第1話予告
恐るべきマグマ星人の挑戦を受けて、セブンは死んだ
その時、颯爽と登場した
我らが新しいヒーロー・ウルトラマンレオ
その正体は何か?
決定版・ウルトラシリーズ第7弾
さあ、来週はみんなで観よう
脚本:田口成光 監督:真船 禎 特撮監督:高野宏一
マグマ星人 レッドギラス ブラックギラス ウルトラセブン 登場
放映日:1974(昭和49)/04/12
■主題歌・挿入歌
まず触れたいのは主題歌「ウルトラマンレオ」
前作ウルトラマンタロウの主題歌と同じ
「作詞:阿久悠 作曲編曲:川口真」
両氏のコンビでありながら、明朗なタロウ主題歌からガラッと雰囲気が変わります。
歌うのは主人公おおとりゲンを演じる真夏竜氏。
終末感のある歌詞と、かっこいいのにどこか暗い曲調が独特で今なお人気の高い名曲です。
僕はこの曲のベースが大好きです。
サビの「レオ♪レオ♪レオ♪~」に合わせた裏メロディや間奏のベースラインが特にかっこいいので是非注目してください。
また挿入歌「星空のバラード」も早速使用。
ゲンの心情を歌ったこの楽曲もドラマの中で重要な役割を果たすことになります。
■二人の宇宙人
おおとりゲン/ウルトラマンレオ、モロボシダン/ウルトラセブン、『ウルトラマンレオ』は大まかに言うとこの二人のドラマです。
ゲンはただの一般人、ダンは地球防衛の任務を帯びた戦士でした。
ところが、怒涛の展開で二人の状況は一変します。
黒潮島沖で双子怪獣とマグマ星人の戦いに敗れたセブンは変身不能、代わりにゲンがレオとして戦うことになるのです。
・苦戦するセブン
・駆け付けるレオ
・ゲンとダンの邂逅
・滅ぼされたゲンの故郷
・ダン変身不能
・ゲンの決意
第1話ではこのヒーロー交代劇が鮮烈に、衝撃的に、そして爽やかな余韻を残して描かれました。真船演出による不穏な空気感のあるカット、夕焼け、音楽が実に効果的です。
夕陽を背景にしたゲンとダンの画と共にこの一連を締める「M41T2」は特に印象的です。これ以降も随所で物語を盛り上げてくれます。
…実はこれほどの密度でまだAパートも終わっていない!
このちょっと独特なテンポ感も真船演出の魅力ですね。
ここまでの時点で好きなシーンは多々ありますが敢えてひとつだけ。
レオがマグマ星人と戦っている傍ら、セブンは双子怪獣を足止めします。ここは地味ながら熱いシーンです。
右足を負傷しながら二体の怪獣を食い止めるセブンはやはり歴戦の勇士なのです。
■マグマ星人と双子怪獣
第1話と第2話の敵はマグマ星人、彼が操る双子怪獣レッドギラスとブラックギラス。
彼らはレオの故郷L77星を滅ぼした宿敵でもあります。
金髪、仮面から覗く目や露出した口元、黒いボディと銀のサーベルや装飾品が実に個性的で、「サーベル暴君」という異名もかっこいいマグマ星人。
台本によると演じたスーツアクターは浦上嘉久氏となっているそうです。
近年ではイベントショーなどの司会キャラとして使い勝手の良さもすっかり定着。
メビウスやゾーンやXなど映像作品にも度々登場し、ウルトラシリーズに欠かせないキャラクターとなりました。
僕もマグマ星人が大好きです。
一方、レッドギラスとブラックギラスは頭部と背中の角が特徴的ながらも全体の印象はやや地味か。
しかし、津波を発生させる能力や、抱き合うように合体して繰り出すギラススピンは非常に強力な必殺技です。
CGを含む現在の特撮技術で大暴れする双子怪獣をいつか観てみたいものです。
レオ前半の怪獣スーツアクターは主に上田克己氏が務めます。
■津波特撮
帰ってきたウルトラマン第13,14話シーゴラス・シーモンスの夫婦怪獣編以来となる津波の特撮。
佐川和夫監督と帰マンスタッフによるダイナミックな津波特撮から3年、高野宏一監督とレオスタッフは夫婦怪獣のそれとはまた違った演出を見せてくれました。
