その街は、日本有数の大きな自動車工場の在る街である。
駅に通じる四車線の本通りには、電気量販店等の入った総合店舗が在り、買い物客や、仕事の車で、土日とも成れば、かなりの渋滞である。生活道路の感がある。
一本入った裏通りは、二車線で有りながら、昼間は工場の部品を運ぶ車で結構賑わって居る、所謂商業道路である。
道路沿いには、下請け工場、髪結い屋、小さな電気店等が建ち並び、下町の雰囲気がある。
初冬の夕暮れは早く五時とも成れば、辺りは夕闇で包まれ、飛行機雲の軌跡が赤く染まり、椋鳥が寝ぐらを探し姦しく騒ぐ。
黄昏に染ったその街は、昼間には無かった風情が漂う。 そんな街が好きである。
間口が半間にも満たない居酒屋(昼間は鯛焼き屋)、焼き鳥屋の軒先には提灯が灯り、麻雀荘のネオンに灯が入る。
その鯛焼きは大きな羽根が付いて居て、少しほろ苦くアンコと一緒に食べると中々の物である、二匹は直ぐに食べてしまう。客の顔を見てから焼き出すので十五分程待つ事に成るが電話を入れて置くと良い。
焼き鳥屋に至っては、入ると直ぐにカウンターが有り、椅子には如何にも手作り風のかなり年期の入った小さな座布団が敷いてあり、六人程座れば一杯である、座ると言うよりしがみ付く感じである、人一人通るのがやっとで、奥には小さなテーブルがニ卓、一四、五人も入れば満席なのである。
若い夫婦二人でやっている、大将は寡黙だが嫁はこれがまた中々の美人で可愛い。写真入りのメニューは親切で判り良い、かなりの種類が有り、塩串、手羽焼きは絶品だ。呑み物もハイボール、焼酎、地酒とかなり豊富に揃えてある。
続きます 🎌