柔ら雨(やーらあみ)よ 欲(ぷ)さよ
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 わがいとしの今井遥さんが出場したグランプリ中国大会がもう終わるというのに、体調のすぐれぬ日が続いたせいで、ようやくのこと、前大会のスケ・カナの感想です。

 今回のスケート・カナダ大会でぼくを一番喜ばせてくれたのは、女子ではウクライナのナタリア・ポポワ選手、男子ではアメリカのジョシュア・ファリス選手でした。2人ともまだ若く、ぼくは初めてその演技を見ましたが、すっかり一目惚れしてしまいました。
 ところが、この2人、順位が低かったせいもあってか、ショートの演技は映像をユーチューブで見られても、フリーの映像はいまだ公開されておらず、ぼくは見逃したままになっています。とても悲しい。

 そこで、もう順不同で手当たり次第に、過去のこの2人の演技の映像を見まくりました。2人とも確かに才能の豊かさを感じさせましたが、まだ全体的に演技がおとなしく、過去の映像だけ見たら、ぼくは心にとめなかったかもしれません。
 このカナダ大会で、2人とも非常に大きな飛躍を遂げています。あのショートの演技を18歳とか20歳の選手が滑ってしまったというのは、ぼくにとっては事件に等しいんですね! 2人とも、ステップシークエンスが圧倒的にすばらしいと思いました。
 では、順に、ポポア選手から振り返ってみましょう。

Natalia POPOVA


 ポポワ選手は、まず何といっても、背が高くて長い足をのびのびと生かしたスピンが実に美しいですね! 高い位置で回転するあのおみ足のカモシカのような生命力には、正直、しびれました。
 それ以前に、スケーティングの基礎がしっかりしていて、安心して見ていられるのが何よりです。体の大きさを十分生かして、演技に大きなスケール感を感じさせるところがとてもいい。また、過去の演技ではまだ安定性を欠いていましたが、跳躍する高さを使って回転するジャンプも大変気持ちのよいものです。

 ぼく個人の好みとしては、長い歩幅を使って回転するジャンプより、跳躍する高さを使って回転するジャンプの方が好きなんですね。
 今回ショートで1位になったアメリカのグレイシー・ゴールド選手の低空ジャンプは、ですから、ちょっと好きになれません。優勝したロシア少女ユリアちゃんも、超低空飛行のジャンプなので、いつも冷や冷やしながら見ています。あそこまで低いと、これから本当に大丈夫なんですかね? ちょっと心配してしまいます。

 ポポワ選手は、高得点源となる連続3回転ジャンプがまだ跳べませんし、シニアに上がって間もないためPCSも低くなっていますが、ステップとスピンは確実に一線級です。高難度ジャンプは今後じっくりと自分のものにしていくとして、あとはハートの熱さを演技上どうやって表現するか、その見せ方、魅力の出し方でしょうね。その点では、スケートがバージン的な生硬さ、基礎に忠実な生真面目さからまだ抜け切れておらず、演技の色気みたいなものが出てくるのはこれからなのでしょう。ワクワク!
 でも、国際大会で彼女が上位に上がってくるのは時間の問題です。まさに、柔ら雨の期待の星の登場です!


Amélie Lacoste


 逆に、今回、ベテラン選手で好演技を見せてくれたのが、カナダのアメリー・ラコステさん。
 ぼくは、ショートプログラムは彼女のベスト演技だったんじゃないかと思いますが、でも、点数はさっぱり伸びませんでしたねえ。PCSが6点台後半というのは、あれだけ味わいのある演技をするラコステさんに対し、さすがにちょっと最低限の敬意を欠いていて、ぼくは失礼だと思いますよ。

 ラコステさんの今回のショートは、ダンスの振りの過剰さがいささか雑駁な印象を与えるケイトリン・オズモンド選手よりも高い点数が出てよい、すばらしい熱演だったと思います。
 といっても、ぼくはケイトリン選手のダンスは好きです。今のところはまだ床の上のダンスの延長上にあって、これが本当に氷上のダンスになったときが飛躍のときでしょうね。彼女、フリーを棄権したようですが、どうしちゃったんでしょ。ひどい怪我などしていなければよいのですが……。


