【第1回】やまぐちGIS講座 ~山口県内の教員・学生向け~

  ※GIS:Geographic Information System = 地理情報システム

 

1) 日時:2017/ 6/18(日)14:00~16:00

2) 場所:山口県セミナーパーク 一般研修棟220室

3) 参加者:

 主催)山口大学教育学部講師 楮原京子(かごはら きょうこ)先生

 受講)県内高校教諭 6名

 サポータ)一般社団法人やまぐちGISひろば事務局 弘中淳一(記)

4) 内容:

 「地理情報システムの概説と実践」

  ・GISとは何か?

  ・GISデータ:主題データ(統計、インフラ、自然など)

  ・GISデータ:背景データ(背景地図に使えるデータ)

  ・地理院地図および活用例

  ・その他 (やまぐちGISひろばサーバ紹介、ArcGIS Online紹介、

         第3回グローカルワークショップ)

 

【やまぐちGIS講座 全体スケジュール】

http://yamaguchi-gis-hiroba.org/news/20170612_Seminar.pdf

 

【受講風景】

 

【感想】

 この度、楮原先生が昨年度から取り組んでいる”山口学プロジェクト”の一環として、本GIS講座の開催が始まりました(以下、プロジェクト(4)が相当します)。 

 http://www.yamaguchi-u.ac.jp/yamaguchigaku/project.html#project2016_04

 

 本講座は、来る2022年「”地理総合”における高校教育における地理の必修化」においてGISが必須の履修となる今後にむけて、高校の先生方、あるいは生徒にGISを学んでいただく場として設けられています。

 

 楮原先生は山口大学で活断層を研究されており、GISは”地理院地図”、”Google Earth”、”ArcGIS”、”QGIS”など、適材適所に使われていているようです。

 

 第1回目は初回ということで、まず「GISとは?」より概念の説明から始まり、そのうち参加者が各自で持参されたパソコンを使って”地理院地図”の操作を行いました。

 この”地理院地図”は2007年に地理空間活用推進基本法が制定されて以来、国家主導で行われている電子地図基盤整備事業のまさにアウトプットであり、国土地理院が無償で国民に提供しているGISです。地理院地図にはさまざまなデータが搭載されており、利用者はレイヤの選択により好きなデータを自由に選択し、時には両方の地図を重畳表示して片方は透過して表示させたり、またあるいは、アナブリフという3Dメガネで立体視できるような電子地図を作れたりします。まさに国の力の入れようは「はんぱない!」と感じます。

 

 今回の講座では、実際に楮原先生が地理院地図を使って作成された教材が紹介されました。その題材の一つに数年前の広島土砂災害の被害と地形、被災地の変遷がありました。これは地理院地図の標準地図から谷線と崖錐(がいすい)を読み取り、地理院地図に収録されている被災地の過去の空中写真、土石流分布、傾斜量図を組み合わせ、考察していくというものでした。この重ね合わせから、土石流の発生する場所、その結果として作られた地形を学ぶことができ、さらに、山麓の開発が低地よりも早く行われていた経緯やその要因、地形の違いによる宅地や道の配置の違いを考察することができることが紹介されました。

 参加者からは、山口県で起きた災害に当てはめるとどうなるか。地形図の読図(特に地形)の答えとして、色別標高図、傾斜量図、陰影起伏図、あるいはアナグリフを使った3Dを見せるのは効果的など、実際の授業での活用を想定したような意見があり、地理院地図は簡単に使えるGISとして、まさにうってつけと思いました。

 

 【地理院地図】

  https://maps.gsi.go.jp/#5/35.362222/138.731389/&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0

 

 【地理院地図】やまぐちGISひろば 公開GISのひろば(山口県を初期表示)

  http://yamaguchi-gis-hiroba.org/index.html

 

 今後は、この地理院地図に、自治体が提供しているオープンデータを重ねて、独自の電子地図を作る方法などをスタディできる、とのことです。

 

 とても充実した講座であり、1名でも多くの先生が受講されることを願っております。

 

以上です。