13話
・失礼します。
・読書ですか?
・いえ。どうせ私も、少し休めって言われてますし。
・一昨日に。
・すみません。
・槙島聖護を取り逃がしました。
・銃そのものには何の欠陥もなかったそうです。今宜野座さんが上に掛け合って調べてくれてます。
・いつも通りですね。狡噛さん。
・落ち込んでばかりじゃいられません。槙島聖護を捕まえないと。友達の仇ですもんね。私にとっても、狡噛さんにとっても。
・なんだか安心しました。ではお大事に。
・一つだけ。ある意味ではうれしいと思えることもあります。槙島聖護は実在した。もう誰も狡噛さんのことを疑いません。私たち、これでようやく一つの目標を一緒に追いかけられるようになりました。
・はい。多分縢くんあたりがチクったんじゃないかと。
・必要ないです。私を止めるつもりなんですよ。自分は無茶ばっかりするくせに。
・局長命令で、公開捜査はできないんですよね?
・調査の結果を待っていられません。非公開では手掛かりは集まりにくい。モンタージュが必要です。
・そのために犯罪係数が上がったとしてもかまいません。私は執行官になってでも、槙島聖護を追い詰めます。
・宜野座さん…大丈夫ですよ。私サイコパスが曇りにくいのだけが取り柄ですから。
・はい。
・唐之杜さんを信用します。
・はい。
・覚悟の上です。
・ぎ、宜野座さん…?
・はぁ…ね?平気だったでしょ?
14話
・うぁ…!
・狡噛さん。
・はい。
・こんな犯罪に対処できる方法は…もう…この街には残っていない。
・それ、征陸さんの思い出話ですか?
・もしくは、槙島聖護のような存在が発表されても。
・被害者の名前は、藤井博子。
・薬局襲撃犯と同じ犯人でしょうか?
・目撃者の証言は似たり寄ったりです。何が起きているのか理解できなかった、と。
無理もないと思います。目の前で人が殺されるなんて、想像もつかないし、思いつきもしない。そういうことが起こりうる可能性なんて見当もつかないまま、今日まで暮らしてきた人たちばかりなんです。
・それにしても、犯人はなんでこんなことを…
・うわあ!!
・お、追わないと!
・はぁ?
・え、ええ?