Joshua FARRIS


 アメリカ男子は、順位はさておき、今回も魅力的な演技を見せてくれました。
 新顔のファリス選手に触れる前に、氷上のアーティスト、ジェレミー・アボット選手の今回の演技も実にすばらしいもので深い感銘を受けましたし、若手のロス・マイナーくんの演技にも相変わらず好感しました。アメリカ男子の水準は本当に高いですね。

 今回初めてその演技を見せてもらったファリス選手、まだ18歳ですって? にわかに信じられないほど高度なスケーティングを見せてくれたと思います。ただもう感嘆! ほれぼれと見入るほかありませんでした。
 羽生結弦くんの将来のライバルとなる真の強敵のひとりでしょうね。今はジャンプで羽生くんの方が勝っていますが、ステップではファリス選手の方が圧倒的にすぐれています。フィギュアのスポーツ性よりもダンス性に引きつけられる柔ら雨としては、羽生くんよりもファリスくんの方が高い評価になってしまいます。一押しの注目選手です!

 ただ、過去の演技を見ていますと、どれもジャンプの失敗が痛過ぎますね。今回のショートでも冒頭のジャンプがずっこけてしまいました。女子のポポア選手が今回、安定度の高いジャンプを跳んでいたのに比べても見劣りがします。何とかジャンプを物にして、早く上位に食い込んできてほしいスケーターです。

 新人選手といえば、アメリカ女子のコートニー・ヒックス選手の演技にも注目しました。この子、すごく個性的ですね! 好感しました。しかも、彼女、4回転を試合で跳ぶつもりでいるみたいですよ。とても楽しみな選手が出てきました。
 女子については一通りコメントしましたので、あっ! 明子さんの演技は文句なしだったです、なので突っ込んだコメントは次の大会に持ち越すことにして、さいごに男子の上位選手について。

 パトリック・チャン選手は、前回コメントした(えーと、いつでしたっけ?)とおり、演技のダンス性を確実に強化してきていますね。他のフィギュアブログでも、今回、その点を好感するコメントを複数読みましたから、ぼくの見方が誤っていなかったことが確認されました。
 ただし、ダンス性といっても、高橋大輔くんと同じ方向のダンスではなく、そのスケーティングに手の振りや上半身をもっと連動させていこうとする「足高手低」のダンスですね。そういう方向のダンスもあってよく、しかも、これ、確実にPCSに反映されると思います、とりわけパトリックの場合にはね。

 でも、まだまだダンスにはなり切れていないかな。チャンくん、演技の始めから終わりまで、ひじを畳んで体に引き寄せることが一度もありません。ヤジロベイみたいに、ひじを伸ばし切り、肩の位置で水平に広げた姿勢を決して崩そうとしないんですね。

 ダンス要素としてのひじを畳む動作は、スケーティングのバランスを不安定にする反面、スケーターの人間性・内面性を表現しやすい演技要素です。その意味では、チャンくんのダンスはあいかわらず人間的な内面性を表現するものにはなっていません。
 チャンくんのあのヤジロベイには、見ていてさすがに苛立ってくるのですが、かれ、そこまでダンスに踏み込もうとはしないでしょうね。オレさまの足を見よ! というのがチャンくんの譲れぬ自己主張なのですし、実際、足がそれ自体であれだけダンスしている選手はほかにいませんからね。

 ちなみに、今回はダメな演技だったのでコメントしませんが、羽生結弦くんが目指すべきステップとは、大輔くんの方向ではなく、チャンくんの方向だろうと思います。結弦くんは、大輔くんのような深い内面性の表現者ではなく、あの長い足の動きをより美しく見せるステップを目指した方がよいと思います。
 それにしても、今のユヅのステップはまるでなってないなあ。真剣に見ていると、こちらが恥ずかしくなってしまう。あんなんで自分は一丁前にダンスしてるんだぞなんて、間違っても思わないでほしい。

 ぼくが結弦くんに熱く期待するのは今から数年後の演技であって、ソチ五輪ではありません。スケーターとしてまだ半人前なので、早くいっぱしのスケーターになってもらいたいなと思います。その日まではぼくも生き延びて、一人前になったゆづの演技をしっかり見届けたいものだと思っています。








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