こんばんは みんなさんーチリから、17:45pm
ハロウィーンの月

日本が世界に誇るインストゥルメンタル・バンドMONO。8月22日、前作『Hymn To The Immortal Wind』以来3年半ぶり、通算6枚目のオリジナル・アルバム『For My Parents』をリリースする。メンバーのGogoはこのニュー・アルバムについて、アルバムタイトルが示すように自分を産んでくれた両親への感謝の気持ちをテーマにしたとコメントしている。これまで家族のもとを離れて世界中をツアーで周る中で、そんな気持ちを表現することに素直になれた自分と向き合いながら、言葉ではなかなか伝えきれない想いを音楽を通して伝えるために、ハドソン川近くの大聖堂を改造したスタジオでオーケストラと共にアルバムの制作はおこなわれた。今回Private Dubでは、4年ぶりのフジロック出演直後のTakaakira “Taka” Goto(G)とYasunori Takada(Dr)にインタビューを敢行!新作についてはもちろん、オーケストラとインストゥルメンタル・バンドの融合について、世界を回って芽生えた日本人としてのアイデンティティなどを話してもらった。(取材・福アニー/文・加納薫)
Interview: Mono
PD:4年ぶりのフジロック出演ということで、前回のあとにWorldless Music Orchestraっていう方々とのライブ音源を配信されたりしていて、今回はまた違ったオーケストラと一緒にということなんですけど、その辺りはどういった経緯だったのでしょうか?
Takaakira “Taka” Goto(以下Goto):その、Holy Groundっていうタイトルで、ニューヨークの…なんつったらいいだろね? まあ、クラッシック。 まあちょっと面白いアインシュタインが講演したようなホールがあるんですよ。で、そこでニューヨークのWorldless Music Orchestraっていって、ジョニー・グリーンウッドがサントラやるときやBattlesのタイヨンダイとかと一緒にやったりしてるクラシカルなんだけどちょっと現代音楽やりたいっていうチームの方がいらっしゃって、いつも僕らレコード上ではオーケストラ使ってきたんで、じゃあ実際にライブやってみないかって感じでうちのアメリカのレーベルの方を通じて連絡をとって。まあドキドキしましたけど、それをやったときに自分が思ったよりもライブで再現できるんだって思って。想像できなかったんで、やっぱり。スティーブ・アルビニさんとかにいつもレコーディングして「これライブでできるか? 絶対無理だよ。」って散々言われてきたんで、僕は(笑) 「やっぱライブは無理なんだ」と。音おっきいんで。そういう経緯があってニューヨークでやった時に思わぬ手応えを感じて。それでライブ音源を出させていただいて、その流れでオーストラリアとかロンドンとか日本とかマレーシアでそのオーケストラとのライブをやったんですよ。そうしたときに凄い自分の中に見えてくるものがあって。で、レコーディングにはニューヨークでやった時のオーケストラをそのまま。それまではシカゴでスティーブ・アルビニさんと録ってたんですけど、今回はどうしても作曲した時点でライブからのインスピレーションがあったので、ニューヨークのオーケストラを従えてレコーディングしたいって思いがあって。で、まあスティーブさんを離れてニューヨークのオーケストラをニューヨーク近郊でレコーディングするべきだっていう風に考えて。
PD:じゃあ今回のHoly Ground OrchestraっていうのはイコールWorldless Music Orchestraなんですか?
Goto:そうです、新しいアルバムのオーケストラは同じ方なんです。僕らがオーケストラとライブをやるときにはHoly Ground Orchestraっていう名前にしていて、例えばロンドンでやるときもHoly Ground Orchestra。(今回レコーディングに参加した)ニューヨークのWorldless Music Orchestraも僕らと一緒にライブをやるときはHoly Ground Orchestra。
PD:今おっしゃった手応えというのはどういったところから具体的に感じられたんですか?
Goto:二つの面があって。一個は技術的な問題で、いわゆるノイズパート。僕らはダイナミクスが大きいんで、ギターとかベースとかの。その音量に対して24人のオーケストラで果たして本当に聴こえるのかと。例えばオーディエンスの方から見たら「オーケストラがいるのに聞こえない」とか、「オーケストラがいるんだけど迫力がない」ということにならないかっていうことを僕は一番心配してたんですよ。だけどそのまま再現できたんで。あと、素晴らしいこととあらためて実感したのはオーケストラの方ってアジアの方もいらっしゃるし、黒人の方もいらっしゃるし、僕たち4人の日本人の作ってる音楽に対して色んな国籍の方が...オーディエンスはいつもそうなんですけど、一つの音楽をやるのにオーケストラを従えるっていうのは4人から一挙に28人のメンバーになるじゃないですか。28人が一個の思想をもとにエネルギーを一個に出来るっていう素晴らしさがあって。それは瞬間的なものじゃないですか。で、全員が同じ事を思って同じようにやるってことが…今日もそうなんですけど大変なことなんだけどやったあとの充実感っていうのがやっぱり掛け算になっていくんだよね。
MONO New Album Trailer #1
PD:今日のライブはやってみていかがでしたか?
Yasunori Takada(以下Takada):結局それに付随することですけど、関わってくれた人が幸せになってくれたはずなんですよ。僕らもスタッフの方も。
Goto:やりがいがあるんだよね。(笑)
Takada:僕らも一生懸命演奏して、スタッフはもう今日とんでもないステージを組み立ててくれて、そういうのがひとつのベクトルに向かったときにみんなが幸せにいい気分になれるのかなって。
Goto:そう、やっぱり共同作業なんだなって思う。
PD:配置もすごいおもしろかったです。メンバー4人は真正面を向いて、コンダクターとオーケストラの方々は横を向いてやっていて。
Goto:そうですね、あれは僕達のスタイルですね。
PD:アルバムやライブでオーケストラと一緒にやるということは、今おっしゃったように一つに向かってやる充実感もあればやっぱり大変なところもあると思うんですけど、例えば音の大きい箇所や小さい箇所をどう合わせるかというような。ライブや音源で苦労したところや難しかったところはありますか?
