福島の問題 4 | xyavのくしゃくしゃブログ

福島の問題 4

福島の災害は終わっていません。


その災害はまき散らされた放射能の為だけではなく、誤解を恐れず言うならば、放射能以上に恐ろしいのは、実はまき散らされている「善意」なのではないでしょうか。


「地獄への道は善意で敷き詰められている(The road to hell is paved with good intentions)」という警句があるようで、同じことがここ、福島でも言えるのではないか。


福島の放射能は怖い、そのようにおっしゃる方々の多くは、心の底から福島に住む子供たちを心配されているのだと思いますし、それだけではなく、避難区域の設定も、避難指示も、甲状腺スクリーニングも、そのどこにも「悪意」は存在せず、私たちはその事をもっと深刻に考えなくてはいけないのではないでしょうか。


個人や個別の団体に悪意はないが、善意も悪をなすことはある、そう考える事から始めなければ、福島の健康被害の全容を知る事はできないと思います。


今の浜通りに起きていることは、放射能という特殊事態ではなく、目に見えない脅威のもたらす健康被害は、世界中で毎日のように起こっています。


たとえばエボラ出血熱や鳥インフルエンザ、サリンや炭疽菌などのテロ、これらもまた、見えないゆえに社会に混乱を起こす危機で、今、この福島に学ばなければ、似て非なる脅威が現れた時、人々はまた防ぎ得た被災者を大量に排出することになってしまうのではないでしょうか。


「放射能」で思考停止をしない限り、浜通りは日本の将来へ向けて、様々な学びの機会を与えてくれます。


災害はもちろん起こらなければ良かった事件ですが、しかし一旦起こってしまったこの災害が与えてくれる知恵を、せめて受け取り損なわないようにすること、それが今の私たちに出来る最善の営みであると思っています。


越智小枝(おち・さえ)1999年東京医科歯科大学医学部卒業。国保旭中央病院などの研修を終え 2013年11月より相馬中央病院勤務。剣道6段。