作詞 不詳
作曲 スコットランド民謡
ほたるの光、窓(まど)の雪。
書(ふみ)よむ月日、重ねつつ。
いつしか年も、すぎの戸を、
明けてぞ、けさは、別れゆく。
とまるも行くも、限りとて、
かたみに思う、ちよろずの、
心のはしを、一言(ひとこと)に、
さきくとばかり、歌うなり。
第二次大戦後、以下の歌詞は学校では教えません。
筑紫(つくし)のきわみ、みちのおく、
海山(うみやま)とおく、へだつとも、
その真心(まごころ)は、へだてなく、
ひとつに尽くせ、国のため。
千島(ちしま)のおくも、沖縄(おきなわ)も、
八洲(やしま)のうちの、守りなり。
至らんくにに、いさお しく。
つとめよ わがせ、つつがなく。
歌詞(解説)
○蛍の光 窓の雪
これは、灯油も買えなかった苦学生が蛍を捕まえてその光を利用したり、窓から差し込む雪の照り返しを利用したりして夜も勉強をし、その人は立派な役人になったという中国の有名な故事を元にした歌詞です。「蛍雪の功(けいせつのこう)」という言葉としても残っています。
○書読む月日 重ねつつ
前の歌詞を受けて、そんな苦労をしながら書物を読む日々を重ねながらという意味です。
○いつしか年も すぎの戸を
これはそのままなのですが、「すぎの戸を」の「すぎ」は「過ぎ」と「杉」の掛け言葉です。ですから、「いつの間にか年月が過ぎ、杉の戸を」と訳すのがいいでしょう。
○開けてぞ今朝は 別れゆく
これはそのままです。「杉の戸を開けて今朝はクラスメートと別れていく」という意味です。
○とまるも行くも 限りとて
「とまる」はここではその土地にとどまること、「行く」はその土地から別の土地に出て行くことを表します。また、「とまるも行くも」は「者」が省略されていると考えられるので、「ふるさとに残る者も出て行く者も」と訳すのがいいでしょう。
○互みに思う 千万の
「互み」は「互いに」という意味です。「別れる人々がそれぞれ抱くたくさんの思い」という感じでしょうか。
○心のはしを ひとことに
前の歌詞と合わせて、「たくさんの思いの端々を一言にまとめて」という感じです。
○幸くとばかり 歌うなり
「幸く」は「無事で」という意味です。これも前の歌詞と合わせて、「たくさんの思いを無事でという一言にまとめて歌うのである」という感じです。
○筑紫のきわみ 陸の奥
「筑紫」は九州の事、「陸の奥」は「みちのく」、つまり東北の事です。どちらも中心から遠く離れた土地の例として挙げられています。
○海山遠く へだつとも
これはそのまま、「海や山が遠く隔てても」という意味です。
○その真心は へだてなく
これもそのままです。前の歌詞を受けて「その真心はどんなに遠く離れた場所であろうとも隔たることなく」という意味です。
○ひとえに尽くせ 国のため
「ひとえに」は「ただひたすらに」ということ。「国のため」は当然「日本国のために」ということです。戦前に生まれた歌詞なので軍国色がありありと出ています。
○千島の奥も 沖縄も
「千島」は「千島列島」の略で、「沖縄」と同時に「日本」の範囲を表現しています。
○八洲のうちの まもりなり
「八洲」は「日本」の別の言い方で、「日本」より上品な言い方です。前の歌詞と合わせて、「千島列島から沖縄までは日本の支配下にある」といった感じでしょうか。
○いたらん国に いさおしく
「いたらん」は「日本の支配が及ばない」、「いさおしく」は「勇敢に」ということで、全体で「日本の支配が及ばない国には勇敢に」という意味です。
○つとめよわがせ つつがなく
「わがせ」は女性が夫や恋人、男兄弟を親しみを込めて呼ぶ言葉、「つつがなく」は「無事に」という意味です。夫や彼氏、兄弟には他国を支配できるようがんばって欲しいという感じの意味です。