パブリックドメインの音楽

パブリックドメインの音楽

「パブリックドメインの音楽」とは、
音楽著作権が消滅した録音を指すことにします。
要するに、古いレコード音楽について、
YouTube の動画を紹介して、
いろいろと考えてみるブログです。

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1曲目の「シチリアーナ」の録音年月日は1950年7月6日である。
この演奏を聴いて真っ先に思い浮かぶ言葉は「惜別」だ。
あの「ブザンソン告別リサイタル」の2ヶ月前の録音だ。

1950年9月16日、Lipatti は、医師が止めたにもかかわらず、
「皆と約束してあるから」と、ブザンソン音楽祭のリサイタルに臨む。

高等法院の階段を這うように昇り、演奏会場となる広間へ向かう。
医師に注射をしてもらってから弾いたことは知っていたが、
ほとんど1曲弾くごとに注射が必要だったことを、つい最近知った。

演奏予定の曲目のうち、
その当時知られていたショパンのワルツ全14曲のうち、
1曲だけ、第2番は弾くことができなかった。
最後の命を削って弾いたのだ。

ピアノの歴史的録音を聴く者にとって、
「ブザンソン」という言葉は特別の響きを持つ。