3月3日はひな祭り。
というわけで酒飲みながらベロンの話でもしようぜ。時間ギリギリだけどな。
酔っ払い怪獣 ベロン
身長:54m
体重:2万9千t
好きなもの:酒、踊り、音楽
(演)河合徹
(声)渡部猛
ウルトラマンタロウ
第48話『日本の童謡から 怪獣ひなまつり』
脚本:阿井文瓶
監督:山際永三
特撮監督:大木淳
■宇宙から来た酔っ払い
宇宙怪獣ベロンは何よりもお酒が大好き。
大酒を喰らって酔っ払ったあげくの果てに迷い込んだ所がこの地球というわけだ。
体重2万3千tのベロンに迷い込まれた東京の人こそいい迷惑。
(瑳川哲朗ナレーション)
盛大に被害が出てるのに「迷惑」という規模で済むのか?
ナレーションがそう言っているからいいのだ!
ただし、設定体重とナレーションが語る体重が異なるのは気のせい。
ベロンは以前の日記で触れたモチロンのように「迷惑ではあるが悪者ではない」「喋る」という、タロウ第4クール特有の怪獣です。
「サケダーサケヲモッテコーイ」とか喚くただのアル中。
こんなどうしようもない奴ですが、酔って足下がふらついて建物を破壊する、ZATから逃げて民家を踏み荒らす、酒を探し求めるなど、破壊活動の演出はなるべく悪者に見えないよう工夫されています。
タロウらしい「魅せるミニチュア特撮」は今回も健在です。
ところで、ベロンがぶら下げている徳利に入っていた酒は一体?やはりこの世界には「宇宙酒」みたいなものが存在するのか?
■忍者怪獣
こいつただの飲んだくれかと思ったら「ドロンパ」の掛け声と共に消えて瞬間移動できるという特殊能力を持っています。
そればかりかZATのレーダーにも写らない。モチロンといいベロンといい、こういう変な奴に限って何故か厄介な能力を持っています。面倒くさい!
■踊る、踊る、踊る
ベロンの飼い主・ファイル星人たち(あんな面倒くさい奴をペットにしてしまう趣味嗜好は人類には到底理解できない)の提案により、ベロンの好きな酒と踊りと音楽を利用して寝込ませたところで捕まえようという作戦に出ます。
太郎少年、その姉二人、ファイル星人たち、東光太郎と北島が踊る。
釣られて踊るベロン。
その隙を突いてZATのスカイホエールで合成した白酒をベロンに飲ませる
(何気に凝ったカット。タロウはこんな回でも特撮に抜かりなし。)
…ところまでは良かったが、酒の量を間違えたかベロンは大人しくなるどころ暴れてしまいます。
元気になった酔っ払いにスカイホエールも撃墜され、万事休す!
■ZATのスーパーテクノロジー遍歴
万事休すですが、ここでZATの技術力に触れないわけにはいきません。
過去を振り返ってみると、第3話で光太郎とポチ(犬)がライブキングに喰われた事件では朝比奈隊長がコショウ1tを発注、スカイホエールでコショウをまき散らし、ライブキングのくしゃみを誘発することで光太郎とポチを吐き出させました。
第18話ではバードン相手にトリモチ作戦で対抗すべく荒垣副隊長が「本部からトリモチを持ってこい」と指示します。
この時点で本部にはいかなる作戦にも対応できる準備が整っていることがわかります。
本作第48話では北島の「スカイホエールで白酒が合成できますか?」という要請から、その場で合成し作戦を実行してみせました。
もはや本部へ帰還せずともスカイホエールで対応可能となっています。
この驚くべき技術力の発展は高く評価されるべき!
■ウルトラマンも踊る
太郎くんたちやZATの奮闘も及ばず、ここでウルトラマンタロウが登場、颯爽とベロンを倒す
などと乱暴なことをするはずもなく踊っちゃいます。
民間人も隊員も怪獣もウルトラマンも踊る。
50年に及ぶウルトラの歴史でも恐らくこの回だけの珍事でしょう。
ところが、ベロンは更に元気になってしまった。
その時タロウは!
伝家の宝刀・キングブレスレットをバケツに変形、水をぶっかけようやくベロンはダウンしました。
タロウはベロンを宇宙へ運び、ファイル星人たちも帰還し、めでたしめでたし♪
■劇中音楽
劇中では当時の歌謡曲がそのまま使用されています↓
山本リンダ『狙いうち』
フィンガー5『恋のダイヤル6700』
金井克子『他人の関係』
フィンガー5『バラの少女』
4曲のうち上3曲はタロウ主題歌を担当した作詞:阿久悠氏、作曲:川口真氏のどちらかが関わった楽曲になっています。
それ以外のBGMもフリー音源による流用曲が中心で、タロウオリジナル曲は怪獣音楽としてお馴染みのD2と主題歌のみとなっています。第4クールは流用曲が異常に多い。
■太郎ちゃんがかわいい
最後にこれだけは言っておきたい。
冒頭、姉二人にお化粧されて花柄の着物を着せられた太郎少年がよく似合っています。
でもこれに同意してくれた人に一人しか会ったことなくてちょっと寂しいw
この後のシーンがまたタロウらしいのです。
友達にからかわれ悔し泣きする太郎ちゃんに
「よく我慢したね、感心したよ」
「同じ太郎なんだからウルトラマンタロウみたいに本当は強くても普段は優しくしなくちゃね」
眩しい笑顔で優しく諭す光太郎が実に爽やか。
この光太郎の姿こそがタロウの大きな魅力の一つだと再認識できるお気に入りシーンです。
ただふざけるだけの回ではなく、ゲストのキャラ立てや光太郎の優しさもしっかり魅せてくれた良作でした。タロウ全話の中でもトップ3に入れたいほど大好きな回です。