新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴスを抜け、ジョバ川をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。

この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n3341gu/8/

 

新人類戦記第三章聖域第8回 アコンカグア山近辺にパラシュート降下したアメリカ超能力戦士部隊は、地元のイアテ族の攻撃に翻弄されていた。

 

新人類戦記 第三章 聖域 第8回

作 (198の年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 

■ビザゴス共和国国境付近、クリスチャン号

 

 イデア号に先行している貨物船クリスチャン

号は、すでにビサゴス共和国とポートモレスビー

の境界線を越え、かなり深くビサゴス共和国に入り

込んでいた。

 「全員、気をつけろ、そろそろ戦闘地域には

いるはずだ」

 

 崔船長は船内にアナウンスした。武器商人

の船をねらって解放戦線側の武装ゲリラが襲

撃してぐる可能性が強い。

 一人の船員が、青くなっている後輩に話し

かけていた。

 「斎藤、だいじようぶか」

 「いえ、武者ぶるいですよ」

 「そう、かくすな。誰でも最初はそんなもの

さ。すぐなれるさ。俺も始めはこわかった。

この船はかなりの重武装もしている事だしな

ところで連れの弟のぐあいはどうだ」

 

 「ええ、おかげさまで、大部よくなったよう

です」

 

 斎藤と呼ばれた三十才中程の男は、

ポートモレスビーのサンテ桟橋に停泊中のイデア号

を双眼鏡で監視していた男だった。

 

 斎藤は秘かに、自分たちの船室へ帰った。

 ベッドには弟の泉が眠っていた。

 「泉、泉、起きろ、どうやら、危険な状態だ

ぞ」

 弟はようやく目をさました。二十才にもな

らなり少年だった。

 

「竜、どうしたの」

泉と呼ばれた男はジウだった。髪を短くか

りあげ男装していた。………

 「しっ、その名前は使うな誰が聞りている

かわからん。どうやら解放戦線側の奴らが近

づいてきているようだ」

 

 水陸両用ホーバークラフトが暗闇にまぎれて

クリスチャン号に近づいてきた。貨物船タリJ・チャ

貨物船は重装備を装した武装商船だ。

 

サイレンがならされ、全貪が部署についた。

機銃、機関砲がホーバークラフトに向けられた

。サーチライトが相手の船を浮びあが

らせていた。 

 船外スピーカーががなり立てている。

 

「停船しろ、停船しろ、我らの船に近づくな

それ以上近づくと攻撃する」

 

 メガフォンでホーバークラフトの男の一人

が叫んだ。

「あわてるな。我々はビサゴス共和国海軍のものだ

君達の船を先導しにきたのだ。君達の船こそ

停船してくれ」

 崔船長はクリスチャン号を停船させた。

 

 ロープがホーバークラフトに投げられ、近

づいてくる。船外タラップから三人のビサゴス共和国

海軍兵があがってきた。一人は士官だった

残りの二人はM16アサルトライフルをかまえ

ている。

 

 「失礼する。私はビサゴス共和国のダレル中尉

だ。ラオメ大統鎖の命令だ。あなた方を無事

に首都ボダラ港まで護衛するようにいわれた」

 

 ビサゴス共和国の最初の夜はまだ始まったばかり

だ。月光が美しくジョバ(川を照らしている

 

 

■ビザゴス共和国、アコンカグア山

のプクラの森周辺

 

 アメリカの誇る超能力戦士、カイザー

部隊は思わぬ伏兵に攻撃されていた。

 

 カイザー指揮官のデューク島井の予想もしない事だ

った。

 

 目の前にそびえ立つアコンカグアが島井

にとってまさに悪魔の山に見えた。

 

 デューク島井が隊員に通常のパラシュート降下をや

め。テレポート(空間移動)するようにテレ

パシーで命令するまでに、すでに五名が消滅

していた。

 

 アコンカグア山がまるで生き物のように光

り動いたのである。その時に、彼らをアコンガクア山

まで運んで来たトランザール輸送機

が消威していた。

 

 テレポートでアコンカグア山のプクラの森

林に着地したとたん。三人のカイザー部隊隊

員はどこからともなく飛来してきたヤリにく

し刺しにされていた。

 

 彼らの予知能力もまったく役に立だなかっ

たのだ。飛んできたやりは意志を持つ生き物

の様に飛んできたのだ。時速二五〇キロだ。人

間の力で投げる事は不可能だ。

 

