小さな子供二人を小さな彼女は一人で必死に育てていた
明るくけなげに
誰にも頼らず
自分でこの子たちを育てるんだって
転勤族だった親に連れまわされ、ふるさとを持たない彼女
両親の離婚で親とは縁を切り、結婚して子供を二人授かったものの
旦那は暴力やお金にいい加減だったためうまくいかなくなる
一人で育てる決意をした
いい加減な気持ちではなく
真剣に彼女を守ろうと思った
何をしてあげれるわけでもなかったが、子供は自分のことを気に入ってくれ、彼女の心の負担を少しでも軽くできればと
ただそれだけの思いでそばにいた
今まで住んでいたアパートでは家賃が高いため市営の住宅に引っ越した
運よく一回目の抽選で当たった
自分の少ない貯金を全部使い、必要なものや、引越しの費用にあてた
当時はアルバイトの身分で、大学院にいくために貯めていた貯金だったが、結局奨学金を申請した
本気で思った
こいつらの父親になろうって
血はつながってなくても
ずっと一緒にいて、しぐさや癖まで似てきた
悪さやいいわけばっかりするところまで似てきやがった・・・
大変だったけど、すごく充実もしていたし、全てが自然になっていた
だけど
大事なことからたくさん目を背けていた
自分に課せられたこと
捨ててもいい
そこまで思ってたけど
彼女に言われた
ホントにいいの?
私はあなたにいっぱい助けられてるけど
私はあなたになにもしてあげられていない
あなたの両親は孫がほしいんじゃないの?
私はもう子供はいらない
二人で十分
そんなこと関係ない
そうずっと思ってた
そんなこと初めからわかってた
わかった上で一緒にいた
ずっと一緒にいるつもりだった
でも、その言葉は私に重くのしかかった
両親の顔も浮かんだ
けっきょく私は彼女を傷つけていただけなんだって
3年間、いっぱい笑っていっぱい泣いていろんなとこもいって
喧嘩もした
でも、そんなことは些細なことだった
結局、関係に終止符を打つ結果となってしまった
どこで歯車がずれたのか
年の差
子持ち
生きる世界の違い
多くのことが彼女にとって負担だったんだと思う