直木賞受賞作 『空中ブランコ』 につながる、
『トンデモ精神科医・伊良部』 の超爆笑・連作短編小説です。
精神科医・伊良部一郎は、
伊良部総合病院の地下にある神経科に勤務する、病院の跡取り息子。
まるで 「カバ」 のような外見に、いい加減な性格・お気楽・マザコン・凶暴・・・
とにかくスーパーハチャメチャ 『トンデモ精神科医』 。
その伊良部の元へ訪れる患者たちは、誰もみな、強い症状に悩む者ばかり。
本気で悩み苦しみ、真剣に治そうと藁をも縋る思いで訪れた先の医師が
奇人変人だったものだから、さあ大変!
患者たちは、伊良部の診察に最初は嫌悪感を覚え、
彼の奇想天外な行動や発想にとまどうものの、
次第に癒され、魅せられ、いつの間にか症状が治っていく・・・。
登場する患者たちはみな、なにかの依存症だったり、強迫神経症だったり、
さまざまな症状を持っています。
しかし、どこにでもいるような、いわゆる 『普通の人』 ばかり。
中には
「わたしにも心当たりがあるよ!・・・え?わたしももしかして・・・?」
というような部分さえ、あります。
『いてもたっても』 というストーリーの中に、このような件があります。
世の中には、心配をかける人間と心配をする人間とがいる。
伊良部は前者で自分は後者だ。
後者が前者の分まで心配することになり、
世の中は平和裏に運んでいるのだ。
なんて不公平なのか。
心配はシェアし合うべきだろう。
わたしも、どちらかといえば、この患者と同じ役回りです。
だから、この患者と一緒に、伊良部に癒されました。
(診察料、払わなくっちゃねっ!)
精神科医・伊良部のほかに、もうひとり愛すべき登場人物が。
『ナース・マユミちゃん』 です。
彼女の魅力は・・・
読んでいただかなくては、説明することは難しいです!
無愛想でお色気たっぷり。無口で冷たい言動。
なのに、魅力に溢れたキャラクターなのです。
誰もが何かとストレスを抱える現代社会。
深刻な問題ではあるのですが・・・。
つい、声に出して笑ってしまう作品です。



