世紀の珍書?円周率が、小数点以下「1億ケタ」書かれた本
子どもの頃に九九ができませんでした。7の段がぜんぜんできず、笑われました。それから算数&数学コンプレックスをこじらせてきました。暗記とか暗算が、すごく苦手なんですね。まだ新型コロナウイルスのかけらもなかった頃、友達と居酒屋でワイワイやっていたときも、割り勘の計算だけは、さりげなくごまかして、他の人に任せてトイレに駆け込んでいたものです。だから、仮に自分だけ多めに支払わなければならないことになっていたとしても、気づきません。それでいいと思っています。計算が苦手なのがバレなければ。とはいえですよ。娘に「算数を教えて」と言われると、断るわけにはいきません。娘は素朴に、「大人なら、算数ぐらい知っているはず」と信じているからです。そのピュアな瞳を裏切るわけにはいかず、いちおう教えるのですが、後日、「あれ、間違ってたよー!」と、娘に指摘されたときには、「いやいや、そんなわけないだろー」と、顔では笑いながらも、内心とても落ち込んで、傷ついています。ですから、いい歳して「数字が苦手」なんてことは言っていられません。小学生以来28年越しで、克服しようと思っているのです。かといって、数学を活かして何か別のことをやろうなんて、大それたことは考えていません。娘に算数を、ちゃんと教えられる父親になりたいだけなのです。いや、それも十分に「大それた」ことか??きのう、びっくりする本を書店で見つけました。お目当てで欲しかったのは『東大の先生! 文系の私にも超わかりやすく数学を教えてください!』という本だったのです。それはそれでレジに持っていって買ったのですが、その隣の棚に、決してスルーして見逃すわけにはいかない一冊が!こいつです。私だって、円周率ぐらいは知っています。「3.14」ですよ。でも、本当は円周率って、小数点の下がずーーーーっと永遠に続く数字で、四捨五入して、いちおう「3.14」だって言い張っているだけなんですよね!(知ってますよ~、フフフ。これでも義務教育は受けてますからね)それにしても、どういうつもりなんでしょうか。円周率を1億桁も載せた本を出版するなんて……。だれが買うんだ、こんな本!?はい、まずは、この自分が買ってみました。 著者名は【暗黒通信団】なんだそうです。【暗黒通信団】とはいったい、どんな組織なんでしょうか。謎は深まります。「暗黒」といいながらも、純白の表紙。その脇には、『π upto 100,000,000digit』(円周率1億桁)と、ご丁寧に印字されています。なんだか異様な執念を感じますね。表紙が本当に普通の紙ですので、ちゃんと扱わないと、すぐに汚れたり折れ曲がったりしそうです。そんなデリケートな見た目でありながら、本の中身でやっていることは、ごっついチャレンジです。ネタバレになっては良くないので、一部しかお見せできませんが。だって、全ページが同じ調子ですから、別に全文見せる必要性も特に感じないのです。 何が書いてあるんでしょうか? それとも、何も書いてないんでしょうか??なにかの模様か砂嵐にしか見えませんけども、ここには数字が1つずつ、ギッシリと敷き詰めて書かれているんだそうです。直接、肉眼で見ても全然わからず、むりやり読もうとすると、ちょっと頭が痛くなってくるほどです。そんなに分厚くもない本に、1億個も数字を入れようとするんですから、そりゃあ、こうなっちゃいますよね。 拡大すると、このような数字がちゃんと書いてあるそうなんですよ。印刷所の方々の努力と根気には、頭が下がります。たぶん、コンピュータが計算した値を、そのままコピペして掲載しているんでしょうから、誤植はありえないんでしょうけれども…… こういうところにも手を抜かず、ごまかさずに丁寧に印刷している、まさに職人技!肉眼でみても、数字なんてほとんど読めないけど、仮に顕微鏡などで拡大したとしても、どこを見られても恥ずかしくない、ちゃんと数字として読ませるプライドと意地を感じますね。これを企画した著者というか組織のようなところ…… 『暗黒通信団』がどういうつもりで「円周率1億桁」の本を作ろうとしたのかはよくわかりません。見る人が見ると「紙の無駄」だと思われてしまうことでしょう。それでも出版してしまう、勇気と図々しさ!個人的にはやっぱり、印刷所の方々のほうが凄いと思いますね。(もういいですね)他にも、【暗黒通信団】が出した本には『素数表150000個』や『グラハム数1,000,000桁表』などの姉妹書があるみたいです。数学が大の苦手ですが、最近、数学を改めて学ぼうとしているので、「グラハム数」はなんとなく知ってますよ。『面白くて眠れなくなる数学』という本で紹介されてました。人間が想像できる最も大きい数なんだそうです。宇宙にある原子とか素粒子の数よりもはるかに多いという……。気が遠くなりそう。あと、『文系の私にも超わかりやすく数学を教えてください!』の本も、まだ途中までしか読んでませんけれども面白そうですよ。二次方程式って、学校で使い方を習っていないだけで、本当はすごく人生や仕事に役に立つんだそうです。そういう話だけでもワクワクですよね!この本も機会があればまた紹介させてください。