M.R.~Ἅιδης~″ EP1-5 ” Ἡμέρα" | じゆうのくにのぶろぐ。

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本当の自由って・・・なんなんだろうな・・・・・。
盗んだバイクで走ることかな。 学校の窓ガラス全部割ることなのかな。

時刻不明 ヴァルハラ

(山崎だ・・・。まちがいない。しかしそれは・・・)
そう。
それは即ち、山崎が自分と同じ、もしくはそれに告示する儀式の中で死んだという事だ。
しかし、山崎が儀式のことを知っているわけがない。
知っていたなら、間違いなく自分を止めにきてる。そういう奴だ。
「・・・なぜ、あいつなんだ?」
当然といえば当然の質問、しかし彼女にとってはくだらない質問だった。
彼女の残酷な笑みが消え、ふてくされたかのように言った。
「なぜって・・・。それは、彼が『現在』だからよ。」
「現在・・・?」
「そっ!難しいことかしら?現在ってのは、今であり、瞬間であり、1秒前の過去であり、1秒後の未来よ!」
そう言って、ひらりとその場を回った。踊っているつもりなのだろうか・・・。
「・・・質問が悪かったか・・・。つまり、現在ってのが、一体同意味を含んでいるんだ?」
「最初に言ったでしょ?推理ゲームだって・・・三つの事件を解いてもらうって。」
出来の悪い教え子に喋ってるかのように、話していく。

「そもそも時間に、『現在』も『過去』も『未来』もない。その時間、その瞬間に生きてる人が、勝手に決めるだけ。時間は平等でもない。生まれた時代で、生き方も、死に方も違う。わかる?」

・・・なるほど。そういう解釈もあるか・・・。
「ただ、貴方たちの”時間”で合わせると、『鷹天原連続婦女暴行殺人事件』、これが現在。、『蛇那須村連続殺人事件』、これが過去。そして最後に、『蛇那須村伝説殺人事件』、これが未来になるわけ。」
「・・・一つ質問いいか?なぜ、俺が死んだ事件が未来なんだ・・・。俺が死んだ事件なら、時間的には現在だろ。」
「確かにね。普通に考えればそうよね。・・・教えて欲しい?教えて欲しい?」
今度は、親に甘える子供のようだ。
・・・こいつには、年齢という概念がないのか?
と、疑問に思った直後、さっきの時間の話を思い出た。
(まぁ、こいつの現在がいつかもわからないからな・・・・。)
勝手に一人で納得した。
「・・・教えて欲しいかってきいてるのに~~~・・・」
タナトスは、完全にすねてしまった。福禄は、困った顔をしながら
「ああ、教えて欲しいね。」
と、言った。途端にタナトスの顔が明るくなる。
「ど~~~しても?ねぇ、どぉ~~~~~~してもぉ!?」
「ああ、どうしてもだ。」
笑いをこらえながら言った。

そして、ハッとなった。気づいた。
彼女を最初は否定してたのに、今ではすっかり心を開いてしまってる。
ゾッとした。いつからだ・・・。いつから、俺は・・・。
動揺を隠せなかった。しかし、タナトスは全く気にせず話を続けた。
「じゃぁ教えてあげる♪答えは簡単よ!貴方が最初の犠牲者で、この事件はずっと続くの♪ずっとずっとずっと!」
もう、自分の感情もコントロールできないほど、福禄は混乱していた。
「じゃぁ、なにか!俺がお前を呼び出したことで、”死”がふりまかれているってことか!?」
まはや、怒鳴り声も超えて、何を言っているのか自分でもわからなくなっていた。
逆にタナトスには、心地よく聞こえていた。
「ええ、けど一つ間違ってる。原因は貴方じゃない。過去にあるの。」
もう残っているのはあれしかない。それが福禄にとって、どれほど残酷で、どれほど絶望なのか・・・。
「貴方にとって、最高で、最悪の時。もっとも、貴方にとっては、まだ現在かもしれないけどね。」
忘れもしない。年も、月も、日も、時も、分も、秒まで。いままで、一瞬も忘れたことのない。俺にとっての・・・”現在”・・・。
福禄は、誰に言うわけでもなく、一人でつぶやいた。
「1993年・・・12月31日・・・いや、1994年1月1日・・・」
「正解♪」
「ウロボロス・・・始まりと終わり・・・。」

なぜ、ここに来たのか。なぜ彼女が、自分を呼んだのか。もうどうでもよくなった。
福禄の目には、絶望でもなく、希望でもなく、ただ、覚悟があった。
なぜなら、あの日から事件が始まってるなら、この事件を解決することによって、過去を変えることができるかもしれないからだ。
「・・・わかった。事件を解こう。」
「OK♪じゃぁ、貴方がすべきこと言うわね。」
一つ咳払いをして、言った。
「さっきも言ったけど、刑事さん・・・山崎さんだっけ?この人は、現在なの。」
「ああ、覚えてる」
「じゃぁ、次ね。次は貴方だけど・・・。貴方は過去よ。」
「ああ。」
多少疑問があるが、仕方がない。
「最後にもう一人。未来を選んでもらうわ。まぁ決まってるんだけど・・・。」
「誰なんだ、そいつは。」
一番重要なことだ。ゲームな中身がわかっていない状況で、三人目が知らない人だとイロイロ不都合がある。今後の運命が左右されるといっても、過言ではない。
「大丈夫。昔の、貴方の相棒・・・。」
「・・・阿国水城(おくにみずき)か!?」
福禄にとっては、これ以上の味方はいなかった。
「わかった。で、今どこにいる?」