個人的な評価は星4つ★★★★
たぶんこのドラマ、韓国ドラマとしてはかなり異色なのかなと思います。
計算されたカメラワーク、場面転換、セリフ。
鳥肌が立つほど隙がなくて、完全犯罪のような緻密さでもって視聴者をも追い詰めるような。
真綿で首閉められるような閉塞感を伴うドラマでした。
こういうと視聴が苦痛そうですが(^^;) ワタクシこういうサイコ的なもの大好物なので個人的にはかなりハマリました。
たぶん評価は趣向によって分かれるところですね。
以下ネタバレ含みますので、未視聴の方は回避されることを強くオススメします。
この系統のドラマは反転につぐ反転の展開が面白いドラマなので。
悪魔は生まれるのだろうか、
作られるのだろうか
全8話を通してずっと視聴者に問いかけられるのは悪魔の存在について。
要塞のような学校、大雪により外部との接触を絶たれ閉ざされた空間の中で心に闇を抱え持つ高校生7人と連続殺人犯が1人。
極限状態の中で、行われるゲーム。
殺人犯ヨハンから送られるさまざまな刺激により、押し込めてきた闇を引きずり出され、葛藤し揺れ動く7人が時に激しく、時にぞっとするほど静かに絶妙なバランスで描かれていて、とにかくとにかく秀逸という言葉がふさわしいドラマでした。
ヨハン演じるキム・サンギョンsii
実はワタクシこの方初見なんですが、ベテランな感じですね。
温度を感じさせない瞳も精神科医らしいゆっくりとした話し方と、脳に響く声も、穏やかだから恐ろしくて。
支配者のように振る舞いながら、彼もまた閉ざされた空間のなかで少しずつバランスを崩して行く様は圧巻でした。
生徒役は皆さんあまり演技畑の人じゃないんですよね。
モデル出身が多いということでセリフ回しなんかはぎこちない部分もありましたが、それが逆に大人でもなく子供でもない彼らの揺らぎ、戸惑いを上手く表現していて。
やっぱりドラマって演技が上手ければいいわけじゃないんだなーと。
特にこういった演出で魅せる作品の場合、登場人物も画面を構成するパーツとして重要なのはその人物がまとう空気と群集としての一体感なのかな。
個人的に一番ツボだったのは各話のサブタイトル!
「悪魔は自分で扉を開けられない」
「懺悔しろもう手遅れでも」
「旅立った少年が遭遇するもの」
「合わせ鏡の中からは悪魔が飛び出してくる」
「運命は善悪を区別しない」
「境界線に立つ子供たちの弁明」
「悪魔は生まれるのだろうか、作られるのだろうか」
いやーこの凝りに凝った感じが、何とも言えず。
原題にどれくらい忠実な訳なのか分かりませんが、話一本作れそうなぐらい意味深で、サブタイトルだけでドキドキしちゃいました。
同じくセリフも韓国ドラマにありがちな説明過多な感じゃなくてそのあたりも普通の韓ドラとは一線を画してましたね。正直あまりに説明が少なすぎて??な時もありましたが、特殊シチュエーションでの心理ドラマなだけに高校生らしからぬ言葉遣いとかも結構すんなり受け入れられました。
そんなわけで普段ながら視聴が多いワタクシも今回はは画面にかじりついて見てました。
7人の登場人物名がなかなか覚えられなかったというのもありますが(笑)
ちなみに視聴後脚本家のパク・ヨンソンsiiのインタビューを読んだのですが、かなり面白かったです。
元々「モンスター」という題になりそうだったとか。
確かに浦沢直樹の「モンスター」を彷彿とさせる部分があるかなー。
悪魔は生まれるのか?作られるのか?
そんなこんなでふと思い出したのが先日見た「ストロベリーナイト」の「過ぎた正義」倉田のセリフ。
「殺しに正義もくそもあるか。あるのは選択だ。殺すと言う方法を取るのか取らないのかそれだけだ。」
「人はな、一度殺してしまったらもう駄目なんだ。再犯の可能性が高いかどうかは断言出来ん。だが殺意は膨れたまま心に残る。一つの大きな選択肢として魂の中に居座り続ける。そんな心に爆弾を抱えた息子を俺は世に放つ事は出来ん。これが俺の元刑事としての最期後の理性だ。」
殺意や闇は誰の心にもあって、外部からのちょっとした刺激により実行への選択に繋がってしまう。
その刺激は他者が見ればなんてことない一言だったりすることもあるわけで。
ヨンハもそして彼らもそうして作られた悪魔の1人にすぎないってことなんだろうな。
最後の最後まで救いのない結末でしたが、むしろ希望の持てる結末なんて気持ち悪いぐらいストイックに絶望感を突き詰めてきたドラマなので納得でした。
とにもかくにもこカメラワークと画の構成が抜群で、ウンスンが自殺に行くこのシーンなんか美しすぎで鳥肌でした。
なびく黒いマフラーにより分かたれる空の青と地の白。
一筋縄ではいかない、だからこそ面白い。そんなドラマです。