- 2010年5月13日にフマキラーは、エステーを引き受けてとして第三者割り当て増 資を行い、エステーが筆頭となった。資本業務提携の目的の一つには、知的財産権のクロスライセンス が挙げられており、消臭芳香剤・防虫剤・手袋・除湿剤等の分野で強みを持つエステーと提携することによる事業の発展、収益性の強化を図るとしている。
背景には、事業競合会社でありながら、フマキラーの株主でもあるアース製薬の存在が大きく、さながらフマキラーとエステー連
合の構図が見え隠れする。
そこで、技術開発の視点から三社の比較を行うべく、開発の規模、分布構造を俯瞰し、三社それぞれの開発の位置づけを分
析した。出願件数は、アース製薬763件、フマキラー440件、エステー(旧エステー化学を含む)324件であり、フマキラーとエステーの出願件数を合計
するとアース製薬とほぼ一致する。
三社の出願件数推移は、1993年から2001年までは単調増加、2001年をピークに減少傾向。2005年
以降は横ばいとなっている。
三社が競合する領域は、主に防虫剤やその容器に関する技術である(図1)。フマキラーの開発重心に対する、エステー、
アース製薬それぞれの開発重心は年々近づく傾向があり、とりわけエステーの重心の近づきが急激であり、2009年にはアース製薬とフマキラーの距離と、エ
ステーとフマキラーの距離は等しくなっている。
ただし、期間全体の技術ストックとしてみた場合、依然としてフマキラーとアース製薬の技術領域の重
なりは多い。アース製薬にはない技術であり、かつ、フマキラーとエステーが開発している領域の一例に除湿関連の技術(図1左上の領域)がある。フマキラー
がアース製薬との事業差別化を実現するには、このようなエステーの技術とのシナジー効果を発揮可能な領域を取り込む事業開発を策定することが重要であると
考えられる。
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