誕生日おめでとう、私。
やりたいことはいっぱいあるのに、気力が続かない。
そんなに忙しくないのに、すぐ疲れちゃう。
20代30代の頃には理解できなかったつらさに、
毎日悩んでいます。
あと何年も働かなきゃいけないと思うと泣きたくなる。
明日から一泊で旅行に行きます。
晴れているといいな。
誕生日おめでとう、私。
やりたいことはいっぱいあるのに、気力が続かない。
そんなに忙しくないのに、すぐ疲れちゃう。
20代30代の頃には理解できなかったつらさに、
毎日悩んでいます。
あと何年も働かなきゃいけないと思うと泣きたくなる。
明日から一泊で旅行に行きます。
晴れているといいな。
わ!前回投稿は2019年。
今、何年?
何年、といえば、今日、ある書類を書く時に「令和 年」の欄で手が止まってしまった。
令和何年だっけ。2年? 3年?
3年ってことはないよな、令和3年なんて聞いたことがない音だ。
と思ったけどいちおうスマホで調べたら令和3年だった。
さて、先日、clubhouseで落語を披露した。
脚本家の今井雅子さんの小説「膝枕」をいろんな人がそれぞれの表現で朗読をする「オトナの朗読リレー」という企画があり、それに参加したのだ。
アレンジ自由という今井さんのお言葉に甘えて、落語にアレンジ。
なかなか好評で、「僕も私もやってみたい」という声をいただいたので台本をシェアします。
原作はこちら
では、今井先生の小説をもとに、落語アレンジした私の落語台本を掲載します。
演じてみたい場合、無料でお使いいただけますが、ひとこと事前にご連絡ください。
https://twitter.com/yagajun0218
*****************
原作 今井雅子「膝枕」
落語台本 やがら純子
クマ:(戸を叩く音。ドンドンドンドン) おーい!兄貴!
ハチ:うるせえなぁ、朝っぱらから。休みの日くらい静かに寝かしといてくれたって
いいじゃねぇかよ。おう、なんだい、クマ。
クマ:おう、兄貴。いま、そこの路地を出たところで
兄貴にこれを渡してくれって頼まれたんだよ。
ハチ:おれに?なんだ、ずいぶん大きな木箱じゃねえか。
クマ:そうなんだよ。しかも重てえんだ。兄貴、早く受け取ってくれよ。
ハチ:得体のしれねえもんはうけとれねえよ。持って来たのはどんな奴だ。
クマ:どんな奴って…、白髪頭のばあさんだよ。みたことねえばあさんだ。
…とにかく壊れもんだから、大事に運んでくれっていうから大事に運んできたんだよ。
ハチ:白髪頭のばあさん! そうか!おい、とにかく中へ入れ。そうだな、そこに置いてくれ。
そおっとだそおっと。そうそうそう。
釘抜きとってくれ。(釘を抜く)うっ、うっ・・・
これまたずいぶんご丁寧に厳重に釘を打ち付けていやがる。
よし。板をはずすぞ。せーの!
クマ:わっ!しししし死骸だ!兄貴、死骸だよ、人殺しだよ。大変だ!大家さん呼んでくる!
ハチ:まて! これは死骸じゃねえよ。
クマ:え?どう見たって死骸だよ。
女の子を殺して、真っ二つに斬って、腰から下を送りつけてきたんだよ。
ハチ:クマ。これはな、枕だよ。膝枕だよ。
クマ:膝枕?膝枕って、兄貴の好きな?
ハチ:そうだよ。
クマ:え、ちょっとまって、膝枕って物なの?物体なの?
人の膝に頭を乗せる行為を指して膝枕って言うんじゃないの?
ハチ:うるせえな、知ったふうな口聞きやがって。ハナから話してやるからよく聞けよ。
十日ほど前、浅草の観音様にお参りに行った帰りに、
ばあさんが草履の鼻緒が切れて立ち往生していたんだ。
若い女ならば、そこらじゅうから男が駆け寄って俺が直すだ送ってくだとなるが、
ばあさんとなるとみんな知らんぷりだ。それで俺が直してやったのさ。
クマ:兄貴、いいとこあんじゃん!
