人質司法と不思議の国のゴーン | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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先ほど、ゴーン前会長の2度目の保釈請求が認められなかったという報道が出ました。

 

「ゴーン被告の保釈 2回目の請求も認めず」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190122-00000534-san-soci

 

一度目は、制限住居をフランスやフランス大使公邸にしていたとの報道でしたので、これは無理かなと思っていましたが

2度目は、制限住居を東京都内にしたり、関係者と接触しない、検察が認める警備員による監視費用を自分で負担する、日産株を担保に保釈金を積み増す、自分の負担で電子監視装置を装着する、などといったありとあらゆる保釈に有利な要素をそろえて保釈請求をしています。

 

それでも駄目だったということは、次の準抗告が通らなければ、基本的には第1回公判期日までは保釈は難しいかなと思います。

理由は証拠隠滅、これに尽きるのでしょう。

 

先日、アメリカのウォールストリートジャーナルでは、社説で「ますます奇妙」と論評し、不思議の国のゴーンと揶揄しています。

「法廷ではなく、役員室で対処されるべき紛争のようにみえる」というのは、私もそう思います。

 

拘置所や留置場にいると、だんだんと被疑者、被告人は疲れてきます。接見禁止がついていれば面会もできません。

最初は無罪を主張して戦うといっていた被告人も、だんだんと「もうとにかく出たい」と思い始めるわけです。

 

最後は、「罪を認めれば保釈されるのであれば、認めてでも保釈されたい」

ということで、自白に転じてしまうこともしばしばです。

 

今回、国際的に注目されて、日本の刑事司法制度についても非難されています。

『日本の検察は「途方もない権力」をつかって被疑者に自白を迫っている』、まさにそのとおりです。

 

これを機会に、人質司法の問題点に興味を持つ人が増えたらなと思います。