(僅かながら帰マンの流用映像もありますが)
大津波に飲み込まれる大津島、押し流されたり破壊される東京の高層ビル、逃げる人々を飲み込む津波の合成、印象的なのはこのあたりでしょうか。
夫婦怪獣の津波が自然の驚異を描くイメージだったのに対し、双子怪獣の津波は曇天の空も相まって世界の終わりを予感させます。
特撮だけでなく、恐怖で奇声を上げる女性や倒れたまま動かない老人など本編のモブシーンもぞっとする緊迫感があります。
津波のシーンはBGMが流れる場面もありますが、BGM無しで波の音と破壊音だけ響く場面の方がより驚異が伝わってくる気がします。
その他、驚くべきはレオや怪獣が登場する全てのシーンに水が使われている(足場が常に水!)こと。相当な労力とコストが掛かっていると思われます。
第1話と第2話の特撮シーンは今の目で観ても圧巻の一言です。
■二人の男
・宇宙人としての能力を使い双子怪獣の居場所を突き止めるが孤立してしまうゲン
・「人間の世界では人間のやり方でやらなければ」と諭すダン
・「そんなやり方では東京は沈没する」と反発するゲン
レオ初期の定番であるゲンとダンの対立は第1話から描かれます。
貫禄のある森次さんの演技に対し、早口でまくし立てる真夏さんの演技はまだ初々しさが残っています。
ここで興味深いのは
「二人とも人間として"あの"地球にいる」
というダンの台詞。
従来のシリーズのような地上基地では
「"この"地球」という台詞になるでしょう。
ここでは「宇宙基地であるMACステーションの窓から地球を見る」という構図で地球との物理的な距離感を画で示し、二人で地球を守り抜かなければならないレオの世界観を台詞でも視覚で強調しているように感じます。
ダンの「私にとっても地球は故郷だ」という台詞は『ウルトラセブン』のダンも知っている視聴者には嬉しいものですが、ゲンにはその言葉の重さがまだ理解できません。
■日本は沈没する!
ゲンはダンの制止を聞き入れずレオに変身し、双子怪獣に挑むも全く歯が立たず、街は波に飲まれる一方。
「ダメだ、ウルトラマンレオが負ける…日本は沈没する…!」
ダンの悲痛な叫びと杖を突き歩くも倒れてしまう姿、黒い砂浜と岩場を引きで捉えたズームアウトの画、危機を煽る音楽「M24」、これらの演出が嫌というほど絶望感を盛り上げます。
この後も破壊シーンは続き、レオの活動時間2分40秒が迫っていることを解説するナレーションで第1話は終了します。
まだ第1話なのにこのクライマックス感!
前作タロウから二年連続でメインライターを任された田口成光氏は前作とは打って変わり怒涛の展開を描き、本編特撮の終末感溢れる演出も重なり、前作とは全く違う作風の番組が始まったことを強烈に印象付けてくれました。
■その他メモ
・タイトルバックはBGMと子供たちの「ウルトラマンレオ!」の掛け声のみでSEは無し
・黒潮島沖での戦いはスーツアクターは
レオ:川口和則氏、セブン:二家本辰巳氏
であったが、2戦目から最終話までレオ:二家本氏となる
・二家本氏はゲンの組み手シーンで蹴り上げられる役も演じている
・レオの掛け声は第1話のみくぐもったような暗い声(セブンも同じ声)
・セブンVS双子怪獣のBGM「M31」と
セブンからダンに戻る時のBGM「M33」は
それぞれウルトラセブン「M14」「M58」の再演奏曲
・セブンのアイスラッガー使用はセブン本編以来
・第1話と第2話のみ音楽の冬木透氏が選曲も担当
・ゲンの変身ポーズはお馴染みの左拳を突くものではなく両手を挙げるタイプ
<必殺技>
レオキック
<MACメカ>
マッキー1号、マックロディ
<MAC隊員>
黒田、青島、赤石、桃井、白川
<スポーツクラブ>
カオル、百子、猛、大村
やじるし