福島の問題 2 | xyavのくしゃくしゃブログ

福島の問題 2

1.「避難区域設定」による健康被害


福島第一原発の事故を受け、政府は原発からの距離に従って避難区域を設定しました。


半径20km以内の「強制避難区域」と20-30kmの「計画的避難区域」です。


計画的避難区域の住民には「屋内退避指示」が出され、外出を控えるように、という勧告が出され、科学的に見れば、屋内に退避すれば外部被ばくを抑えられますから、この指示は必ずしも的外れなものではありませんでした。


しかし、その結果何が起きたでしょうか。


待機的避難区域の住民のうち、移動手段があり家を離れることのできる方はほとんどが避難され、更に多くの流通業者は社員が50km圏内へ入る事を禁止し、その結果、災害弱者、すなわち移動手段や情報入手手段のない高齢者や患者を抱えて動けない病院が食料や医療資源の供給もなく取り残される結果となったのです。


「実際にご自宅で衰弱死されている方も結構いたね」、当時南相馬に留まって被災地の検死に当たった医師がおっしゃっていることです。


「毎日食べ物の事しか考えられなかった。仕方ないのでラー油だけなめていましたよ」、子どもたちの為に相馬市に留まった教師の方からそのようなお話しも聞きました。


2.避難生活による健康被害


このように取り残された方々だけでなく、避難された方もまた、健康被害に苦しんでいます。


長期療養施設の避難により、避難された入所者の死亡率が3.9倍にまで上昇した、という報告もあります。


これは急な環境の変化や搬送という負荷が寿命を縮めた可能性や、一度に大量の患者さんの申し送りをした結果、必ずしも患者さんの状態について十分な情報が伝えられなかった可能性もあります。


療養施設だけでなく、健康な高齢者にも同様のことがいえ、相馬市で2012年に行った仮設住宅の健康診断では、高齢者の歩行不安定性(開眼片足立ちテストで15秒未満)の危険が、仮設住宅では自宅に住まれている方々に比べ5倍以上も高い事が示されました。


同じ方々の握力の平均はむしろ仮設住宅の方が強く、元々筋力のある漁師さんや農家の方々が、1年間の避難生活を行う間に急速に下肢筋力の衰えを来したと考えられます。