前回の日記で「エース以降のデザイナーもまとめる」と書きましたが、すみません、その前に『金城哲夫展』へ行って来たのでそちらの記事を書かせてください。
金城哲夫展とは、ウルトラマンの生みの親の一人・金城哲夫氏の生まれ故郷である沖縄県南風原(はえばる)町で、毎年2月26日(金城氏の命日)周辺に開催されているイベントです。
会場:南風原町立中央公民館
過去には展示会の他、金城氏と縁の深いウルトラシリーズ関係者や出演者のトークショーやウルトラヒーロー撮影会などもありました。
去年からは各地で公演を行う大規模なウルトラマンショーも来演するようになりました。
今年は『ウルトラマンライブ2016-2017 Peace of the Earth』です。
僕は3年前以来2度目の参加でしたが、ウルトラマンライブの効果か悪天候にも関わらず3年前より大盛況でビックリしました!
ウルトラマンライブの濃い内容と凝った演出、更にはボイジャーのTAKERUさん千晶さんのサイン会もあって語りたいこと盛り沢山ですが、ここでは金城哲夫展に絞ります。撮影OKでした。
初公開の写真が大量に展示されていて驚きでした。これらはウルトラシリーズが誕生する以前の時代ですので、よく見る写真よりやはりお若いですね。
僕はコップ一杯のお酒?を脇に置いた写真が気に入りました。金城さんはお酒は大好きだったそうです。
お馴染みの写真も幾つか展示されていました。
上の金城さんと森次さんのツーショットは「ウルトラ警備隊西へ」の神戸ロケの合間と思われます。
下は「零下140度の対決」の合間でしょう。右から3番目が金城さん、4番目が満田監督です。金城さんはアンヌに抱き起こされながらすぐに目を閉じてしまう凍えた職員としてカメオ出演されています。
金城脚本ウルトラセブン8話「狙われた街」をイメージしたスーツ展示
金城作品の台本など
『WoO』はウルトラQより以前に企画されながら制作には至らなかった幻の作品です。
台本は第2話「富士五湖騒動」(村田武雄氏と合作)
ゲル状の身体を持つ宇宙生物WoOは母星を亡くしてしまい地球へ漂着、富士五湖に姿を隠すという設定でした。
2話は悪戯を繰り返すWoOのエピソードに地元愚連隊の犯罪を絡めた物語だったそうです。
※表紙に無数の黒い点があるように見えますがガラス越しに撮影したのでガラスに天井が写り込んでいます。
ウルトラQ制作第13話(放映9話)「クモ男爵」
監督:円谷一、特技監督:小泉一
無人の洋館に迷い込んだ万城目たちを巨大蜘蛛タランチュラが襲うゴシックホラー作品。
QはサブタイトルとOPクレジットを話の内容に合わせ毎回変更する凝った作りでした。台本の表紙も毎回デザインが異なります。
ウルトラマン第26・27話「怪獣殿下」(若槻文三氏と合作)
監督:円谷一、特殊技術:高野宏一
言わずと知れた人気怪獣ゴモラが大阪で大暴れする大娯楽編。
表紙を見てわかる通り、前後編2話分をひとつに製本してあるので他の台本より厚いです。
ウルトラマン第20話「恐怖のルート87」(準備稿)
監督:樋口祐三、特殊技術:高野宏一
交通事故死した少年の魂が乗り移ったヒドラが次々と車を襲う。ウルトラマンが怪獣を倒さない物語です。
金城さんと同じく沖縄出身の脚本家・上原正三さんによると、金城さんは脚本を発注する先輩ライターたちに
「ウルトラマンは怪獣の殺し屋ではない」
「神ではない」
「人々の心が呼び寄せるもの」
「ウルトラマン助けて!来てくれ!という心からの叫びに反応する存在。初めから怪獣をやっつけに来るのではない」
と説明していたそうです。
本作は「ウルトラマンは殺し屋ではない」ことを示す回の一つと言っていいでしょう。
この視点が初代ウルトラマンの時点で形として残っていたことが、後のシリーズにも大きな影響を与えていると思います。
金城さんの生い立ちから亡くなられるまでの年表。写真撮るの下手くそ過ぎて申し訳ありませんが拡大すれば読めるはずですw
次回へつづきます。
【参考資料】
「ウルトラマン」の飛翔(白石雅彦/洋泉社)
「ウルトラQ」の誕生(白石雅彦/洋泉社)
ウルトラマン研究読本(洋泉社)
金城哲夫 ウルトラマン島唄(上原正三/筑摩書房)