自動運転には賛成の立場。いろいろメリットもあると思うので進めるべき
○メリット
・事故が劇的に減る
・事故の原因究明及び車の改善が進む
・地方の交通手段として有効
○事故が起きた時にだれが責任を取るのか
・レベル4ないしレベル5の自動運転で人間が運転に介入しない状態の場合は、搭乗者はタクシーやバスの乗客と同じなので、事故の責任は負わない(自動車側(※)が全責任を負う)
(※)メーカーや規制官庁等
・レベル3以下で人間の運転への介入がある状態は、手動か自動かで責任の所在が変わる。
人間が運転時に事故が起これば従前どおりだし、自動運転中の事故であれば自動車側が責任を負う。
事故時にどちらが運転していたかはドライブレコーダー等の記録により確認する。
このケースについてはたしかアメリカで自動運転中に事故が起きたとされた事件で、メーカー側の調査により事故時点で手動運転状態だったことが分かっている。つまり手動か自動かを確認する手段が存在する。
・次に自動車側が責任を取る場合にだれが責任を取るのか。
自動運転を管理するプログラマーか、整備士か経営者か。
これは家電や製薬会社が事故を起こした時の責任の取り方と同じでよいと思う。一義的には会社が責任を取り、責任者に故意または重過失が認められるときは会社が責任者に賠償を求める。
商品として世に出る前に当然安全性の審査はあるので、よっぽどおかしな車は流通しないと思われ、想定されるケースとしては、販売後に事故の報告があったにもかかわらずしばらく放置した挙句に、大きな事故が起きて欠陥の隠ぺいが明らかになるケースだろう。この場合責任を取るべきなのは隠ぺいを指示した経営者になる。(トップは隠ぺいを知らされていなかったと抗弁することもあるかと思うが、その辺の対応は他業種でも起きていることなので新しい事案ではない)
・自動車メーカーは事故に備え、それぞれの車体に現在でいうところの任意保険を掛ける。
自動運転化することで現在の保険額の数分の一から数十分の一で収まるはず。(事故が激減するので)
現在の保険は運転者の属性によって保険料が決まるが、自動運転の場合は自動運転の性能ごとに金額が決まるので現在よりシンプル。
保険は業者と提携してもよいし、メーカーが自社で保険部門を作ってもよい。
メーカーが保険とつながることで事故の統計等が自動車開発に役立つ。
保険料は車体の価格に含める。(事故が少ない車はそれだけ保険料が安くなり、本体価格も抑えられる)
現在は任意保険に加入していない車に撥ねられると賠償金も払われず泣き寝入りするケースも多いので、自動車メーカーが保険を払うのであれば、泣き寝入りの被害者は激減する
○事故の責任の捕捉
・自動運転時の事故の責任について、二つのケースが考えられる。
一つは自動運転が暴走し、歩道に乗り上げて人はねるケース。これは問答無用で自動車側が責任を負うべき。
もう一つは車道に人が飛び出してきて撥ねられるケース。これは現在自動車側に避ける義務があり、撥ねてしまえば前方不注意で運転手の責任が問われる。
しかし、道路交通法上、車道は人が立ち入る想定とはなっておらず、にも拘らず人がいたらよけなければいけないというのは筋が通らないと個人的には思っている
自動運転化を契機に、(横断歩道でない)車道を渡って撥ねられた場合、自動車の責任は問わない、むしろ自動車が破損した場合、その修理費用を撥ねられた人やその遺族から請求できるくらいの大転換が望ましい。
子どもなどが悪意なく道路に飛び出すケースも想定されるが、そこは親の責任だろう
これが鉄道だった場合、駅のホームから安全確認したうえで、線路に立ち入って移動するだろうか?大人なら絶対にしないだろうし、子どもも線路に立ち入ることはまずいことはわかっている。
それでも子どもが線路に降りようとしたら周りの大人が止めるだろうし、親も駅のホームで子どもがふざけていればきつく叱るだろう。
つまり、鉄道ならできることが道路でできないはずがない。道路くらいだったら車のほうが止まるだろうと高を括っているのだろう。
車道は人が立ち入ることを前提としていないということを再認識すべきだと思う。
とはいえ、路地などだと車道の両側が民家で家を出たら目の前が車道というケースもあると思われるので、車道をいくつかのランクに区分けして、高速道路や幹線道路などは人の出入りを厳に禁止し、路地などは強制的に徐行するよう自動運転をプログラミングすることでだいぶ棲み分けができると思う
○事故の検証
・自動運転車には事故の検証のため、飛行機でいうところのフライトレコーダー(ブラックボックス)のようなものを完備する。
運転操作のログ、自動運転、手動運転の切り替え、それに加え、360度カバーし、上空や車体の下、運転席もカバーするドライブレコーダーを標準装備し、データは車内の堅牢なところに備えるか、ネットを通じてデータセンターで保管する。
ブラックボックスのデータがあれば、事故後にデータを再現し、どのような状況で事故が起きたかをCGやアニメーションで再現し、その際運転手は何をしていたかが克明にわかるようになる。
現在は、目撃証言や運転手の証言が重視されているので、目撃者なし、運転者の一方が亡くなった事故の場合、生き残った方の運転手が好き放題証言できるケース、または逆に生き残ったほうの証言が一切聞き入れられないケース等が考えられ、客観的なデータがあったほうが良い
デメリットはこのデータが流失するとプライバシーが損なわれ、または損なわれることに対する危惧から強い反対が起きること。
ここは安全性の確保のため、データの取り扱いを工夫する等してなんとか標準装備としたい。事故が起きた時に自分の潔白が証明できるとかのメリットを前面に押し出すか
○自動運転車の普及
・動運転化は速やかに全車両が実現した方が望ましいが、車に愛着があるケースや単に車の乗り換えに頓着していないケースなどでマニュアルの車が長く乗り継がれることが考えられる。
自動と手動が混在すると事故率が高くなることが想像され(それでも完全手動より減少するとは思うが)状態としては望ましくない。
流通車両の完全自動化は実現するだろうか
参考になるのは、テレビの地デジ化及び携帯電話の普及である。
テレビの地デジ化はアナログ放送の停波の期日が決められ、その数年前から地デジ対応のテレビが売り出され、最後は補助金も投入して地デジ対応テレビの普及を推し進めた。
携帯電話の普及は逆に携帯の販売開始当時は人口密集地を中心に基地局を増やしていった。なので携帯黎明期は電波が来ているエリアが赤く示された日本地図などがあり、そのエリアが徐々に広がり、数年で日本全国が適用エリアになった経緯がある。一昔前は、離島や山奥は携帯の圏外なのが当たり前だったのだ。
締め切りを決めて一気に全車両を全自動にしてしまう地デジ型で行くか、徐々に対象車両を増やしていく携帯型でいくのか、いずれにしても思ったよりも早く全車両全自動化は進むのではないか
・その際に中古車市場というのが壊滅的なダメージを負うだろう。現在の在庫はすべて国内市場では無用の長物となり、おそらく海外に転売する形になると思うが、一気に転売すると値崩れするだろう。そこを補助金等で補填すると、補助金目当てにボロ車を大量に仕入れるスマートな業者もでてくるだろう。