僕は此処で
君からは見えない世界で
君の成長を祝おう
二十歳になったばかりの君を
初めて見つけた時から
季節はあっと言う間に過ぎたよね
何度も何度も桜の花が咲き
街の銀杏並木が色付き
冷たい雪が落ちた
そうしてこの二十五年
僕達は、一瞬すれ違ったかと思うと
信じられないスピードで
引き離されたんだ
いや…
そんな振り向く程の一瞬で
君は僕を通り過ぎた
それを認められるまで
心が理解するまで
こんなに時間が必要だったのかと思うと
その年月は、君と僕に
一体何を残していったのか.…
朧げな記憶の中にいた
まだ笑い方も知らない幼い君が
今はもう 綺麗なドレスを翻し
こんなにも堂々と人生を生きている
確かに僕にも
同じ時間が流れたのだけれど
反対に僕は、こんなに老いてしまったよ
今はもう、自分の足で立ち上がる事も出来ない
死の淵に片手をかけた状態で
僕が君に渡せる物は何一つ無いんだ
だから僕は此処で
君が君に相応しい人と生きる事をただ祈る
今の僕には
そんな愛の形しか残ってないんだよ
君が望んだ幸せと
僕が作ろうとした幸せは
割れた鏡の中で
全く反対の所から光を放つ
それでも僕の側の光が
君の行く末を照らせるならば
僕が生まれた意味も
少しはあったんじゃ無いかと思うんだ
だからもし願いが叶うなら
僕が此処から去る時に
それを土産に持って行こう
二人だけが分かる形にして
そしてそれはいつか
風に乗りこの星の欠片として
豊かな大地を育むだろう
それが
僕が君を見つけ出した
本当の意味かも知れない。