~another episode~ とある恋愛の話
彼の真っ直ぐな目が昨日は見れなかった。
まったく別の顔に見えた。
言葉が響かない。
いたずらした子供のごめんなさいとは訳が違うのに。
真っ直ぐこっちをみて、ごめんなさいと言う。
もうしませんと言う。
最初の浮気の時、彼は僕の顔が見れないと言って目を伏せた。
なんで、そんなに真っ直ぐこっちを見る。
彼は変わった。
自分が悪いことをした顔じゃない。
どこか自信が見え隠れする眼差し。
深く傷つけてごめんなさい。
もう浮気はしません。
信用はできない。多分、この先ずっと。
なら、もう一緒にはいられない?
それも違う。
きっと僕が求めてるのはそんな言葉じゃない。
浮気を告白する側と告白される側。
どっちもなんて、みっともないんだろう。
なら何を求めてる。
謝罪の次に何を求めてる。
分からない。
分からないから言葉が出ない。
もしかしたら。
自堕落でだらしがなくてどーしょもないこんな自分でも、君のことが好きで仕方がない。
そんなような、がむしゃらな印みたいなものが欲しかったのかもしれない。
それが見えれば、たとえ許せなくても、きっと昨晩は一緒にいれたのかもしれない。
変なきまじめさなんていらない。
毅然とした態度なんて見たくない。
嘘もろくにつけないなら、最初から真っ直ぐ生きればいい。
嘘をついたなら、その曲がった道を貫き通せばいい。
多分、この瞬間、彼は本気で思ってる。
もう浮気はしない。
正直で頑固で気真面目でつまらない男。
でも、正直な彼はきっとまた浮気をする。
仕方ない。
それでいい。
浮気はする。
でも、彼氏を愛する。
浮気は隠して彼だけを愛するふりをする。
信用しているふりをする。
でも、本当は分かっている。
ただお互い核心には触れないでおく。
辛いだけだから。
ゲイだから、仕方がない。
ゲイだから。
とんだ茶番。
でも、茶番の上にも愛はある。
そう信じたい。
今はまだ茶番の上でしか生きられない僕ら。
castは、可笑しくも哀しくもある僕ら。
知っていた?
こんな茶番でも、演じきるには、それなりの覚悟が必要だったことを。
いくつかの愛と、優しさだけじゃない。
思いやりだけじゃない。
最初は、舞台袖でのちょっとしたハプニングだった。
二度目は、どこかで台詞を間違えてしまった彼。
狂いだした歯車。
甘い蜜だけ舐めていればいいはずだったのに。
先が見えなくなったストーリー。
僕は未だ次の台詞が見つけられないでいる。
発展車両
眠い目をこする。
イヤホンからは最新のビルボードチャート。
誰もが退屈する朝の通勤電車。
この上なく憂鬱なこの時間を、極上の楽しみに変える方法をご存知?
プシュー
ほら、たくさんの欲望を運んだ電車が、音をたててドアを開けた。
ここは、SEX AND THE GAY TWN。
パリっとしたスーツがもっとも男を魅了する衣装であることを、
もちろんサム熟知している。
ほら。さっそくひっかかった。今朝のお相手。
体のデカイ短髪リーマン。スーツ越しにも分かる逞しい胸。大きな尻。
ごつごつした太い指を見て、思わず舌なめずりをするサム。
車両の奥へとなだれ込む人の波の中、
偶然を装って、ぴったりと体を寄せてくる彼。
電車が動き出すと、その揺れにあわせて、さりげなくサムの股間に軽く触れてくる。
いまサムは顔を歪めて、初めての痴漢に戸惑うリーマンを演じてる。
密閉された空間でどうすることもできず、身をよじってみせると、ほら。彼の興奮するが手にとるように分かる。
いつの間にか、手の甲から手の平に返している彼。本格的に揉みしごいてくる。
吐息が耳にかかる。小刻みにふるえる鼓動をじかに感じる距離。
その頃、ようやく、サムも彼のモノへと手を伸ばす。
言うまでもなくいきり立った男のペニス。スーツ越しにその感触を形を楽しむ。
目的地に近付くにつれ、次第にもどかしくなるサム。
そっと自分のジッパーを下ろし、彼の指をその中へと導く。
息をのむ彼。調子にのって、むきだしのアンダーウェアの更に奥へ進もうと必死にもがく彼の太い指。
更なるもどかしさを覚えてヒートアップしたサムは、止らない。
完全な死角のチャンスを伺い、そのまま引っ張り出す。
そこには、いつの間に合うか、初々しいリーマンから
変態露出リーマンに豹変しているサムがいる。
顔は完全なるポーカーフェイス。
どこにでもいる、気だるくて朝が苦手なサラリーマン。
でも、自分と彼のバックの間、ジャケットの裾の奥では、驚くべきことになっている。
彼の視線が泳ぐ。お願いだから平然を装って。
周りにバレて、しょっぴかれるのはこっちなんだから!