Goto:音源に関しては、やっぱり12年かけて最初はチェロ一人を1stアルバムに入れて、次のアルバムはチェロとヴァイオリンの二人を入れて、その次のアルバムは初めてカルテットにして、それで前作『Hymn To The Immortal Wind』の時に初めてフルオーケストラを試してみたいと思って。自分で全部オーケストラ・ライティングをするんですけど、すごい学ぶことや経験にもなったし。実際に何人がどういうアンサンブルでどのくらいの倍音が出てギターとどういう絡みがって、そして全部の楽器が合わさったときにどういうサウンドになるかというような。それがMonoの理想的な音なんですけど。今回はそれにプラスしてライブが経験値としてあったんで新譜に関してはとても計画性があって、すごい充実感も今まで以上にありましたね。スムーズでした。
PD:ドラムに関しては音が大きいからコントロール出来ない面もあると思うんですがその辺りはどうでしょうか?
Takada:そうですね、でも段々やるにつれて慣れてくる面もありますし、一番新しいアルバムは割とそこも考えられてるんで、オーケストラのバランスもものすごく考えましたけど。
Goto:だけどティンパニだけでも2年ぐらいかけてるよね? 2年前に買って一から練習していくとか、やっぱり僕らはオーケストラのようにクラッシックの人ではないんで色々と。
PD:色々学ぶことが。
Takada:そうとう手探りですけどね。
Goto:あとオーガニックな楽器が大好きで。デジタルが嫌なんですよ。やっぱりこう生の楽器が。だからすごい研究するよね、どういう風に叩いたらどういう音が出てっていうそういうのは経験していかないと。
PD:今回も何かちょっとした発見などありましたか?
Takada:発見の連続です。Try & Found.
Goto:だけどやりがいがありますよ。
PD:そもそもなぜインストゥルメンタル・バンドとオーケストラを組み合わせようと思ったんですか?
Goto:昭和の親の人ってみんなピアノを持ってらっしゃるじゃないですか。僕もやっぱりそういう環境で育って、ちっちゃい頃からベートーヴェンとかショパンが流れてたんですよ。でもそれがどういう風に合体するのかなんてのは全然思ってなかったんですけど、2003年か4年位の時に「あ、クラッシック・ミュージックもインストゥルメンタル・ミュージックなんだ」って事に気づいて(笑) それまでは全く別物だと思ってたんですけど。次第次第に4人でできる事が充実してきたんで、誰もやってないそしてやりがいのある未知数分野に…世界中さがしてもそういうことやってる人いないじゃないですか、だから面白いなと思って。って言ってもやっぱ僕ら4人が世界中でオーケストラ持ちたいねっていうのは、まあ現実ばなれしてるし世界中誰もがそんなもの信じないじゃないですか。だけどそれから5年、6年、7年経って今こうやってるっていうことが凄いありがたいなって思って。だから逆に言うと本当に願うとなんでも出来るんだなって。
PD:TakadaさんはGotoさんからそうやって「オーケストラとちょっとやってみたいんだけど」って言われたときにはどう思われましたか?
Takada:僕はぶっちゃけついていくだけなんで。やっぱりそれがバンドの信頼であったり思うんで。彼なりのプランもあるんですけどそれは僕らもやってみないんとわからないことであって。まあ、見えてないんですよ、僕は特に。だけど、まあやるんですよねみんなが。そうすると形になるんですよね。
Goto:そうすると夢が叶う(笑)
Takada:そう。
Goto:で、僕は僕でメンバーにすごいリスペクトなんですよ。だからこのメンバーじゃないとできないものを作らないとっていう仕事なんですよね、作曲においては。うちら全員…家族ってもんなんで全員の顔を思い浮かべながら曲書いて。
PD:前作から3年半ぶりに新作が出るわけですが、その3年半はどういった形で活動をされていたんでしょうか?
Goto:まだ行ってなかった国、ルーマニアやマケドニア、ラトビア、リトアニアとかを回ってました。12年間やってきたんですけど、まだやってない国があってそれがやりたかったんですよ。で、今インドとかサウス・アメリカ以外はだいぶ世界中呼ばれるようになったんですよ。そうやってたら3年半経ってた(笑)
PD:じゃあまったく音源制作っていうのは念頭に置かず?
Goto:音源制作は6ヶ月ほどの期間を2回頂いたんですよ、今まではツアーとツアーの間に時間を少しもらってたんですけどやっぱり書いてる最中にまたツアーが始まっちゃうんで。で、オーケストラ・ショーとかも入って何か集中出来なくなって、だから、メンバーに一回ちょっと遮断したいと。その1年間は月に1回位かな、曲考えたらメンバーに来てもらって聞いてもらうような感じで。1年位はほんと一人で曲書いてて。だから2年半はツアーしてたんだよね?
Takada:そうですね、でも今日は10ヶ月ぶりのぐらいのライブですね、そういえば。
PD:そうでしたか、10ヶ月ぶりのライブはいかがでしたか?
Goto:いやーほんとに一曲目終わった時にありがとうって(笑)
Takada:まあ、でも今日は緊張よりも周りの皆さんとかに感謝という気持ちの方が多かったですね。だから変な緊張もしなかったというか。
PD:凄い優しい響きでした、柔らかくて。
Takada:あ、本当ですか。良かった。
Goto:よかったです、本当に。結構そういう感じで日本で演奏が出来る環境が出来たってことに。僕らが結成した頃は自分たちの居場所がなくて、やっぱり歌無しのバンドっていうのは結成した1999年とか2000年の時は凄い厳しかったんですよ。で、ライブハウスさんとかにもなかなか出してもらえなくて。それもあってニューヨークからやってみようって。今でこそそういう環境が出来ているけれど、当時の日本はまだ…やっぱり僕らはすごい最初の最初の頃にやってたんで対バンが組みにくいとか、あと、こういう音楽は聴いたことないからちょっとイマイチだって言われて。本当に出るところが少なかったんですよ。だから必要だったのかな? とにかく日本に居場所が無くなっちゃって、海外ガーッと回って…12年か、12年経ってこうやって帰ってこれるんだって。僕達日本人なんで帰ってこれたっていう感じがね。だから一曲目が終わったあとにありがとうって思ったのはその気持ちですね。
PD:ツアーをされていろんな場所に行く中で、海外と日本でやる違いというか身に染みて実感した気苦労だったり、大変さだったり、嬉しさだったりっていうのはありますか?
