広島市安佐北区やまもと歯科医院です。
最近ようやく朝晩含めて過ごしやすい気温になってきましたね。個人的に寒いのが苦手なので、暖かくなってきて少しテンションも上がってきてきます(笑)
さて今回は少し独特な歯の形について紹介しようかなと思います。
皆さん、歯の形は多少個人差はあっても大体みんな同じものだと思っていませんか。実は歯は少し独特な形で生えてくることが稀にあるため、知らないと生えてきた時に少し驚かれるかもしれません。色々ある歯の形の中でも、今回は見て明らかに分かる「結節」というものに焦点を当てて話していきます。
歯の結節とはこぶのような少し出っ張った突起のことを指します。
歯の結節の主なものとしては、切歯結節・犬歯結節(棘突起)、カラベリー結節、臼旁結節、臼歯結節、プロトスタイリッド、中心結節があります。
↓噛む面からみた歯の名称(上が大人の歯、下が子供の歯)



↓結節のイメージ

結節自体はただそういう形の歯だというだけで、特に何も悪さをすることはありません。通常より歯の形が複雑になるため、歯と結節の境目が虫歯になりやすく、そこの歯磨きを注意してやるのと、定期的にその部分が虫歯になっていないかチェックすることが大切になります。
ただし、上記の結節の中でも特に中心結節については注意する必要があります。
中心結節は下顎5に最も多く、発生頻度は1%強と言われています。
中心結節は図のように噛む面の中央に突起があるのですが、しばしばこの突起の中に神経の一部が入り込んでいることがあります。そのため噛んだ拍子にこの突起が根元から折れてしまうと、神経の一部が外に露出してしまいます。外に露出する部分自体は小さいため、折れた直後は軽い冷水痛(冷たいものでしみる症状)ぐらいしかありませんし、歯の形は正常のため特に何ともないと思うかもしれません。
しかし、結節が折れた状態をそのまま放置しておくと神経に細菌感染が起こり、自発痛(何もしなくてもズキズキ痛む)や歯茎が腫れる、押さえると痛い、膿が出てくるといった症状が出てくることがあります。そこまで症状が進行すると神経を取る処置が必要になります。
対策としては、高さが高く噛むと折れそうな中心結節があることが分かった時点で、その中心結節の周囲を覆うような感じで白いプラスチックの材料を詰めて結節が折れるのを防ぐという方法があります。また、中心結節の高さによっては神経が露出しない程度に少しずつ慎重に結節を削っていくという方法もあります。
いずれにしても高さが高く噛むと折れそうな中心結節がある場合は、それが折れる前に予防処置が必要になってきます。
そしてそれらの処置は歯が生えた直後に行うのが最も効果的ですので、歯の生え変わりの時期には定期的に歯科医院に検診に来られることをお勧めします。
(参考文献)
小児歯科学(医歯薬出版株式会社)
臨床根管解剖(ヒョーロン)