87回しらさぎ俳句会 2024年7月 鑑賞
小林たけし 2024/7/24
しらさぎ俳句会の鑑賞を担当させて頂いて私も勉強になります
納得のいく作品はなかなか出来ませんが、自他ともに満足の1句は生涯10句あればと言われます。句会はそのための習練場として励みましょう
1. 出棺の後の百合の香つよかりき
自句自解 長女の亭主が15日逝去、20日自宅より出棺しました。
残った百合の香はいつまでも強く漂っていました
2. 道の辺に一際輝く百合の花
見たままの描写では物足りない
<裏参道茎一本に花六輪>ひょっこり7の眼福
3. 別れ雲通りすがりの蕎麦畑
「別れ雲」は映画の題名 ネタバレでは×
<黄金もときには厭気麦畑>
4. 蛍火や灯すは母か通夜帰り
通夜を母と特定してしまうとそれだけになる
<蛍火の一灯ありて通夜の道>。
5. 夕食の前にほろ酔い梅酒かな
なんの梅酒? 理由なければただの散文
<好日や妻もほろ酔う梅焼酎>梅酒で酔うまで飲めないかも
6. 蓮の花高く高くと風回る
句意が難解 「風回る」がより難解にしている
<蓮池の夕日浄土と輝きぬ>少し大仰かも?
7. 音楽に合わせ体操小暑かな
小暑の斡旋は〇 表現に工夫が欲しい
<ラジオ体操幼と老の夏休み>中七は(おさなとろうの)
8. 長旅のホテルで見とる夏銀河
怪しい日本語になっている 銀河はもともと夏
<銀漢を沿うごと人の生と死と>星は生死の象徴とも
9. 汗にぎる十七歳の女子野球
「汗にぎる」わかりすぎて凡
<少女らの早朝野球秋どなり>
10.無頼派もここは撫で肩ところてん
自句自解 だれもかしこも撫肩で寡黙
おかしみを分っていただいて感謝です
11.カサブランカリリー陰影見つからず
全体で17音の工夫、その挑戦に◎ 句意が曖昧
<カサブランカリリースペシャルな一滴>香水にしました
12.太陽の匂ひ取り込み夏至の午後
「太陽の匂ひ」この措辞が秀逸〇 取り込みは不用
<太陽の匂ひじっとり夏至の午後>
13.心入れプレゼントする百合の花
「心入れ」余分な説明
<万感の贈る花百合妻の古稀>万感に全ての想いを
14.老鶯のビルの谷間に聞こえしか
訴えるものがない
<老鶯の挽歌の静寂(しじま)ビルの谷>老鶯は己自身
15.三歩づつ道案内を翅黒蜻蛉
道案内の翅黒蜻蛉 はおもしろい〇
<札所へと翅黒蜻蛉の道案内>
16.曇り空朝顔刻をまだ知らず
中七下五は秀逸 上五が安易で残念
<通学路朝顔刻をまだ知らず>
17.サングラスあえてくっきりほうれい線
自句自解 気取ったつもりのサングラスだったが
見せたくないほうれい線がくっきえいと鮮やか
18.得意げに山百合見せた遠き母
遠き母は故人だろう
<山百合に妣満面の得意顔>
19.ひめゆりや「ちゅら」の小島に不生せり
生を受けない事の選択も 沖縄ではなおさら意味が深い
難解句だが沖縄の悲劇につまされる◎
20.ジェンダーを初めて学び汗光る
難しいテーマへの取組〇 中七が饒舌な説明で×
<瞠目のジェンダー論議溽暑の夜>
21.白百合が香りと共に咲き誇る
句意も表現も安易で凡
<白百合のすくっと一花活けて立つ>
22.短夜に地球の鼓動目覚めをり
地球の鼓動は地震と解するのが自然だろう 短夜の季語〇
<短夜に地球の鼓動アラーム音>
23.百合の香はほかは嫌いといい放つ
「百合の香」が主語ならばおもしろい断定だが空回り
<全山にあふれる香気百合百花>
24.蕎麦通の蕎麦談義癖濃紫陽花
せっかくなた蕎麦を季語にしたい
<蕎麦通の新蕎麦論議子も交じる>
25.元気呼ぶ昭和歌謡の夏の色
季語が浮いている
<喜寿傘寿米寿も唄う昼ビール>
26.梅雨の傘何処へ行くみも手放せぬ
当たり前をそのまま詠んでも×
<手放せぬ傘杖となる梅雨曇り>
27.彩りの蕊に揚羽の口移し
大胆な表意に魅かれる〇 句意がひとりよがりか?