Goto:やっぱり後にも戻れない状態だったんで、例えば当時はツアーも年間170本位やってて。とにかくマネージャーもいない頃から、楽器も自分たちで買って、アメリカで今度は置くところを探して、寝るとこもままならないし、英語も喋れない、当時はGPSもないから地図だけ持って、渋滞しても遅刻している理由が喋れないし、場所も伝えられないというような。 変な話リハーサルが何分でサウンド・チェックとかそういうのも。 全然仕組みがわからないところから始めたんですよ。だから本当に4人の冒険ですよ。
Takada:大冒険です。
Goto:結局僕たちを助けてくれたのは友達で、ファンで。今でこそ世界中で出させて頂いてますけど、あの時はもう。正直やっぱりニューヨークで最初に僕らがやったときのライブはお客さんが5人だったんですよ。僕らは楽器とか売って飛行機代作って、夢だけを頼りに12時間か14時間かけてニューヨークに行って、それで僕がひどく落ち込んだんですよ。日本でも出してもらえない、ニューヨークでも5人だし、けど自分がリーダーで、みんなの時間と熱意をどう責任取っていいんだろうってすっげー悩んだときに、やっぱりTakadaくんだったり他のメンバーが「Gotoさんこんなのは京都に行っても同じですよ」って。「京都に行っても同じですから全然気にならない。だからもっともっとやっていきましょう。」って。多分あの一言がなかったらツアーは出来てなかっただろうし、僕達の場合はまだインターネットとか始まる前の世代なんで。宣伝のしようもないわけで、だから本当にツアーをして見せて見せてライブ演奏で得た信用で口コミでファンの信用を得たというか。それがヨーロッパに飛び火して、オーストラリアに飛び火して、今があるという。もう帰るところもないし、これ以上は出来ないってところまで追い込まれて、食べれないし、だけどすごいそれがよかったのかもしれない。
PD:今までやり続けてきた一番の原動力はそういう崖っぷち感があったわけですね。
Goto:そうですね、僕達は本当に日本で無名…まあ今もほとんど無名なんですけど、だけど無名が故にその悔しさもあって、例えば僕らが世界行って旅してるときは日本人として振る舞うわけじゃないですか。そうしたときに僕はちゃんとした日本人になりたいんですよね。 例えば僕らの父さん母さんとかもっと諸先輩方の世代ってのは第二次世界大戦が終わって焼け野原からスタートしてるわけですよ。あのときの日本人の力強さっていうのを凄い尊敬してて。それをリスペクト出来ないってことは自分の両親をリスペクト出来ないっていうことなんで。昭和の日本のあの強さ、今の日本が弱いとか言われてますけど、やっぱり僕は日本人として振る舞って例えば行動の一つ一つ、意志の強さ、そして日本人はステレオタイプでひ弱ではないっていうことをちゃんと証明していきたいんですよね。だからそれは僕達の先代の、先輩方に対してのリスペクトだし、日本人としての誇りでもありますから。
PD:なるほど、それで本作のタイトル『For My Parents』がまさにドンピシャな感じですが、あのテーマはどのように決まったのでしょうか?
Goto:ほんとにとことんまでワールド・ツアーやってロンドンでオーケストラ・ショーやったときに僕の中で一つ夢がかなったんですよね。本当にあの瞬間こんな歓喜が自分の人生の中に来るなんて夢にまで思ってなかったんで。これ以上は自分たちでやれることはないくらいまでいっちゃったんですよ。そうしたときに今度は自分のルーツはなんだろうって思って、やっぱりあの地震が起きたときに福島のことだったり、こういうことになって、ひ弱な日本を見たし政府の対応もどこまでが本当なのかわからない、そして政治も色んな意味でわからないって言ってたらベルギーの僕の友達に「タカ、お前は日本人としてのプライドがあるのか?」って言われて。 だから俺はそいつに「お前はベルギー人としてのプライドがあるのか?」って聞いたら「俺もプライドがあるかどうかはわからん、だけど俺はベルギー人としての血がある。タカ、お前はジャパニーズのブラッドがある、それを探しに行け。」って言われたんです。
Goto:それで色んな日本のルーツを知りたくなって日本を旅したんです、去年の8月から。で、最後に9月に実家に8年ぶりに帰ったんですね、島根県の出雲市に。田舎の村なんですけどやっぱり僕はそこで育ったんで。親はずっと僕が音楽の道に進むのを怖がってて….ずっと可愛がってくれてたんで、そんな冒険を許してくれた親にやっと顔向けが出来るんじゃないかって思い始めて。で、空港で会った時に初めて親を抱きしめたんですよ。その時に親父が言った一言が良くて「おお、アメリカスタイルだな」って(笑) だから「アメリカスタイルもいいじゃない」って抱きしめたんですよ。で、パッと見たらうちのお母さんがこうやって待ってたんです(笑) それで自分の中でもやっと抱きしめることが出来たっていうのがあって、いろんな意味を含めて自分の冒険を認めてくれた親に恩返しをしたいなって思って。メンバーにもその話をして。ルーツを探してたんですけど、例えばメキシコの人にとってもインドネシアの人にとってもパキスタンの人にとってもアメリカの人にとってもルーツっていうのは全員親なんだなって思ったんですよ。それは1000年先も1000年前も同じなんじゃないかって思って、これだ!って。そこにインスピレーションがあって、この『For My Parents』っていうアルバムが例えば父の日だとか母の日だとか誕生日のちょっとしたギフトになればいいなって思って。アルバムの中に手紙を入れて、写真を入れる切れ込みを入れて、メッセージを書いてそれを渡してくれって。そこに音楽があればいいと思ったんですね。
PD:それを表すためにサウンドでこだわったところはありますか?
