ライオンのおやつ 小川糸著
瀬戸内海に浮かぶ小さな島、通称「レモン島」。レモンの生産量が日本一であることからそう呼ばれている。島はなだらかな丘になっており、見下ろせば斜面の柑橘畑の奥に海を一望できる。気候は温暖で、そこかしこに柑橘系の香りが満ちている。その島に「ライオンの家」という一軒のホスピスがある。そこでは毎週日曜日の午後3時に「おやつ」が出される。ホスピスの入居者たちの思い出深いおやつの中から、抽選で毎週メニューが選ばれるのだ。余命を宣告された海野雫は、33歳という若さで終の棲家としてライオンの家に入所してきた。雫はホスピスでの生活の中で、島の住民・施設のスタッフ・ボランティア・他の入居者たちと関わり合い、自分のこれまでの人生とこれから訪れる死に向き合い、人生の意味を考える。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この小説の大きな特徴を2つあげる。1つは、島の情景と食事の描写について。読んでいて、レモン島の暖かくおおらかな気候やその土地柄がありありと頭に浮かぶ。檸檬の香りが風に香るようだった。そして、ホスピスで提供される食事がこれまた美味しそうなのである。雫はその優しく、幸せな味のご飯に感動する。そしてもう1つは、雫が死と向き合う上での心情の変化について。人間が死を受容する際には、「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」と心理的に5段階の状態を経ると言われている。(キュブラー・ロス)雫が病気の宣告をされてからの心情の変化が丁寧に描写されている。死と向き合う人間が、本当は誰よりも生きたいと願っていること、1日1日を誰よりも大切に生きていること、手で触れ、匂いを嗅ぎ、舌で味わうということに生の意味と喜びを見出していること、などを知ることができた。島のモチーフは瀬戸内海生口島。行ってみたいなぁ。ライオンのおやつAmazon(アマゾン)1,485円ライオンのおやつ (一般書 212) [ 小川 糸 ]楽天市場1,650円