資本主義が作り出したヒエラルキー。
そいつは恐らく野生の弱肉強食が作り出した食物連鎖のピラミッドとは似て非なるモノだ。だってそうだろ?野生は食と命が繋がるけど、俺たちの世界で繋がるのは金と打算だ。

弱者の命は使い捨ての単3電池よりも簡単に捨てられる時代なんだからな。


ハローお前ら。
資本主義ヒエラルキーの底辺を転げ回る俺だ。


ヤツらは知らない。華やかな豪華客船で連日パーティーを楽しみ、日本の行く末を不安がりながら1本数十万のシャンパンを味わう、その真下。光も届かない奈落のような海の底で、弱者は更なる弱者を食らい爪も牙も失ったヤツから堕ちていく。
俺たちはいつだって、甘く優しく力一杯肯定して欲しいんだ。自分以上に膨らんで潰されそうなほどデカくなった虚構のコンプレックスのせいで両足で立つのも精一杯だからな。

だけどそんな待ち望んだ声をかけてくれるのは、聖人君子の皮を被った金の化け物。

「なんて素敵な人だ」
「周りの見る目を疑う」

なんて調子でな。

そして気付けば奴隷のような環境で、キャバクラかホストで働きながら自分の全てを自ら進んで商品にしてるだろうさ。目が飛び出るような額の借金を我が子のように背負ながら死んだ魚のような目でね。

みんな諦めちまうんだ。
「どうせ俺なんて」が枕詞のテンプレートになって、前に進もうとしない。当然だよな。光も届かない海の底じゃ、いくら声をあげても意味がない。静かに堕ちて透明人間の仲間入り。

なぁ、あんたは知ってるかい?
いつだってすぐそばに最下層直通の入り口があることを。何がきっかけで口が開くかわからないパンドラの匣はあんたのポケットにも入ってるんだぜ。

どうにか出来る不幸に一喜一憂出来る俺たちは、いつも通りの今日に感謝をして、いつも通りの明日を待とう。

きっと俺たちの幸せな今だって、気付いたときには悩みの種だ。
願わくは、死ぬその瞬間まで今が続いてくれますように。




また来てくれよな。