スピーカーはオーディオ機器の中で一番バリエーションがあるうえ、音の出口ということで音質を決定する重要なアイテムでもあります。購入機種選びに悩むことの多いスピーカーを、カタログスペックの情報をもとに絞り込む基礎知識を紹介します。
始めにスピーカーについて、エンクロージャー(スピーカーを覆う箱)とスピーカーユニットの形状や種類別に簡単に整理したいと思います。
◆エンクロージャーの形状
・ブックシェルフ型
本棚に収まる大きさという意味でこう呼ばれる小型から中型のスピーカー。キャビネット容量とウーハー口径をそれほど大きくできないため低域再生能力に限界がありますが、設置の自由度が高く、鳴らしやすいのがメリット。近年ではさらに小さいコンパクト型も増えています。
・フロア型
床に直接置く大型のスピーカー。大きなキャビネットと大口径ウーハーによる量感豊かな低音やスケールの大きな音が特徴です。高級スピーカーに多く、広い空間での大音量再生に向いています。
トールボーイ型
フロアー型よりも幅と奥行きが狭く細長いスピーカー。音質特性はブックシェルフに近いですが、ブックシェルフ型よりもキャビネット容量を稼げユニットの数も増やせるので低域再生能力に優れ、フロア型に代わる主流になっています。さらに細身の物をペンシル型と呼ぶこともあります。
埋め込み型
スピーカーが見えないよう、天井や壁に埋め込むスピーカー。音質よりも隠蔽性を重視していますが、より音質に優れるエンクロージャー付もあります。天井用ではトゥイーターやウーハーの角度を変えられるタイプが増えています。
◆エンクロージャーの方式
・密閉型
バスレフポートなどの開口がなく、密閉されたエンクロージャーを持つタイプです。量感や音圧を出すにはかなりの大きさを必要としますが、クリアーで解像度の高い締まった低音が特徴です。
バスレフ型
前面や背面にあるバスレフポートと呼ばれる空気孔で低音を増強することで、量感のある低音再生が可能な、最も標準的な方式です。バスレフポートで発生する独特の風切り音を嫌う人もいますが、小さなキャビネットでも豊かな低音が出せるメリットがあります。
パッシブラジエーター(ドロンコーン)型
バスレフポートの代わりにパッシブラジエーターと呼ばれるボイスコイルや磁気回路などが無い振動板で低音増強を行う為、バスレフ型のようなポートノイズが発生しません。設計が難しい為か採用モデルはそれほど多くありません。
◆スピーカーユニットの配置
・フルレンジ
スピーカーユニット1つで高域から低域まで再生する方式。一つのユニットで全域をカバーする為、再生周波数レンジが狭く音圧は稼ぎずらいですが、点音源で音像定位に優れ、音質劣化を伴うネットワークを排除できるメリットがあります。また、マルチウェイのようなユニットごとの位相の違いも発生せず、正確な再現性が持ち味です。
マルチウェイ
スピーカーユニットをトゥイーター(高域用)、スコーカー(中域用)、ウーハー(低域用)などに分けて再生する方式。トゥイーター+ウーハーの2WAY、トゥイーター+スコーカー+ウーハーの3WAYなどがあります。多くのスピーカーが採用している方式で、高音から低音まで幅広く再生できます。複数のユニットやネットワークによる複雑な構造により、設計の違いで音がガラッと変わるため、メーカーや開発者による音質キャラクターの違いが醍醐味ともいえます。
同軸
マルチウェイの一種ですが、ウーハーの中央にトゥイーターを配置し、フルレンジの点音源とマルチウェイのワイドレンジ再生を両立します。
仮想同軸
これもマルチウェイの一種で、同軸に近い効果を狙いトゥイーターを挟むように対称にウーハーを配置する方式です。
◆スピーカーユニットの種類
・コーン型
主にウーハーやスコーカーに使われる円錐型の振動板を持つユニットで、フルレンジから大口径ウーハーまで幅広く対応可能。スピーカーの材質とは、振動が伝わる速さ(伝搬速度)と響きにくさ(内部損失)という相反する要素をいかに両立するかが重要です。そこで、コーン型の材質は主に、伝搬速度が遅く内部損失が大きい紙(パルプ)系と、伝搬速度が速く内部損失が小さい金属(メタル)系に分かれますが、最近ではケブラーやグラスファイバーなどの繊維系やウッドコーンなど伝搬速度と内部損失のバランスが良い素材も使われます。
・ドーム型
トゥイーターやスコーカーに使われるスピーカーユニットで、これも絹などを使うソフトドームとアルミなどを使うハードドームに大別されます。ソフトドームは柔らかで耳触りが良く、ハードドームはクッキリハッキリで派手めになる傾向があります。能率は低いですが指向性が広いという特徴を持ちます。
・ホーン型
こちらもトゥイーターやスコーカーに使われるスピーカーユニットで、ドーム型等で発生した音をラッパ状のホーンで放射するため、能率が良く指向性が鋭いという特徴を持ちます。音が前に飛び出してくるような独特な鳴り方にファンが多いです。
・リボン型
トゥイーターに使われるスピーカーユニットで、磁界に挟んだリボン状の金属に電流を流して音を出す方式です。ハイレゾやSACDなどの超高域再生に向き、繊細で華やかな高音が魅力です。
スピーカー基礎編はここまでです。次回は実際のカタログスペックを見ながら、実践的な解説をしたいと思います。



