

4/28撮影10日ほど早かった


 種子を絞ると桐油が採れ、印刷や防水

艶出し、塗料に使われます


 





シナアブラギリ


シナアブラギリ(オオアブラギリ)


 Aleurites fordii
 

 トウダイグサ科 アブラギリ属

中国原産






シナアブラギリの葉の縁は切れ込みがありません


種子から採れる油は

アブラギリやカントンアブラギリと同じように

家具の塗料などに使われます



この株も一昨年の台風被害を受けて

今年は開花しませんでした








                   タイワンアブラギリ

緑色の花は小さく控えめ




ナンヨウアブラギリ(タイワンアブラギリ)(南洋油桐)

Jatropha curcas

トウダイグサ科   ナンヨウアブラギリ属

中南米原産




 





果実は楕円形をしています



種子から採れる油は

バイオディーゼル原料として注目され

沖縄県の宮古島でも栽培が始まりました









 テッポウユリ
   Lilium longiflorum
   ユリ科 ユリ属



気象異変の性なのだろうか

テッポウユリとツワブキが咲いていたり






うるま市 海中道路6月1日 





うるま市海中道路 6月1日





一株に72輪の花が咲いた テッポウユリ

草丈が2mにもなったテッポウユリ など

新聞で紹介され話題となった

こうなると 

歩く姿は百合の花の形容は当てはまらなくなる

 都々逸で言う

 立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花

の百合が知りたくて

検索するとテッポウユリの画像が出てきた 


 
作られた時代を考えると

原産地が琉球列島であるテッポウユリとは考えにくい

ヤマユリorササユリではと思っている・
・・











本部町 5月20日








恩納村 万座毛  20105月13日






糸満市 平和の
礎 2011 4月28日


平和の礎

沖縄戦などで亡くなられたすべての人々の氏名を刻んだ記念碑









那覇市首里金城町 2011 5月3日








ayumuの庭 2012 4月25日








こんな所にも 粟国島 2010 3月19日








 粟国島 2010 3月20日



百合はしとやかな方が良い








リュウキュウイチゴ


リュウキュウイチゴ(シマアワイチゴ)
Rubus grayanus Maxim.

バラ科 キイチゴ属

 分布は九州(大隈半島)~沖縄


三寒四温 厳しい(?)寒さも和らぐ2月

山原(やんばる=沖縄本島北部の森林地帯を意味することが多い)の

山は色とりどりに新芽が萌えて春の訪れとなる



花は下向きに咲く



木漏れ陽の射す林道沿いで

下向きに咲く可憐な白い花

リュウキュウイチゴの花である




すこ~しはやい




果実は花が散ると次第に膨らんで

燈黄色に色づいて甘くなる




食べ頃か





絵にしました 油彩SM




食べ頃は4月末から5月




完熟 酸味のある甘さ


琉球列島のイチゴのなかで

リュウキュウイチゴが一番美味い



近頃は競争率が高くなったので




ツワブキの葉に一杯




どっさり 味わうことは少なくなってきた






コウトウシュウカイドウ



沖縄は若夏となり梅雨に入りました。
雨に濡れて咲くゲットウやクマタケラン・アオノクマタケラン・
イジュなど競い合うように咲いています。





すくっと立つ花茎が特徴のコウトウシュウカイドウ






ayumuの庭にはコウトウシュウカイドウ・マルヤマシュウカイドウ・
シュウカイドウ・シキサキベゴニアのベゴニア4種がある。
コウトウシュウカイドウやマルヤマシュウカイドウは30数年前 
西表島と与那国島から持ち帰ったもの
当時は絶滅危惧などの指定もなく個体数も多かった。


シュウカイドウは長野から送ってもらった
シキサキベゴニアはいつの間にか入り込んできた






歪んだハート形の大きな葉をしたコウトウシュウカイドウ





コウトウシュウカイドウ
 Begonia fenisis Merr.
シュウカイドウ科



葉柄が長いのが特徴  葉身は左右不揃いで
全体としては歪んだハート形をしている

石垣島や西表島では森林内の渓流沿いに生えるとされているが
与那国島ではかんかん照りつける岸壁にも生えている

ayumuの庭でも日差しの強いところでよく繁っている
生け花師匠の隣の奥さんは
小さくてかわいいツワブキですね(花のない時)と褒めてくれた
ツワブキと間違えられるほどの勢いで育っている