Goto:サウンド面と精神的な面があって。その頃が僕が出会ったゲーテの詩で「私は間違っていたようだ、本当の強さというのは恐怖や悲しみに打ち勝つことではなく、暗闇でさえも不安を打ち消す穏やかな心だ」っていうのがあって。僕はずっと親に対して顔向けが出来ないなってロックをやってて思ってて。初めて音楽で抱きしめられるような静けさを...今までは暗闇とか悲しみを壊すようなことをやってたんですけど、そうじゃないんじゃないかって思って。だから、さっき(音が)優しかったって言われたのはそういうことかも知れないです。
精神的な面ではそういうことがありましたね。
Goto:ただ、音楽的にはやっぱりドラムとかも普通ではないとにかく誰もやってないユニークで新しいサウンドをっていうのがあって、それとインストゥルメンタルなんでやっぱりパッと聴いた瞬間にMonoだねって言われるトーンが必要だっていうこと。時期的にそういう新しい音楽、何かの模写でも組み合わせでもなくて。それで僕はやっぱりルーツのベートーヴェンとかに帰って。オーケストラと一緒に新しい音楽を作るっていう経験もあったんで。今日聴いていただいた楽曲も新しい曲なんですけど、頭3曲、ああいう感じで出てきたんです。
Mono - "Legend: A Journey Through Iceland"
PD:今回のレコーディングはニューヨークの大聖堂を改造したところでおこなったそうですがいかがでしたか?
Takada:いい環境でしたよ。ニューヨークって言ってもニューヨーク州広いんでマンハッタンから2時間半ぐらいかかるような凄い田舎で。音楽に没頭出来る環境でしたね。
Goto:(今回のアルバムは)Lenny KravitzとかVanessa Paradisのプロデューサーなんですよ。もうすごいお歳を召した方でマドンナとかミック・ジャガーとか録ってらっしゃるんですけど。だから、僕たちはいい経験をさせてもらいました。すごいヴィンテージのソウルフルな音が好きなので、だからオーケストラもそこで録って。ほとんどのテイクは1発録りで、環境もすごいスピリチュアルでした。
PD:やはりインストゥルメンタルというのは歌詞がないのでメッセージを伝えにくいところがあると思うんですが、リスナーの方たちにこういう世界を見てもらいたいとかこういう思いを伝えたいというところはありますか?
Goto:僕は昔から"歓喜"を表したいと思っているんですけど、ずっと歓喜だとやっぱりちょっとわからないから。例えばずっと健康な人が風邪をひいたときに健康のありがたさをわかるような。いつだって人生っていうのはいい時もあれば悪い時もあって、表現としては暗闇を抜けてそれが少しずつ変化していて最後に大歓喜になるってことなんですけど、新しいアルバムに関してはド頭から歓喜からくるんですね。だからずっと暗闇を通り越した本当の歓喜っていうのを感じて表現したいですね。
PD:Takadaさんは?
Takada:多分曲をもらってバンドで作り上がっているとき音色の話になるんですけど、ドラマーなんで僕は叩くっていうことになるですが、親や親の世代にも聴いて欲しいっていうのが…
Goto:ロックだとかクラッシックじゃなくて普遍的な音楽として作りたいという。
Takada:うん、そういうことを考えることについて自分でもなるほどと。例えば20代の人が聴いてグッてくるシンバルの音もいいけれど60歳の人も聴けるシンバルの音っていうのはどういう音なんだろうって考えましたね。パンクの初期衝動ってもちろんいいんですけど…
Goto:気持ちはね、すごいハードコアなんですよ(笑)でも、やっぱり自分たちの実年齢が上がってきたんで。今までは俺、俺、俺ってノイズとかすごい感じで。だけど今は音楽で社会に貢献できて初めて芸術家なんじゃないかって思ってて。それが出来なければただのクソッタレなんじゃないかって。特に今回の一曲目のエンディングなんかは世代から世代へバトンタッチしていくような、おじいちゃんとかお父ちゃん、子供へっていうのを考えてて。
Takada:その親子っていうのは結局どんどん繰り返されることじゃないですか、だから、今回のアルバムもそうやってずっと残っていけばいいなって。
PD:なるほど、すいません長々とお話してしまいましたが、最後にこれから日本での単独公演やワールド・ツアーも控えているとのことで、それに向けての意気込みと日本の皆さんへのメッセージをお二人からお願い出来ればと思います。
Takada:沢山の人に聴いて欲しいです、年齢も性別も国籍も問わずに。まあちょっと月並みですけど、国境とか年齢層とか、肌の色とかそういうのも超えて聴いて欲しいですね。
Goto:8月31日に東京・恵比寿リキッドルーム、9月7日に大阪シャングリラ。今回は東京と大阪なんですけど、やっぱりワールド・ツアーやっちゃうと日本では年に一回か二回出来るか出来ないかってなっちゃうんですよ。だから願わくばそこでね。その時は新曲と昔の曲と合わせて演奏するんで。昔からのファンの方とも新しいファンの方とも体感したことないようなそういういい時間を共有したいなって思ってます。
クレジット: Private Dub.
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Hammock / Departure Songs

世界最高峰のポストロック、シューゲイザーユニットといえるHammockの5枚目となる新作が2年振りに完成しました。
彼らの代名詞とも言える幻想的なギターのフィードバックと美しいシンセのメロディーを使って壮大に仕上げた楽曲アレンジ。”死と喪失”というテーマで制作された楽曲は、弦楽器のアレンジが美しいアンビエンスを奏でたり、Keith Kennif(Helios/Goldmund)をフューチャーした楽曲”artificial paradises”ではより美しいシンセアレンジと独特のギターの音色が施されています。ヴォーカルも楽器の一部としてとらえた作品も彼らの得意とするところで、Sigur Ros、Cocteau Twins, Ulrich Schnaussと並ぶ最も美しい幽玄サウンド・バンドのひとつです。全19曲CD2枚組という彼らの世界をすべて表現した大傑作です。
Departure Songs Album Trailer
More: Here
Take your time and listen to these great bands.
Xo!