<極彩の蕊に揚羽の白昼夢>
28.霊柩車静かに送る蝉時雨
蝉時雨は静か?
<霊柩車弔音のごと蝉しぐれ>
29. 中元に菓子ずっしりと店仕舞い
句意が曖昧 表意も工夫が欲しい
<ふるまうは名代葛切り店仕舞>
30.夏至迎え日暮れ明日から早くなる
これは夏至の説明で終わっている
<夕暮れの白々として夏至の雨>措辞に拘りたい
31 広告のネッククールを買うて夏
リズムがあっておもしろい〇
<ポイントでネッククールを買って夏>
32.なぞる手に翁の言霊青葉闇
自句自解 翁はこの場合芭蕉翁 なぞるのは句碑
芭蕉の句碑、その文字面を思わずなぞった
第23回 遊牧全国通信句会 2024.7.15
今回が23回目となるY結社の全国通信句会
参加者は21名 5句出句の総数105句
出句者の互選 8句(内特選1句を含む) 持ち点は9点
高点句⑤以上 ベスト10位タイまで
35 圧倒的孤独金魚の眠つた夜 片山蓉 蓉 11
46 ソーダ水悔い一片の浮いてくる みずき 6
88 夕焼は祈りの焦げた痕である 道 6
100 雨滴といい流離といい夏の蝶 伶 6
90 かの日より長き晩年ひきがえる 川 5
98 ゴーギャンの裸足の少女と目があった 恒子 5
68 熱帯夜手足外して寝乱るる 長門 5
27 胴切りの黒き馬の絵晩夏光 はるか 5
49 コンビニは不死身のよう白夜のよう 道 5
★蓉氏が最高点 拙句は④で1点及ばなかった
たけしの得点(高点句他
38 無頼派もここは撫で肩ところてん 小林たけし 選/4 得点順位10位タイ
82 海亀の百の卵に百の涙 小林たけし 選/2(
103 籐寝椅子手に読み止しの抑留記 小林たけし 選/2
5 新樹光踏み艶揺るる建長寺 小林たけし
58 なぞる手に翁の言霊青葉闇 小林たけし
★特選0 無得点2 仁先生の選1
総得点上位 ⑧以上
総合得点上位
道㉒/蓉⑯/はるか⑮/純⑬/伶⑬/恒子⑫/美絵⑪/
みずき⑪/葉月⑩/13⑧/川/⑧仁⑧/たけし⑧
★選句責任点⑨に及ばず 10位タイ
86回しらさぎ俳句会
句会への出席は全て遠慮しているが
講師もいない間々田の俳句同好会のは出句して
会友からの依頼で鑑賞文を提出している
今回86回にあたるが100回まではつづけようと思っている
<>内は私の独断と偏見のよる添削
自句自解が私の作品
86回しらさぎ俳句会 2024年6月 鑑賞
小林たけし 2024/6/26
できた作品を自身で口に出して読んでみましょう
韻律リズムを意識できます
日常語を作品に即した言葉を当てましょう
名詞で始めて名詞で止める俳句 初心者には難しい
1. 画用紙の白紫陽花は浅みどり
色の対比の狙いはよかったが空回りしてしまった
<床柱匂う四葩の浅みどり>四葩と浅みどりで和語を併せた
2. 金魚玉に泳ぐ魚は淋しがり
魅かれる句〇 泳ぐは省きたいが難しい
「に」が説明になってしまう なければ切れが生じる
3. 旧友とビールで宴会開始する
文章で終わっている
<隣席に幼馴染のビヤガーデン>偶然の再会
4. 紫陽花の園を静かに風渡る
そこで何を感じたかが俳句
<幽玄の紫陽花の園月青し>夜の紫陽花園に舞台を
5. 雨音のウインナーワルツ梅雨の入り
取り合わせ◎梅雨の文字を用いたらもう雨は使わない
<不揃いのウインナーワルツ梅雨に入る>はずれた三拍子
6. 道の駅旨味溢れる枇杷葉湯
枇杷葉湯の旨味に感動の句? 句材が良い◎
<道の駅枇杷葉湯の暑気払い>旅の途中の古事の発見
7.三毳山翡翠葛の翡翠色
「翡翠葛の翡翠色」分かりすぎて凡
<眼福の翡翠葛の神秘色>三毳山を省略 色に絞ってみた
8.風雨止み突然雲間虹が立つ
雨風止んで虹が出た 平易な景こそ表意に工夫
<ざっとひと雨はなやかに虹立てり>
9.雷三つ王手追手と藤井聡太