石垣島と西表島、与那国島に自生
国外では台湾の蘭嶼とフィリピンに分布している。






葉の切れ込みが特徴のマルヤマシュウカイドウ





マルヤマシュウカイドウ
Begonia formosana (Hayata) Masam.   
   シュウカイドウ科


コウトウシュウカイドウに比べ
みずみずしくて柔らかい

葉の縁には粗く大きい鋸歯があるので
コウトウシュウカイドウと簡単に見分けることが出来る

自生地では水のかかるようなところに生えているので
コウトウシュウカイドウに比べると栽培は難しい





シュウカイドウ





シュウカイドウ
Begonia grandis
シュウカイドウ科



シュウカイドウの名は 中国名「秋海棠」の音読みで
原産地は中国からマレー半島   

江戸時代初期に日本に持ち込また馴染みのある花で  芭蕉は

  秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり

と詠んだ

 海棠とかくけれど沖縄では5~6月に咲く

九州以北で野生化し帰化植物として扱われ
白い花の咲くシロバナシュウカイドウもあるという

沖縄には野化したものが無いので情報不足です
いろいろ教えていただけると 感謝デス!







いつの間にか入り込んだシキサキベゴニア




シキザキベゴニア
 Begonia semperflorens
シュウカイドウ科


 熱帯~亜熱帯地方の原種の掛け合わせによって作られた種で、
花の色や大きさなどの異なる いろいろな栽培品種がある

学校の花壇や公園などに植えられているのは
殆どがこの種である

写真は古いタイプのもので
県内の彼方此方に野生化している





人里近くの林縁で見かけるシキサキベゴニア




今流行の品種とはチョット違う やぼったさとたくましさがある






ヒオウギ





ヒオウギ
Iris domestica
アヤメ科

従来はヒオウギ属、2005年になってDNA解析の結果

アヤメ属に編入されました。

檜扇(ひおうぎ)の種子を、射干玉(ぬばたま)といい


ぬばたまの 夜の更けゆけば
 
久木生ふる 清き川原に千鳥しば鳴く
                            
           万葉集 925・山部赤人


などと古くから歌に詠まれています。


ヒオウギ






ヒメヒオウギの種子

射干玉(ぬばたま)とまではいかないのですが

ヒメヒオウギの種子もなかなかなものです




たちまち広がった


種子は発芽力が強いので野生化状態で広がります






ヒメヒオウギ
アヤメ科
Anomatheca laxa (=Lapeirousia laxa)






南アフリカ ケープ地方・南アフリカ地方原産

朱色をした花皮の底には

紅色斑紋のアクセントが付いたものがおおいのですが






白色や藤色などの品種もあり、











なかには斑紋がつかない純白の品種もあります









ヒメヒオウギズイセン



ヒメヒオウギズイセン  
アヤメ科
 Crocosmia x crocosmiiflora



アヤメ科のヒオウギズイセンとヒメトウショウブの交配種

モントブレチアとも呼ばれています

わが国へは明治時代の中頃に渡来しました




グラジオラス





花が咲いてないときの草姿は

グラジオラスによく似ていて

繁殖力もグラジオラスに負けないほど旺盛です



社会

社会

粟国島で野生化しているグラジオラス









粟国島は

台風銀座といわれる沖縄でも

有数の風所



社会

野生化したグラジオラス






在来型のパパイア





社会


台風の通路になっているので

屋根は低く

屋敷囲いはがっちり




鞘会

家屋は


珊瑚礁石灰岩の石囲い

と 

台風にも動じない

福木(フクギ)

によって守られています






鞘会

福木の屋敷林に守られた

バナナ・石桶・赤瓦は

典型的な島の風景で

上下水道が整備されてないころは

雨水溜めに石桶も活躍してました




鞘会


絵にしてみました(油彩p50号)




岩場に咲く

シママンネングサ(ハママンネングサ)







社会


モンパノキは高さ3~5m

この群落は天然記念物指定

くるっと巻いた葉はリュウゼツラン




社会

ニラバラン

こう見えても一人前の地生欄です







テリハノイバラ



沖縄

咲き方には個体差が





沖縄


サイヨウシャジン


粟国島には希少種の

ヤマコンニャク産しますが

今回はかくにんできませんでした