ハロウィーンの月


日本が世界に誇るインストゥルメンタル・バンドMONO。8月22日、前作『Hymn To The Immortal Wind』以来3年半ぶり、通算6枚目のオリジナル・アルバム『For My Parents』をリリースする。メンバーのGogoはこのニュー・アルバムについて、アルバムタイトルが示すように自分を産んでくれた両親への感謝の気持ちをテーマにしたとコメントしている。これまで家族のもとを離れて世界中をツアーで周る中で、そんな気持ちを表現することに素直になれた自分と向き合いながら、言葉ではなかなか伝えきれない想いを音楽を通して伝えるために、ハドソン川近くの大聖堂を改造したスタジオでオーケストラと共にアルバムの制作はおこなわれた。今回Private Dubでは、4年ぶりのフジロック出演直後のTakaakira “Taka” Goto(G)とYasunori Takada(Dr)にインタビューを敢行!新作についてはもちろん、オーケストラとインストゥルメンタル・バンドの融合について、世界を回って芽生えた日本人としてのアイデンティティなどを話してもらった。(取材・福アニー/文・加納薫)
Interview: Mono
PD:4年ぶりのフジロック出演ということで、前回のあとにWorldless Music Orchestraっていう方々とのライブ音源を配信されたりしていて、今回はまた違ったオーケストラと一緒にということなんですけど、その辺りはどういった経緯だったのでしょうか?
Takaakira “Taka” Goto(以下Goto):その、Holy Groundっていうタイトルで、ニューヨークの…なんつったらいいだろね? まあ、クラッシック。 まあちょっと面白いアインシュタインが講演したようなホールがあるんですよ。で、そこでニューヨークのWorldless Music Orchestraっていって、ジョニー・グリーンウッドがサントラやるときやBattlesのタイヨンダイとかと一緒にやったりしてるクラシカルなんだけどちょっと現代音楽やりたいっていうチームの方がいらっしゃって、いつも僕らレコード上ではオーケストラ使ってきたんで、じゃあ実際にライブやってみないかって感じでうちのアメリカのレーベルの方を通じて連絡をとって。まあドキドキしましたけど、それをやったときに自分が思ったよりもライブで再現できるんだって思って。想像できなかったんで、やっぱり。スティーブ・アルビニさんとかにいつもレコーディングして「これライブでできるか? 絶対無理だよ。」って散々言われてきたんで、僕は(笑) 「やっぱライブは無理なんだ」と。音おっきいんで。そういう経緯があってニューヨークでやった時に思わぬ手応えを感じて。それでライブ音源を出させていただいて、その流れでオーストラリアとかロンドンとか日本とかマレーシアでそのオーケストラとのライブをやったんですよ。そうしたときに凄い自分の中に見えてくるものがあって。で、レコーディングにはニューヨークでやった時のオーケストラをそのまま。それまではシカゴでスティーブ・アルビニさんと録ってたんですけど、今回はどうしても作曲した時点でライブからのインスピレーションがあったので、ニューヨークのオーケストラを従えてレコーディングしたいって思いがあって。で、まあスティーブさんを離れてニューヨークのオーケストラをニューヨーク近郊でレコーディングするべきだっていう風に考えて。
PD:じゃあ今回のHoly Ground OrchestraっていうのはイコールWorldless Music Orchestraなんですか?
Goto:そうです、新しいアルバムのオーケストラは同じ方なんです。僕らがオーケストラとライブをやるときにはHoly Ground Orchestraっていう名前にしていて、例えばロンドンでやるときもHoly Ground Orchestra。(今回レコーディングに参加した)ニューヨークのWorldless Music Orchestraも僕らと一緒にライブをやるときはHoly Ground Orchestra。
PD:今おっしゃった手応えというのはどういったところから具体的に感じられたんですか?
Goto:二つの面があって。一個は技術的な問題で、いわゆるノイズパート。僕らはダイナミクスが大きいんで、ギターとかベースとかの。その音量に対して24人のオーケストラで果たして本当に聴こえるのかと。例えばオーディエンスの方から見たら「オーケストラがいるのに聞こえない」とか、「オーケストラがいるんだけど迫力がない」ということにならないかっていうことを僕は一番心配してたんですよ。だけどそのまま再現できたんで。あと、素晴らしいこととあらためて実感したのはオーケストラの方ってアジアの方もいらっしゃるし、黒人の方もいらっしゃるし、僕たち4人の日本人の作ってる音楽に対して色んな国籍の方が...オーディエンスはいつもそうなんですけど、一つの音楽をやるのにオーケストラを従えるっていうのは4人から一挙に28人のメンバーになるじゃないですか。28人が一個の思想をもとにエネルギーを一個に出来るっていう素晴らしさがあって。それは瞬間的なものじゃないですか。で、全員が同じ事を思って同じようにやるってことが…今日もそうなんですけど大変なことなんだけどやったあとの充実感っていうのがやっぱり掛け算になっていくんだよね。
PD:今日のライブはやってみていかがでしたか?
Yasunori Takada(以下Takada):結局それに付随することですけど、関わってくれた人が幸せになってくれたはずなんですよ。僕らもスタッフの方も。
Goto:やりがいがあるんだよね。(笑)
Takada:僕らも一生懸命演奏して、スタッフはもう今日とんでもないステージを組み立ててくれて、そういうのがひとつのベクトルに向かったときにみんなが幸せにいい気分になれるのかなって。
Goto:そう、やっぱり共同作業なんだなって思う。
PD:配置もすごいおもしろかったです。メンバー4人は真正面を向いて、コンダクターとオーケストラの方々は横を向いてやっていて。
Goto:そうですね、あれは僕達のスタイルですね。
PD:アルバムやライブでオーケストラと一緒にやるということは、今おっしゃったように一つに向かってやる充実感もあればやっぱり大変なところもあると思うんですけど、例えば音の大きい箇所や小さい箇所をどう合わせるかというような。ライブや音源で苦労したところや難しかったところはありますか?
Goto:音源に関しては、やっぱり12年かけて最初はチェロ一人を1stアルバムに入れて、次のアルバムはチェロとヴァイオリンの二人を入れて、その次のアルバムは初めてカルテットにして、それで前作『Hymn To The Immortal Wind』の時に初めてフルオーケストラを試してみたいと思って。自分で全部オーケストラ・ライティングをするんですけど、すごい学ぶことや経験にもなったし。実際に何人がどういうアンサンブルでどのくらいの倍音が出てギターとどういう絡みがって、そして全部の楽器が合わさったときにどういうサウンドになるかというような。それがMonoの理想的な音なんですけど。今回はそれにプラスしてライブが経験値としてあったんで新譜に関してはとても計画性があって、すごい充実感も今まで以上にありましたね。スムーズでした。
PD:ドラムに関しては音が大きいからコントロール出来ない面もあると思うんですがその辺りはどうでしょうか?