車両の窓から、都心の連立したビルが覗く。そろそろだ。
静かに腰を弾き、そっとジップをあげ元の位置にもどす。
溢れ出した汁でスーツが汚れる一歩手前。
でも、楽しみはここまで。
速度を落とす電車。
仕切りと汗ばんだ手を重ねてきて、何かを訴えてくる彼。
そんな彼の手をさりげなくかわす。
ごめんなさい。人の温もりには興味がないの。
プシュー
ドアが開き終了の合図。
決して振り返ることなく、ヒールを鳴らしてサムは人の波へと消えてゆく。
朝の発展車両。
仕事に行く前のほんの限られた時間。
一日の通過点で、あくまで偶然そこに居合わせた人との、一瞬の交わり。
終わらずして終わる楽しみ。
だからこそ最高にスリリングで興奮する。
デスクに向かっていると、ふとフラッシュバックする彼の太い指。
スーツ越しの滑らかな感触を思い出す。
仕事がはける頃、サムは考える。
さて。終わらずして終わったその続きはどうしよう。
夜が待っている。甘く淫らな期待を膨らませて、サムは今日も席を立った。
乱パ★
たったひとりの好きな男と部屋でやるのもいいけど、
時にはたくさんの男と入り乱れてみるのもいいじゃない。
2本の手が10本に増えて、無数の舌が体を這う。
ぎらつく野獣たちの視線に犯されれば、
そりゃ快感だって倍増よ。
夜20時。仕事を終えて、某ホテルに出向くと、
うす暗がりの中、既に20人弱の男たちが。
分類すると、こう。
モテ筋のイケメン= ごく小数、
まあそれなりにイケる人= 3~4人、
ブス= 多数、
ひどいブス= 3~4人、
その他の大多数は、まあやれる、もしくは、やれなくもないレベル。
まあ、おおよそ世の中の比率もこんなもんよね。
さっそうと暗がりへと踏み出すサム。
適当な男たちに身を委ねつつも、ほどほどにして次の男へ。
早々に終わってしまったらつまらない。
つねに視線は遠くへ、手はまだ知らない男の股間を探す。
イケメンになんとか群がろとするブスども。
一度くわえついたら、絶対放そうとしない姿は、まるでスッポンの妖怪。
暗闇でしか生きることが出来ないなんて、なんてかわいそう。
ベッドを大胆に占拠し、完全に二人の世界のガチムチ。
多分、そこにいた全員が思っていたはず。
あんたら、何しに来たの?
ここは、乱パよ!!
一際、輝くイケメンが。
短髪ヒゲ、そしてデカマラ、いわゆる万人受けするモテ筋。
ふてぶてしい表情で、仁王立ちで、男どもをはべらせ順番にしゃぶらせてる。
手は腰にあて、自分は他の男にはいっさいノータッチ。
な、なんて高飛車なのかしら。。。
適当に数人で交じわっていたサムの目の前に、
ふとデカマラがにゅっと伸びる。
モテ筋君がこれみよがしにいきり勃たせて、
このサムを挑発してくるじゃない。
絶対しゃぶるもんか。。。
目が合うと、眉を動かす彼。(ほら、しゃぶれよ。)
パクッ。
はっ。
ついうっかり。
いいの。楽しんだもん勝ちよ。
自分を落とす喜びを知らないなんて彼は可愛そう。
でもスッポン妖怪じゃないサムはひとしきり楽しんで早々に次の男に明け渡して、
そのままお隣りのイカニモコンビの交わりへとなだれ込む。
パーティーも終盤にさしかかり気付くとイケメン率が高くなっている。
楽しむことを知った人たち。熱気は最高潮となり、クライマックスへと。
後ろから羽交い締めにされ両脇にも男、たくさんの視線
この上ない絶好調な状態で、自分をどこまでも解放していくサム。
ほら。もっと見て。淫らなアタシを。
視線を落とすと、最後にサムのをくわえ込んでたのは例のイケメンくん。
思いっきり顔にぶっかけてやった。
彼はというと、妖怪にくわえ込まれ、そのまま切なそうな表情とともに大量に発射。
なーんだ。アンタもMだったのね。(ド、がつく)
二人を皮切りに次々と発射していく男たち。
宴の終焉。
乱パ。
その中でいかに中心的な存在になるか。
自分にたくさんの男を群がらせるか、が鍵になってくる。
その頃、サムはというと男を掻き分け、ベットをはねて、
さっさとシャワー室へと駆け込んでいる。
遊び終えた男たちがつくる、ホテルの部屋に1つしかないシャワー待ちの長蛇の列。
なんて無駄な時間なのかしら。
自堕落な男どもを尻目に、颯爽と部屋を出る。
そして、夜風を身にまとい、今宵の宴の余韻を反芻する。
刺激的でセクシーな夜にアディオス。
そう。ここは、SEX AND THE GAYTOWN。
