一人っ子ということもあり、昔から空想の世界に入り込むのが好きだった。
それは一種の逃げだったのかもしれない。
自分が作る、自分だけの、自分にとって都合の良い世界。
そこに身を委ねることの心地よさ、安心感。
しかし同時にそれは、心を蝕む闇の世界でもある。
現実は楽しいことばかりではなく、常に光あるところを進めるわけでもない。
闇の中を明かりなく進むこともあれば、
針の上を歩くがのごとく、苦痛を伴いながら先へ行かなければならないときもある。
想像のような、空想の世界のようにうまくはいかない。
空想の中の自分は、常にヒーロー。
人を騙して、私服を肥やす悪を滅ぼす。
でも、現実は。甘くはない。
嘘偽りなく、誠実に過ごすことは難しい。
騙し、騙され、結局、悪知恵の働く者が生き残る。
正義の味方なんて、どこにもいない。
いるとすれば、己の心の中。
良心という、闇を照らす光。
現実は空想とは違う。
ここには到底書けない経験もたくさんしてきた。
人間の屑とも出会い、そして、自分もいつしかそうなっていた。
この絶望から抜け出すには光が必要だ。
それは昔から逃げ込んでいた空想の世界にはない。
あるのは、心の中。
胸に手をあて、闇の中にある光を携え、前を向く。
広がる絶望という現実の舞台。
今のままじゃ、明日すら迎えられない。
逃げるな、目をつむるな、甘い空想に戸惑うな、踏み出せ。
一歩、その一歩が、次なる一歩へ。
そしていつか現実に祝福を。