 アコンガクア山を守る事を使命としてい

るイアテ族の族長エビネは、空飛ぶ機械の鳥

から、三十数名の男達がプクラの森林めがけ

落下してきたことを目撃していた。

 

 アコンカグア山の発光は彼らイアテ族の力

を増幅させていた。彼らは、二人の男女、そ

して、’より多くの男達がこのアコンカグア山

に辿りつく事を長い間、待っていたのだ。先

祖からの伝承であった。その時がま近かに迫

っているのだ。

 

 彼らの魔力がこのアコンカグア山のプタラ

の森に辿りつくまでに十名近くの兵達を殺し

ていた。がまだ二十名近く残っている。

 

 族長エビネは、強力な抵抗を行なうために、他

のイアテ族の者を全員呼び集め、円陣をくま

せた。そして、族長エビネが中心にはいり、思念

状態にはいった。

 

 デユーク・島井は、すでにカイザー部隊を襲ってくる

意志を持つ何者かが存在する事に気づいてい

た。しかしその正体が、彼の超能力をもってして

もつかむことができなかった。

 

 彼はテレパシーで分散している部隊員に伝

えた。

「分散したまま、各自。自力でアコンカグア山

ヘ向かえ」

 

 アコンカグア山には彼らの超能力を拒絶す

る何者かが存在している。

 

透視力を使って、そのアコンカグア山

までの道をまったく見通す事ができないのだ。

 

 果して、東郷竜とジウがそのアコンカグア山

ワに到着しているのかどうかも、島井はつか

んでいなかった。

 

 さらに悪い事は、部隊員の持っていたテレ

ポート能力がまったく消滅していたことだっ

た。

この地域に魔界が存在しているようだっ

た。自らの力を持って、悪魔の山アコンカグア山

ヘ辿りつかねばならない。

 

 隊員の一人、スタッグは。プクラの密林の

中で方向を失なっていた。超能力がまる

でこの密林にすいとられたようになくなって

いるのだ。普通人にすぎなくなっているおの

れに気づいていた。

 

 突然。歩いていたスタッグの足元の地面が

真っ二つに割れた。スタッグは体を後にのけ

ぞられてその穴から逃れようとしたが、恐る

べき力がその穴ヘスタッグの体をひきずり込

んだ。

 

 スタッグの絶叫を残して、地面は何事もな

かったように塞がった。

 

 隊員ヘルツは、大きな力で背後から突然、

持ち上げられていた。必死でヘルツは後を見

た。力強い力で体がしめあげられる。

 

 巨大な象だった。象の鼻がヘルツの体をま

きとっているのだ。ヘルツの脊骨が折れる音

が密林に響いた。

 

アザト、タリム、マイク、三名の超能力戦士隊員は、

突然、目の前におこった炎に囲まれていた。

 

まわりの樹が続々と燃えあがり、彼らの体を

包み込んでいた。彼らの体は金縛りにあった

ように動けなかった。火が、彼らの皮膚を焼

き尽くそうとしたが、彼らには防ぐ手立てが

なかったのだ。

 

 超能力戦士ミルズ、ヘンリー、ニック、チェザーレ達

は、目の前をきれいな蝶々が舞っているのを

見た。その蝶々の集団は、続々と数が増え続

け、彼らの顔面や体を被いつくした。

 

 急激な意識の混濁がおこった。幻聴。幻視。

蝶の羽についていた粉が、幻覚症状をおこすのだった。

彼らは、自分達が人間でなくなったような錯

乱状態に陥ちいっていた。めくらめっぼう密

林を駆けずり始める。

 

■ビザゴス共和国、超能力種族イアテ族の

近辺種族ヨルバ族の村

 

 集団を目撃たトウレはようやくの事でヨルバ族の村へ辿

り着く事ができた。

 

 村人はあえぎながら駆けこんできたトウレ

に気がついた。トウレは体力を使い果たし。

足元の石ころでころんでしまった。村人の一

人が走り寄り、助けおこした。

 

 彼は興奮していて、最初、何をしゃべって

いるのか自分でもわからなかった。一生もう

あんな目に会う事はないだろう。また会いた

くもなかった。

 

 ヨルバ族の長老は、トウレの話を聴き、ヨ

ルパ族全員に武装をさせた。何事がおこるか

わからないのだ。イアテ族が自らの結果から

勣いたというのは祖先からの伝承にもなかっ

た事なのだ。ヨルバ族も天と地がひっくりかえったよう

な騒ぎだった。

 

 

新人類戦記 第三章 聖域 第8回

作 (198の年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)