憧憬と衝撃と敗北が、入り混じる感情。
同性の同業者に抱くことが多い。
圧倒的に完成されている作品に触れたとき、その作り手に憧れる感情が誰しもあるはずだ。
それに伴い溢れてくる涙は、美しい。
死体が蘇生してしまう神秘的な雫だ。
全ての創作活動の源になろう。
その涙は『あの人みたいになりたい』と『あの人みたいになりたくない』は、同義であることを知る。
仕事が辛いとか、女にフラれたとかではない。カッコ良すぎて涙が出たなんて久々だ。
記そう。
イエローマジックオーケストラ
東風
ジャケの3人のスカし具合、1978年の出来事であるということ、(私は1985年生まれである)、当時の新しさ、彼らの演奏家としとの凄み、皮肉交じりなセンス。とりわけこの曲の美メロ、ハーモニー、グルーヴ、未来と過去・アジアと欧米がいっぺんに来る感じなど琴線に触れに触れた。
当時、細野31才、坂本26才、幸宏26才。
私は今34才。
しかも、晴臣氏はエイプリルフール、はっぴぃえんどを経てからのYMO。
私は今34才。何も成し遂げず34才。
才能の違いと言えばそれまでだが、私も、とあるバンドでドラムを叩いており、彼らの演奏家としてのスタンスには大いに影響を受けている(全くたどり着く気配はないが)。
憧憬と衝撃と敗北。グルーヴについて四六時中考えてしまう変な奴があなたの身の回りにもいるはず。私は其れだ。
不思議なことに、この音源を繰り返して聴いていたその日、時間つぶしで入った図書館で坂本龍一氏の自伝エッセイが偶然目に留まり、読んだ。
人は何かを意識して生きているとき、無意識に意識している物事が目に入ってしまう。脳科学的にRASという機能があるそうだ。
YMOや細野ハウス、はっぴぃえんどを聴きながら同氏の自伝を読み進めることは、天才の頭の中にお邪魔し、正座のままお茶にも手をつけずに、そわそわしている様であり、冷静さを欠いた。
曲に合わせゴーストモーションを無意識にやっており、煩かったようで(図書館だからね)、横のババアに睨まれたりもした。
イヤホンをしており、閉館のアナウンスを聞きそびれ、係員に方を叩かれた。読了できなかったので、来週続きを読みに行こう。
日本のビートルズ。
誰かが何かで言ってた。
私は異論はない。