Takada:そうですね、でも段々やるにつれて慣れてくる面もありますし、一番新しいアルバムは割とそこも考えられてるんで、オーケストラのバランスもものすごく考えましたけど。
Goto:だけどティンパニだけでも2年ぐらいかけてるよね? 2年前に買って一から練習していくとか、やっぱり僕らはオーケストラのようにクラッシックの人ではないんで色々と。
PD:色々学ぶことが。
Takada:そうとう手探りですけどね。
Goto:あとオーガニックな楽器が大好きで。デジタルが嫌なんですよ。やっぱりこう生の楽器が。だからすごい研究するよね、どういう風に叩いたらどういう音が出てっていうそういうのは経験していかないと。
PD:今回も何かちょっとした発見などありましたか?
Takada:発見の連続です。Try & Found.
Goto:だけどやりがいがありますよ。
PD:そもそもなぜインストゥルメンタル・バンドとオーケストラを組み合わせようと思ったんですか?
Goto:昭和の親の人ってみんなピアノを持ってらっしゃるじゃないですか。僕もやっぱりそういう環境で育って、ちっちゃい頃からベートーヴェンとかショパンが流れてたんですよ。でもそれがどういう風に合体するのかなんてのは全然思ってなかったんですけど、2003年か4年位の時に「あ、クラッシック・ミュージックもインストゥルメンタル・ミュージックなんだ」って事に気づいて(笑) それまでは全く別物だと思ってたんですけど。次第次第に4人でできる事が充実してきたんで、誰もやってないそしてやりがいのある未知数分野に…世界中さがしてもそういうことやってる人いないじゃないですか、だから面白いなと思って。って言ってもやっぱ僕ら4人が世界中でオーケストラ持ちたいねっていうのは、まあ現実ばなれしてるし世界中誰もがそんなもの信じないじゃないですか。だけどそれから5年、6年、7年経って今こうやってるっていうことが凄いありがたいなって思って。だから逆に言うと本当に願うとなんでも出来るんだなって。
PD:TakadaさんはGotoさんからそうやって「オーケストラとちょっとやってみたいんだけど」って言われたときにはどう思われましたか?
Takada:僕はぶっちゃけついていくだけなんで。やっぱりそれがバンドの信頼であったり思うんで。彼なりのプランもあるんですけどそれは僕らもやってみないんとわからないことであって。まあ、見えてないんですよ、僕は特に。だけど、まあやるんですよねみんなが。そうすると形になるんですよね。
Goto:そうすると夢が叶う(笑)
Takada:そう。
Goto:で、僕は僕でメンバーにすごいリスペクトなんですよ。だからこのメンバーじゃないとできないものを作らないとっていう仕事なんですよね、作曲においては。うちら全員…家族ってもんなんで全員の顔を思い浮かべながら曲書いて。
PD:前作から3年半ぶりに新作が出るわけですが、その3年半はどういった形で活動をされていたんでしょうか?
Goto:まだ行ってなかった国、ルーマニアやマケドニア、ラトビア、リトアニアとかを回ってました。12年間やってきたんですけど、まだやってない国があってそれがやりたかったんですよ。で、今インドとかサウス・アメリカ以外はだいぶ世界中呼ばれるようになったんですよ。そうやってたら3年半経ってた(笑)
PD:じゃあまったく音源制作っていうのは念頭に置かず?
Goto:音源制作は6ヶ月ほどの期間を2回頂いたんですよ、今まではツアーとツアーの間に時間を少しもらってたんですけどやっぱり書いてる最中にまたツアーが始まっちゃうんで。で、オーケストラ・ショーとかも入って何か集中出来なくなって、だから、メンバーに一回ちょっと遮断したいと。その1年間は月に1回位かな、曲考えたらメンバーに来てもらって聞いてもらうような感じで。1年位はほんと一人で曲書いてて。だから2年半はツアーしてたんだよね?
Takada:そうですね、でも今日は10ヶ月ぶりのぐらいのライブですね、そういえば。
PD:そうでしたか、10ヶ月ぶりのライブはいかがでしたか?
Goto:いやーほんとに一曲目終わった時にありがとうって(笑)
Takada:まあ、でも今日は緊張よりも周りの皆さんとかに感謝という気持ちの方が多かったですね。だから変な緊張もしなかったというか。
PD:凄い優しい響きでした、柔らかくて。
Takada:あ、本当ですか。良かった。
Goto:よかったです、本当に。結構そういう感じで日本で演奏が出来る環境が出来たってことに。僕らが結成した頃は自分たちの居場所がなくて、やっぱり歌無しのバンドっていうのは結成した1999年とか2000年の時は凄い厳しかったんですよ。で、ライブハウスさんとかにもなかなか出してもらえなくて。それもあってニューヨークからやってみようって。今でこそそういう環境が出来ているけれど、当時の日本はまだ…やっぱり僕らはすごい最初の最初の頃にやってたんで対バンが組みにくいとか、あと、こういう音楽は聴いたことないからちょっとイマイチだって言われて。本当に出るところが少なかったんですよ。だから必要だったのかな? とにかく日本に居場所が無くなっちゃって、海外ガーッと回って…12年か、12年経ってこうやって帰ってこれるんだって。僕達日本人なんで帰ってこれたっていう感じがね。だから一曲目が終わったあとにありがとうって思ったのはその気持ちですね。
PD:ツアーをされていろんな場所に行く中で、海外と日本でやる違いというか身に染みて実感した気苦労だったり、大変さだったり、嬉しさだったりっていうのはありますか?