ハチ:ばあさん、喜んでな。お礼がしたいが、あなたさまは膝はお好きですかって聞くんだ。
クマ:膝?
ハチ:ああ。草履を直している間、片足立ちのばあさんは俺の肩につかまっていた。
肩を貸していただいたから、お礼に膝を差し上げたいって。
クマ:へえ。
ハチ:で、どんな膝が好きかというから、ちょっとぽっちゃりして、大人しくて、
品がよくっていかにも箱入り娘って感じの女の子の、
柔らかい膝枕で寝てみたいって言ったんだよ。
そしたら、わかりました、近いうちに膝枕をお届けしますって。
クマ:へえー、それで、これがその膝枕か。
たしかに箱に入ってたもんね、箱入り娘の膝枕だ。
女の子が行儀良くかしこまって座っている形だねー。
でも兄貴、腰から下だけの人形なんて、俺初めて見たよ。
どんな寝心地なんだろう。ごろーん!
ハチ:おいおい何やってんだよ。俺の膝枕だよ。
でもどうだい、この着物の裾から覗いた膝頭!
色白で肉付きがよくて、可愛いじゃねえか。
顔なんかなくたって、俺はこの子がどんなに可愛いかわかるよ。
そうだ、名前をつけよう、膝枕、枕、、、あ!枕のまーちゃん。
まんまるお膝のまあちゃんだ。こりゃいいや。
まあちゃん!えへへへへ。触っていいかい?ああ、肌がすべすべ。
クマ:兄貴、やっぱり、怖いよ。
ハチ:怖くねえよ。死骸じゃねえんだから、作り物だっていってんだろ。
クマ:そうじゃなくて、兄貴が怖い。
ハチ:うるせえ。とっととけえりやがれ。
まあちゃん、ごめん。大きな声出して、怖かったよな。
おれ、普段はこんなんじゃねえんだよ。クマの野郎が変なこというからさ。
・・・えーっと、なんか、二人きりって照れるな。
そうだ、なにか飲むかい?って、顔がないのに飲めねえよな。
膝枕:コトコトコト。
ハチ:え?なに?いま動いた? もしかして、返事したのかい?
膝枕:スリッスリッ
ハチ:膝頭を擦り合わせて…まあちゃん、人の言葉がわかるのかい?
膝枕:スリッスリッ
ハチ:そうか、俺の言うことがわかるのか。
まあちゃん、かわいいよ。
膝枕:スリーン
ハチ:うわぁ、かわいいっていったら膝頭キュッとして恥じらって、たまんねえなぁ。
まあちゃん、こんなきたねえうちで申し訳ないけどよ、今日からここはお前のうちだよ。
楽にしてくれ。
膝枕:スリースリー。
ハチ:なに?「末永く宜しくお願いします。膝枕をどうぞ」?
いいのかい?
膝枕:スリスリッ
ハチ:じゃあ、頭乗せるよ、いいかい。そおっとな…
うわわわわわ、、、、、
やわらかーい
気持ちいーい
肌の手触りも人間の女の子そっくりじゃないか。
まあちゃん、おれ、幸せだよ。
膝枕:トントン トントン
ハチ:おいおい、跳ねるなよ。
そうか、まあちゃんも幸せかー。
= とまあ、それからというもの、この八五郎、膝枕に夢中になってしまった。仕事が終わると、いつもならちょっといっぱいひっかけて帰るところが、まっすぐうちに帰る。うちに帰ると、おかえりなさいとでもいうように、膝枕が正座して待っている。膝枕に頭を預けながら、その日あった出来事を話す。膝枕のまあちゃんも、膝をスリスリと擦り合わせてうなずいたり、コトコト跳ねて笑ったりしてくれる。二人にとっては、いや、片方は腰からしただけだから、一人と半分にとってはそれはしあわせな毎日だった。
毎日が充実してくると、人間は顔が変わる。顔が変わると、運が向いてくる。 =
お久:(優しく戸を叩く音 トントントン)ごめんください。はっつぁん、いる?
