絵と写真を見るのが好き。自分では絵は書けないし、写真も撮れない。もっぱら見る側。同じ画家の絵にも、好きな絵、う~んの絵、がある。好きな絵の前には長時間居座る。何度も戻って見る。う~んの絵はさっと過ぎ去る。
この人の絵は、すべて好きだった。
引き込まれるようにどの絵の中にも入っていけた。
数年前から、ずっと見に行きたかった展覧会が、やっと、今年1月に近くに来た。画家『犬塚勉』38歳で早世した画家。
そのころ、私はとても疲れていた。私にとって、絵を見に行く事はパワーがいる。やめておこうかとも思った。でも、えいっ、さっと見ようと行ってみた。 あり得ない世界が広がっていた。
初期の作品から絶筆まで、約110点、絵を描くために生まれて来た人、の世界にひたり、私の心がゆるく解き放たれ、じぃーんと深い深いエネルギーが伝わってきた。
初期の作品はとにかく色が素晴らしい。私好みの色使い。センス良すぎ。暗い画材も、どこか未来へつながる物語が感じられる。絵を見ていると、どんどん想像が広がったり、何故か、かわいい!と思う。
その後、自然ばかりを描くようになる。
石ころ、野草、枝、ひとつひとつ丁寧に丁寧に描く。まるで葉っぱ一枚一枚と対話し、敬意を表しているよう。そのためか、絵の前に立っていると、自然に包まれて、優しさと厳しさを感じ、一体となる。
いつのまにか、心の力みがとれ、解放されていた。
以来、そのことをするために生まれてきた人、について考える。今までよりもずっと深く考えるようになった。
そして、こないだ、写真を撮るために生まれてきた人、『荒木経惟』の写真集展へ行ってきた。
あ~も~感動。そのことをするために生まれてきた人、は、しかりとした愛を土台に、ある種の突飛した強さと切なさが感動させるのか。
ありきたりの言い方になってしまったが、一見あれ。