Goto:やっぱり後にも戻れない状態だったんで、例えば当時はツアーも年間170本位やってて。とにかくマネージャーもいない頃から、楽器も自分たちで買って、アメリカで今度は置くところを探して、寝るとこもままならないし、英語も喋れない、当時はGPSもないから地図だけ持って、渋滞しても遅刻している理由が喋れないし、場所も伝えられないというような。 変な話リハーサルが何分でサウンド・チェックとかそういうのも。 全然仕組みがわからないところから始めたんですよ。だから本当に4人の冒険ですよ。
Takada:大冒険です。
Goto:結局僕たちを助けてくれたのは友達で、ファンで。今でこそ世界中で出させて頂いてますけど、あの時はもう。正直やっぱりニューヨークで最初に僕らがやったときのライブはお客さんが5人だったんですよ。僕らは楽器とか売って飛行機代作って、夢だけを頼りに12時間か14時間かけてニューヨークに行って、それで僕がひどく落ち込んだんですよ。日本でも出してもらえない、ニューヨークでも5人だし、けど自分がリーダーで、みんなの時間と熱意をどう責任取っていいんだろうってすっげー悩んだときに、やっぱりTakadaくんだったり他のメンバーが「Gotoさんこんなのは京都に行っても同じですよ」って。「京都に行っても同じですから全然気にならない。だからもっともっとやっていきましょう。」って。多分あの一言がなかったらツアーは出来てなかっただろうし、僕達の場合はまだインターネットとか始まる前の世代なんで。宣伝のしようもないわけで、だから本当にツアーをして見せて見せてライブ演奏で得た信用で口コミでファンの信用を得たというか。それがヨーロッパに飛び火して、オーストラリアに飛び火して、今があるという。もう帰るところもないし、これ以上は出来ないってところまで追い込まれて、食べれないし、だけどすごいそれがよかったのかもしれない。
PD:今までやり続けてきた一番の原動力はそういう崖っぷち感があったわけですね。
Goto:そうですね、僕達は本当に日本で無名…まあ今もほとんど無名なんですけど、だけど無名が故にその悔しさもあって、例えば僕らが世界行って旅してるときは日本人として振る舞うわけじゃないですか。そうしたときに僕はちゃんとした日本人になりたいんですよね。 例えば僕らの父さん母さんとかもっと諸先輩方の世代ってのは第二次世界大戦が終わって焼け野原からスタートしてるわけですよ。あのときの日本人の力強さっていうのを凄い尊敬してて。それをリスペクト出来ないってことは自分の両親をリスペクト出来ないっていうことなんで。昭和の日本のあの強さ、今の日本が弱いとか言われてますけど、やっぱり僕は日本人として振る舞って例えば行動の一つ一つ、意志の強さ、そして日本人はステレオタイプでひ弱ではないっていうことをちゃんと証明していきたいんですよね。だからそれは僕達の先代の、先輩方に対してのリスペクトだし、日本人としての誇りでもありますから。
PD:なるほど、それで本作のタイトル『For My Parents』がまさにドンピシャな感じですが、あのテーマはどのように決まったのでしょうか?
Goto:ほんとにとことんまでワールド・ツアーやってロンドンでオーケストラ・ショーやったときに僕の中で一つ夢がかなったんですよね。本当にあの瞬間こんな歓喜が自分の人生の中に来るなんて夢にまで思ってなかったんで。これ以上は自分たちでやれることはないくらいまでいっちゃったんですよ。そうしたときに今度は自分のルーツはなんだろうって思って、やっぱりあの地震が起きたときに福島のことだったり、こういうことになって、ひ弱な日本を見たし政府の対応もどこまでが本当なのかわからない、そして政治も色んな意味でわからないって言ってたらベルギーの僕の友達に「タカ、お前は日本人としてのプライドがあるのか?」って言われて。 だから俺はそいつに「お前はベルギー人としてのプライドがあるのか?」って聞いたら「俺もプライドがあるかどうかはわからん、だけど俺はベルギー人としての血がある。タカ、お前はジャパニーズのブラッドがある、それを探しに行け。」って言われたんです。
Goto:それで色んな日本のルーツを知りたくなって日本を旅したんです、去年の8月から。で、最後に9月に実家に8年ぶりに帰ったんですね、島根県の出雲市に。田舎の村なんですけどやっぱり僕はそこで育ったんで。親はずっと僕が音楽の道に進むのを怖がってて….ずっと可愛がってくれてたんで、そんな冒険を許してくれた親にやっと顔向けが出来るんじゃないかって思い始めて。で、空港で会った時に初めて親を抱きしめたんですよ。その時に親父が言った一言が良くて「おお、アメリカスタイルだな」って(笑) だから「アメリカスタイルもいいじゃない」って抱きしめたんですよ。で、パッと見たらうちのお母さんがこうやって待ってたんです(笑) それで自分の中でもやっと抱きしめることが出来たっていうのがあって、いろんな意味を含めて自分の冒険を認めてくれた親に恩返しをしたいなって思って。メンバーにもその話をして。ルーツを探してたんですけど、例えばメキシコの人にとってもインドネシアの人にとってもパキスタンの人にとってもアメリカの人にとってもルーツっていうのは全員親なんだなって思ったんですよ。それは1000年先も1000年前も同じなんじゃないかって思って、これだ!って。そこにインスピレーションがあって、この『For My Parents』っていうアルバムが例えば父の日だとか母の日だとか誕生日のちょっとしたギフトになればいいなって思って。アルバムの中に手紙を入れて、写真を入れる切れ込みを入れて、メッセージを書いてそれを渡してくれって。そこに音楽があればいいと思ったんですね。
PD:それを表すためにサウンドでこだわったところはありますか?