ハチ:誰だい?
お久:わたしよ、お久です。ねえ、話したいことがあるの。あけてくれない?
ハチ:お久ちゃん?あ、ちょっと、待ってくれ。
えーと、まあちゃん、ちょっと風呂敷に隠れていてくれるか。ごめんな。
お久ちゃんってのは、仕事で世話になってる親方の娘さんなんだ。
なんだって急にうちを訪ねてきたんだろうな。
ちょっと、じっとしといてくれよ。
(戸を開ける)
お久ちゃん、どうしたい?
お久:あがってもいい? (部屋にあがる。)ありがと。(座る)
あのね、おとっつぁんがこないだ縁談を持って来たの。でも断った。
ハチ:え?縁談を?そりゃなんで。もったいない。
お久:もったいないなんて言わないで。はっつぁんがいるから断ったのよ。
あ、ごめんなさい。急にこんなこと言われても困るわよね。
縁談をお断りしたいって言ったら、おとっつぁんが、誰かいい人がいるのかって。
いるなら、家に連れてこいっていうの。まだそんな仲じゃないんですって言ったら、
だったらちゃんと話をしてこいって。だから来たの。
ハチ:お久ちゃん…。
ねえ、はっつぁん、あたしのこと、嫌い?
ハチ:いや、嫌いなわけないよ。
おれは子どもの時分からずっとお久ちゃんのことが
膝枕:カタカタカタカタカタカタ
お久:なんの音?
ハチ:ねずみだろう。長屋にネズミはつきものだ。
お久:そう。ねえ、はっつぁん、私のこと好き?
膝枕:ガタガタガタガタガタガタ
お久:なに?
ハチ:ね、猫じゃねえかな。猫がねずみを追いかけてんだろう。
お久:ねえ、ちゃんと答えて。私のこと…ねぇ、この部屋、誰かいる?
ハチ:え、いや、誰もいやしねえよ。貧乏長屋の一間(ひとま)だよ。
隠れる場所なんかありゃしないよ。
お久:でもさっきから、わたし、誰かに見られている気がするの。
じとーっとした目で誰かが見てる。
ハチ:それは、ほら、あれだろう。長屋の壁なんて薄っぺらくて節穴だらけだ。
隣の奴がのぞいてんだよ。
おい、クマ!覗いてんじゃねーぞ!
・・・お久ちゃん、この話はまたあらためてってことにしねえか。
この汚ねえ部屋でする話じゃねえと思うんだ。
お久:わかった。今度、うちに来て、おとっつぁんとお酒でも飲みながら話しましょ。
おとっつぁん、近頃いつも言うのよ。この頃、八五郎は仕事の腕が
メキメキあがったって。あいつは見込みがあるって。
だからきっと、喜んでくれると思う。じゃあね、ごめんください。
ハチ:(呆然)
はあ・・・知らなかった。お久ちゃんが俺のこと、好いてくれてたなんて。
このところ、よく仕事場に顔出しちゃあ俺に話しかけてきたが、そうだったのか。
あ、でも、まあちゃん、どうしよう。
膝枕と喋ってるとこなんか見られたら、お久ちゃんに嫌われちまう。
(思案)
(風呂敷の上から膝枕に話しかける)
まあちゃん。まあちゃん。
怒ってるよな。ごめんな。
まあちゃんには本当によくしてもらったと思ってるよ。
でもな、まあちゃんと出会う前から、俺はお久のことが好きだったんだ。
それに、そろそろ所帯を持って、国のおっかさんを安心させてやりてえんだよ。
身勝手だよな。ごめんよ。でも・・・
おれ、これからまあちゃんを返しに行く。あのばあさんがどこの人かは知らないが、
観音様の境内に置いておけば、きっと親切な人がばあさんに届けてくれると思うんだ。
=まあちゃんは何も答えなかった。夜になると、八五郎はまあちゃんを担いで観音様に向かった。まあちゃんが夜露に濡れないように、庇の下にそっと置いた。=
ハチ:まあちゃん、すまない。
膝枕:コトコトコト。
ハチ:え?なんだい? 「今までありがとうございました」?
