2日目の宿が決まり、
肩の荷が下り、仮眠をとる僕たち。
この後待ち受けている出来事を
想像すらしていませんでした。
けんちゃんと2人で寝袋にくるまって仮眠をとっているとき、
僕は早めに目が覚めて、携帯を見つめていました。
あの方々との出会いを思い出していたのです。
そう、昼間、長命寺で出会った、Fさん、Wさん、Kさんのことです。
Fさんの言葉「もし、宿が見つからなかったら、連絡しておいで!」
本当にうれしい言葉でした。
(ありがとうございます。おかげで宿が見つかりました。)
そうだ、けんちゃんが起きたら、Fさんに、宿が決まったことを報告しよう!
そういったことを考えながら携帯を見ていた時でした。
何かドアの外で物音がします。
F.Y.さんが言っていた時間までは、まだ余裕があります。
何だろう???
そう思っていると、次の瞬間でした。
ガラガラ・・・
音を立ててドアが開きました!!
僕は、驚いて、瞬時に背筋を伸ばして、
入口の方を向きました。
すると、そこに立っていたのは・・・
さっき、F.Y.さんと一緒にいた、F.Y.さんのお父さんでした。
僕は、とっさにけんちゃんを叩いて起こしました。
けんちゃんは「何?」と言って目をこすっていましたが、
僕の視線の方向を見て、状況を理解したようでした。(笑)
名前はF.Z.さん。僕は少しほっとしました。
でも、どうしたんだろう?
そう思っていると・・
「おっちゃんにも、旅の話聞かしてくれや」
F.Z.さんは、両手に持った缶ビールを少し上に持ち上げながら
そう言いました。
恰好を見ると、お風呂上りだということが容易に想像できました。
「はい!!(もちろんです!!)」
僕たちはそう言って、寝袋を隅に移動させて
スペースを作りました。
そして、隅に置かれていたテーブルを中心に置き、
F.Z.さんを招きました。
手に持っていたビールを机の上に置き、
「ビール飲めるんやろ??」
と僕たちを見つめました。
僕は、本当のことを言うと、
ビールの美味しさというものを
まだ理解できない未熟者でした。
自宅で、練習をしたことがあったのですが、
コップ一杯飲みほすのが一苦労といったありさま。。
そして、けんちゃんも、隣でひきつった顔を見れば、
すぐに分かりました。笑
ただ、僕たちのことを受け入れ、
一緒にお酒を飲もうと言ってくれたことが
本当にうれしくて、ここは無理をしてでも飲もう、
いや、飲みたい、という気持ちになりました。
それでも、缶一本飲むのは未知の領域だったので
正直に
「僕たち、まだビールの美味しさが分からないんです(笑)。
だから2人で一本を分けて頂きます。」
と伝えました。
するとF.Z.さんは
「そうか」
と言って、部屋に置かれていたプラスチックコップに
ビールを注いで分けてくれました。
F.Z.さんは缶のままです。
乾杯をして、「いただきます。」
そう言って、一口飲みました。
やっぱり、苦くて、ゴクゴクとはいけなかったけど、
この時飲んだビールの味は忘れられないだろうな、
と思いました。
F.Z.さんとは
しばらくお話をさせてもらいました。
僕たちが何を思って旅を始めたのか、
そして僕たちがどんな人間であるのか、
それら全てが伝わったのかは分かりませんが、
お酒を飲みながら、男ばかりで
ゆっくり話をするのは、やっぱりいいな、と思います。
僕は大好きです。笑
最後に、
「そしたら、わしはもう行くから。
ゆっくりしていきや!!」
そう言って、F.Z.さんが立ち上がりました。
「ありがとうございました。」
そう言って、F.Z.さんを見送りました。
2人になると、けんちゃんと
「ビールはしんどかったけど、本間に嬉しいな」
と、話をしました。
そして、けんちゃんに
「昼間、長命寺で出会ったFさんに連絡しよか!」
そう言って携帯を取り出しました。
僕は、電話が苦手で、
いつも緊張してしまうので、
けんちゃんにかけてもらおうか、とも考えましたが、
頑張ってかけよう、と自分に言い聞かせ、
頂いた名刺を見ながら、電話をかけます。
初めての番号をプッシュする時の
何とも言えない緊張感を感じながら、
通話ボタンを押しました。
何回かのコールの後、
「もしもし」
という声が聞こえました。
はっとして
僕も「もしもし」と言いました。
続けて「今日の昼間に長命寺でお会いした森永ですが、、、」
そう言うと、
「森永くん!こんばんは。」
「こんばんは!今日の宿なんですけど、
無事見つかりました!!」
「そうですか。良かったですねー。今はどこにいるの?」
「彦根市の新海町っていうところです。新しい海と書いて・・・」
「そうねんですね。良かったです。ホッとしました。
稲刈り手伝ってもらいたかったんですけど、残念です。」
「ありがとうございます。僕たちも是非お手伝いしたかったです。」
「また、近くに来たときは連絡してくださいね。」
「はい、ありがとうございます。お願いします。」
「それでは、旅頑張ってね!」
「ありがとうございます。失礼します。」
そう言って電話を切りました。
本当にいい人だな、とけんちゃんと
しばらく話していました。
僕たちの旅に賛同してくれ、
連絡先まで教えて頂きました。
僕たちはこのつながりを大切にしようと
話しました。
そして、ここまで2日間で本当にたくさんの方と出会うことができました。
一期一会の出会いばかりで、
僕たちの宝物になっています。
大切にしていこう、とけんちゃんと
何度もつぶやきました。
旅の素晴らしさを感じることができ、
余韻に浸る僕たち。
机の上の飲みかけのビールが
さっきまでの出来事が現実だと
証明してくれていました。
そして、この後いよいよ
「宴会」が開かれます!
「宴会」のもようは次回です!!
続く
(続き は近日公開)