中学2年といえばキャンプっしょー!!
山登りとかしちゃうっしょー!!
俺も同じー。
ミートゥー、ミートゥー。
んでさー。
キャンプとかでさー。
こう、班分けされて、係りなんか決める訳じゃない。
ウチの場合は。
班長。
副班長。
食事係。
保健係。
目覚まし係。
はい、来ました。
頭の回転が速い俺。
即座に、一番仕事が、楽そうな係り見つけました。
やっぱ時代は目覚ましっしょー。
これこそ、トレンドっしょー。
この夏は、目覚ましで乗り切るしかないっしょー。
案の定、目覚まし係りの仕事は、目覚まし時計持ってくるだけ。
先生達が。
「あと一人分の係り、何か思いつきますかー?」
「うーん、特にねーよなー。」
「あっ、目覚まし係りなんてどうっすかね?」←新米教師。ビンビン。
「ま、まぁ…。それでいいか…。」
みたいな感じで決まった雰囲気、丸出し。
そして、責任感のカケラもない俺は、その係りに飛び乗った。
周りも適職だろう、と判断した。
ただ一つ。
問題が。
非常に重要なことに気が付いた。
俺の目覚まし時計。
中学生からしたら、とても幼い。
泣く子も黙る孫悟空。
「オッス、オラ悟空!!そろそろ起きねぇとヤベーんじゃねーのかぁ?」
なんつって、目覚めの悪い俺をいつも起こしてくれる。
まー、確かに恥ずかしいけど、班の奴らにバレるだけだし問題ないっしょー。
ぐらいに思ってました。
しかーし!
これが世にも奇妙な物語の入り口なのか、
はたまた、あなたの知らない世界への入り口なのか、
ワタシ、まさか、あんなことが起ころうとは思わなかったのです。
そう、場所は、いざキャンプへ出陣の決起会。
体育館に、俺らは集められた。
もう、みんな、これからキャンプっつーことでウキウキよね。
もう、ちょっとしたら、ウォッチングしちゃうんじゃねーかな、っつーくらい。
オヤツがどーだとか、バスで何を歌うだとか。
お昼休みのOLさんぐらいのオシャベリかましてる。
なんなら、徹子がいてもおかしくない感じ。
そんな中、熱血体育教師、島田の魂の叫びが響き渡る。
「テメーら、うるっせーんだよ!!!」
出ました。
お得意の、テメーらうるせぇんだよ。
これが出たら、百年の恋も目が冷めるっつーか、背筋がピシっとなります。
さっきまで、笑い声の溢れていた体育館がまるで魔法にかかったよう。
ピーンとした空気が流れ出した。
今、「あ」とでも言おうものなら、いましめとして全生徒の前で説教される。
みんな、そう感じていたはずだ。
そして、そんな生徒達を、熱血体育教師、島田は威圧した目でなめ回す。
そんな中。
一人の勇者が産声を上げた。
「オッス、オラ悟空!!そろそろ起きねぇとヤベーんじゃねーのかぁ?」
「オッス、オラ悟空!!そろそろ起きねぇとヤベーんじゃねーのかぁ?」
やべー!!悟空、超やる気満々だ!!
戦闘民族の血が騒ぎ出してる!!
俺、人一倍オシャベリに夢中だったから、悟空の気に全然気が付かなかったー!!
悟空ー!俺は起きてるよー!!!
クリリンは何度でも生き返るよー!!!
しかし、悟空は止まらない。
「誰だー!!学校に余計な物を持ってきてる奴はー!!!」
島田の、更に怒りに満ちた魂の叫びがコダマする。
「お、俺じゃない、俺じゃない。」
「俺は、余計なものなど持って来ていない。」
「あんたらが持って来いっつった、目覚ましを持ってきたんだ!!」
な、なんとかしないと…。
俺は作戦を考えた。
まず、バレないように、カバンのチャックを5cmほど開ける。←出来るだけ音漏れを防ぐことっ!
次に、そっと腕を入れ、悟空を即座に探し出す。←悟空の頭は特徴があるよっ!
そして、悟空の頭にあるポッチを押せば任務完了。←やったねっ☆
これを、島田に見つかる前に、
ミッションインポッシブルのトム・クルーズの様に行わなければならない。←もしくはジャン・レノ。
まずは、チャック…。
よし。成功。
次は、腕を入れてと…。
「あれー?もしかして弥次郎兵衛君じゃないのー!?」
は、林さん…。
何を言ってるのかしら、この子。
いや、林さんは悪くない。
その好奇心旺盛な所とても好き。
でも、空気の読めない所と、声の大きい所はちょっと…。
もうちょっとさー。
小声で言ってくれりゃあさー。
「ねぇねぇ。もしかして弥次郎兵衛君なの?」←コソコソ。
「あ、バレちゃった?うん。実はそうなんだ。でも内緒にしててくれよ?」
「うん、わかった。二人だけの秘密だね!嬉しい!!」
なんつって、ちょっとしたロマンス始まるっつーのに。
そう。
そして、犯人を見つけた島田は意気揚々と俺の前にやってきた。
「オメー、学校に何持って来てんだよ、出せ。」
俺は鳴りっ放しの悟空を差し出す。
「め、目覚ましです…。」
そういうと、悟空のサイヤパワーにやられたのか、
本能でかなわないと悟ったのか、
島田は、そっと悟空の声を止めてくれた。
悟空はいつでも俺のヒーローです。
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