いや、礼をいうのは俺のほうだ。楽しいことがいっぱいあったよな。
膝枕:コトコトコトコト。
ハチ:ああ、たくさん喋ったなぁ。
膝枕:コトコトコトコト。
ハチ:うん、たくさん笑ったなぁ。
膝枕:スリースリスリスリー
ハチ:なんだって? 「最後の、膝枕をどうぞ」?
うん。そうだな。そうしよう。別れの膝枕だ。
あああ、気持ちいい。おれ、まあちゃんの膝枕のあったかさ、一生忘れねえよ。
膝枕:「ワタシタチ ハナレラレナイ ウンメイナノヨ」
ハチ:え?まあちゃん、いま喋った?
いてっ、いててててっ、まあちゃん、なにすんだよ。
股で頭を挟み込んで、いてててて。
締め付けないでくれ、いててて。わかった、わったから、離してくれ。
だれか、誰か助けてくれー!
クマ!クマー!助けてくれー!
(走る)
ハチ:(戸を叩く音。ドンドンドンドン)クマー!クマー!
クマ:兄貴? どしたんだい頭に膝枕のせて。みっともねえから早く降ろせよ。
ハチ:ばかっ!取れねえんだよ。まあちゃんをばあさんに返そうと思って、
観音様にいったらよ、急に股で頭を挟み込んでキリキリ締め上げやがんだ。
観音様んとこから頭にのっけて走ってきたんだ。頼むよ、ひっぱってくれ。
クマ:うん、じゃあ、いくよー!せーのっ!うーっ!
ハチ:いててててて。俺の頭がもげるよ。
大家:おいおい、お前さんたち、何を夜中に大騒ぎしてるんだね。
クマ:あ、大家さん、兄貴がね、
カクカクシカジカでこんなみっともないことになってるんですよ。
ハチ:クマてめえ、なに面白がってんだ!いてててて。
大家:これは大変だ。クマさん、あなた、箱と一緒になにか預からなかったかね?
クマ:あ!そうだ!この紙。おれ、字が読めねえんで忘れてた。なんて書いてあるんです?
大家:「この商品は箱入り娘ですので、返品・交換は固くお断りいたします。
責任を持って一生大切にお取り扱いください。」
外し方は書いてないようだね。
ハチ:大家さん(涙)。いてててて。
大家:だが、箱入り娘としてご両親に大切に育てられたお嬢さんだ。
話せばきっとわかってくれる。
(膝枕に呼びかける)
なあ、膝枕のまあちゃんや。私はこの長屋の大家だ。事情は聞かせてもらったよ。
お前さんの気持ちはようくわかる。
信じていた人に裏切られたと、そう思っているんだな。
でもな、まあちゃん、お前さんが本当にはっつぁんが好きなら、
こうやってはっつぁんを痛めつけることで、
お前さん自身もますます辛くなるんじゃないのかい。
どうだい、ここはひとつぐっと堪えて、はっつぁんの幸せを願ってやろうじゃないか。
(膝枕からゆっくり力が抜けていく)
クマ:あ!ああああ、膝枕が!・・・とれた! とれたよ。よかったなぁ。兄貴。
でも、なんだかまあちゃんも可哀想な気もするなぁ。
ほら、兄貴、見てみろよ。膝枕が涙を流しているよ。
膝が泣いてるよ。
ハチ:なに?膝が泣いてる?
おれはこれを頭に乗せて走ってきたんだ。俺の膝は笑ってるよ。
完