常連客の女性が一人、珍しく遅い時間に気持ちがパンパンの顔をしてやって来た。
『こんな時間めずらしいね。なんにする?』
「今日はロックで。我が儘ゆうけど、二杯作ってくれる?」
何か嫌な事があったのだろう。間髪入れずに二杯飲むのか、よっぽどの事があったんだ。

二つのロックグラスに氷を入れてお酒を注ぎながら、
彼女の表情を見て、フトこれが弔い酒だと気がついた。

何も言わず、彼女の前と少しの距離をおいて二つのグラスを出す。

涙をこぼしながら、話す。
彼女が自慢気に何度か「東京から来たの!」と連れてきた、一番の応援団であり、一番の師匠が亡くなった。
彼女は二人の約束のような本を今年の出すことが出来て、私の店で出版記念会を開いた。
主催は私達だったので声かけをした。勿論その人にも声かけをしたのだが返信がない。
今聞けばその頃は体は大分悪かったみたいだった。
私自身は手伝い程度だったので時間の流れはわからないが、あの人は本が出来上がって、彼女がお礼を言いたがっていることを知ったのだろうか。

何度かお酒をつくり、同じ時間を過ごしていたあの人が亡くなった。

その日、来る人達みんながあの人にグラスを向けた、『お疲れ様でした。』。
『そこらへんにいるのかもしれないね。』『今頃怒ってるよ。』『呆れてるかも。』
あの人がいた日のように時間が流れた。

心が痛い別れがあった。
二人との思い出は時間は短かったけど色濃くあって。
男女は何があるかわからない。お店はこうゆう時切ない。
二人には沢山色んな気持ちがあって、こうなった。と言われたらそれまで。伝えてくれた人以外には会えなくなる。
別れは痛い。
彼女は卒業なのかも知れないけれど。まだまだ留年中だから。
会えない事はないだろうけれど会おうとする事もないだろう。
自分に沢山の質問を残す、二人の別れだ。
散ル散ル満チル。-110111_1608~01.jpg

残り戎へ行った。
大阪に来てから、これだけは恒例行事になったな。
一応、商売人。

行かなくても大丈夫なんて思えずに毎年行く。
去年の笹を持ってゆき、
『去年は有難うございました。』
今年の笹を買い、
『今年も笑顔がある、楽しい場所になりますよう、頑張るので応援してください。』

昔からお詣りでの願い事が生真面目だな。変わらない。適当にしても一緒だと思えず真面目に。真剣に祈れば叶うだろうというわけじゃなく、自分への決意表明なのだけど、神さまも適当な奴にはコラッ。ってなるんじゃないかと、見つかってしまうような。
うん。真面目だ。

今宮、堀川、西宮、野田と行ったけどやっぱり今宮はいいな。活気がある。
日本酒を飲みながら、笹を持ち道行く人はいったい何屋さんなのだろうとずっと考えていた。
来年は素敵な毛皮を買って来て行こう。何だ?!?エラい景気良さげな人がいるわ☆って思われるような。