句意も表意も工夫を感じる〇雷三つも〇
<聡太詰めミクロコスモス雷三つ>ミク・・は伝説の最長詰手数
10.学生の通学一斉衣替え
平凡の極みになった
<更衣はちきれそうに女子高生>
11.病室の幾何学模様みて皐月
中七絶妙 下五も不思議にしっくりした
入院時の不安と期待の微妙な心理状態が伺える
12.ふてぶてとおまけの金魚まだ太る
自句自解 金魚すくいでのおまけの金魚のほんとうのこと
「ふてぶてと」「太る」に少しの韻を狙った
13.夏空の全景として熱気球
自句自解 渡良瀬遊水地での熱気球のイベント
空がとりどりの気球で埋め尽くされる
14.六月一日いっせいに白の群れ
時事俳句は詠むべしだがなかなか本意が通じない
「白の群れ」が分からなかった、申し訳ない
15.渓谷を浩然と抜け若葉風
浩然は心などが広くゆったりとしているさま。
作者が感じたままを表現した
16.六月は雨と寒暖混在す
報告と説明で終わっている
<うつりぎな雨と寒暖六月来>
17.薔薇の棘生命線をかすめ止す
棘と生命線 面白い取合せ
<生命線かすめて止まる薔薇の棘>リズムを整える
18.学友は今もちゃん呼び古稀の鮨
句材が〇 語順とリズムに拘ろう
<ちゃん呼びの友との円居古稀の鮨>
19.どくだみは似合わずに花白し
たしかにあの白い十字花は名にそぐわない
<どくだみにそぐわぬ容十字花>
20.生けるものこぞって多弁風薫る
自句自解 しっくりした季語が欲しい所
「生けるもの」ものものしい言い方も問題
21.更衣大きな夢に袖通す
特別な運命の日 大げさな大きな夢への第一歩◎
句材も句意も作品も飛躍があって◎
22.更衣朝の散歩も身軽なり
ひとひねり足りない
<更衣行き交人のみな若く>
23.蓮の花厩戸皇子叡福寺
句材は面白く魅かれるが未完成のよう
<蓮蓮華太子の御陵叡福寺>
24.夏風邪にどっぷり浸かり日の眩し
中七が秀逸〇
<夏風邪にどっぷり浸かり飴二つ>
25.旅先で兄弟そろい更衣
兄弟の落ち合う旅先での状況
<はらからのそろいのアロハ道の駅>
26.夜釣りにて小川のほとり蛍観る
夜釣りで蛍を観たのは嬉しい体験
<佇めばほうたるの舞う竿の先>
27.七変化舗道彩る雨の中
高得点句 おめでとう 紫陽花と雨は避けよう
<紫陽花の濡れた舗道の色と彩>
28.甘辛し蛍の湖に身を塔ず
「身を塔ず」が解せない
<甘い水蛍の湖に吾も溺れ>
29.しがらみを解く男のクールビズ
更衣して柵の呪縛を解き放つ
そんな解放感があったっけ
30.落梅のひとひひとひの日の暮れぬ
リフレーンに工夫を感じる 「落梅や」と切りたい
<落梅やひとつひと日の暮にけり>
31 囀りに混ぜてと思えし辞書のなく
作者は囀る鳥になりたいの? 難解
<囀りに電子辞書ひく鎮守杜>
32. 芍薬の花を愛でてる少女かな
物足りない感じ
<芍薬の百花のなかに一少女>
第22回遊牧全国通信句会選句結果
参加者21名 5句投句 応募総数105句
互選8句(特選1句2点)
蟻地獄安息角を識る英知 ⓪
後戻りできぬ不自由かたつぶり ⑦ 3位タイ
☆川森 俳句の、俳句的思考の良さが見事に生かされている一句。やさしいことばでさらりとこんなに重たいことが詠めるのは作者が人生の紆余も曲折もしっかりと受け止めておられるからだと思う。なんの根拠もないがこの後戻りできぬ不自由という言葉などそうそう詠めるものではない。かたつむり、ではなくかたつぶりと座五に置いたことも効いている。こんな句が詠めれば、と思うばかりだ。
止めの草矢愛憎の出生地 ⓪
荒団扇子の正論にささくれる ⓪
夏草の点景として寒立馬 ④ 12位タイ
総得点 11点 7位
難易度の高い句会、
全句得点 得点目標⑨を目指しているのだが今回は無得点句が3句ではなにも言えない