Goto:サウンド面と精神的な面があって。その頃が僕が出会ったゲーテの詩で「私は間違っていたようだ、本当の強さというのは恐怖や悲しみに打ち勝つことではなく、暗闇でさえも不安を打ち消す穏やかな心だ」っていうのがあって。僕はずっと親に対して顔向けが出来ないなってロックをやってて思ってて。初めて音楽で抱きしめられるような静けさを...今までは暗闇とか悲しみを壊すようなことをやってたんですけど、そうじゃないんじゃないかって思って。だから、さっき(音が)優しかったって言われたのはそういうことかも知れないです。
精神的な面ではそういうことがありましたね。
Goto:ただ、音楽的にはやっぱりドラムとかも普通ではないとにかく誰もやってないユニークで新しいサウンドをっていうのがあって、それとインストゥルメンタルなんでやっぱりパッと聴いた瞬間にMonoだねって言われるトーンが必要だっていうこと。時期的にそういう新しい音楽、何かの模写でも組み合わせでもなくて。それで僕はやっぱりルーツのベートーヴェンとかに帰って。オーケストラと一緒に新しい音楽を作るっていう経験もあったんで。今日聴いていただいた楽曲も新しい曲なんですけど、頭3曲、ああいう感じで出てきたんです。
PD:今回のレコーディングはニューヨークの大聖堂を改造したところでおこなったそうですがいかがでしたか?
Takada:いい環境でしたよ。ニューヨークって言ってもニューヨーク州広いんでマンハッタンから2時間半ぐらいかかるような凄い田舎で。音楽に没頭出来る環境でしたね。
Goto:(今回のアルバムは)Lenny KravitzとかVanessa Paradisのプロデューサーなんですよ。もうすごいお歳を召した方でマドンナとかミック・ジャガーとか録ってらっしゃるんですけど。だから、僕たちはいい経験をさせてもらいました。すごいヴィンテージのソウルフルな音が好きなので、だからオーケストラもそこで録って。ほとんどのテイクは1発録りで、環境もすごいスピリチュアルでした。
PD:やはりインストゥルメンタルというのは歌詞がないのでメッセージを伝えにくいところがあると思うんですが、リスナーの方たちにこういう世界を見てもらいたいとかこういう思いを伝えたいというところはありますか?
Goto:僕は昔から"歓喜"を表したいと思っているんですけど、ずっと歓喜だとやっぱりちょっとわからないから。例えばずっと健康な人が風邪をひいたときに健康のありがたさをわかるような。いつだって人生っていうのはいい時もあれば悪い時もあって、表現としては暗闇を抜けてそれが少しずつ変化していて最後に大歓喜になるってことなんですけど、新しいアルバムに関してはド頭から歓喜からくるんですね。だからずっと暗闇を通り越した本当の歓喜っていうのを感じて表現したいですね。
PD:Takadaさんは?
Takada:多分曲をもらってバンドで作り上がっているとき音色の話になるんですけど、ドラマーなんで僕は叩くっていうことになるですが、親や親の世代にも聴いて欲しいっていうのが…
Goto:ロックだとかクラッシックじゃなくて普遍的な音楽として作りたいという。
Takada:うん、そういうことを考えることについて自分でもなるほどと。例えば20代の人が聴いてグッてくるシンバルの音もいいけれど60歳の人も聴けるシンバルの音っていうのはどういう音なんだろうって考えましたね。パンクの初期衝動ってもちろんいいんですけど…
Goto:気持ちはね、すごいハードコアなんですよ(笑)でも、やっぱり自分たちの実年齢が上がってきたんで。今までは俺、俺、俺ってノイズとかすごい感じで。だけど今は音楽で社会に貢献できて初めて芸術家なんじゃないかって思ってて。それが出来なければただのクソッタレなんじゃないかって。特に今回の一曲目のエンディングなんかは世代から世代へバトンタッチしていくような、おじいちゃんとかお父ちゃん、子供へっていうのを考えてて。
Takada:その親子っていうのは結局どんどん繰り返されることじゃないですか、だから、今回のアルバムもそうやってずっと残っていけばいいなって。
PD:なるほど、すいません長々とお話してしまいましたが、最後にこれから日本での単独公演やワールド・ツアーも控えているとのことで、それに向けての意気込みと日本の皆さんへのメッセージをお二人からお願い出来ればと思います。
Takada:沢山の人に聴いて欲しいです、年齢も性別も国籍も問わずに。まあちょっと月並みですけど、国境とか年齢層とか、肌の色とかそういうのも超えて聴いて欲しいですね。
Goto:8月31日に東京・恵比寿リキッドルーム、9月7日に大阪シャングリラ。今回は東京と大阪なんですけど、やっぱりワールド・ツアーやっちゃうと日本では年に一回か二回出来るか出来ないかってなっちゃうんですよ。だから願わくばそこでね。その時は新曲と昔の曲と合わせて演奏するんで。昔からのファンの方とも新しいファンの方とも体感したことないようなそういういい時間を共有したいなって思ってます。
クレジット: Private Dub.
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Hammock / Departure Songs

世界最高峰のポストロック、シューゲイザーユニットといえるHammockの5枚目となる新作が2年振りに完成しました。
彼らの代名詞とも言える幻想的なギターのフィードバックと美しいシンセのメロディーを使って壮大に仕上げた楽曲アレンジ。”死と喪失”というテーマで制作された楽曲は、弦楽器のアレンジが美しいアンビエンスを奏でたり、Keith Kennif(Helios/Goldmund)をフューチャーした楽曲”artificial paradises”ではより美しいシンセアレンジと独特のギターの音色が施されています。ヴォーカルも楽器の一部としてとらえた作品も彼らの得意とするところで、Sigur Ros、Cocteau Twins, Ulrich Schnaussと並ぶ最も美しい幽玄サウンド・バンドのひとつです。全19曲CD2枚組という彼らの世界をすべて表現した大傑作です。
More: Here
Take your time and listen to these great bands.

Xo!


Credits: Private Dub.
ついに、ついに、ついに、8月に出ます!アニマル・コレクティヴの3年ぶりのアルバム『センティピード・ヘルツ』が!直訳すると「ムカデの周波数」。それぞれソロ活動やアート・プロジェクトへの参加、彼らが主宰するレーベル・アーティストのプロデュース、メンバー全員でスニーカーをデザインするなど、課外活動に精を出していたようですが、ようやく新作がリリースされます。
前作『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』と打って変わって、野性味と原色あふれる音が飛び散っている今作。クンビア、ターキッシュ、アジアン、アフリカンといったトライバルなムードをたたえながら、まさに地球発宇宙行き、密林サイケミュージックといった作りです。
今回Private Dubでは、6月に行われた「タイコクラブ」で来日していたアニマル・コレクティヴをキャッチ!ソロ作も好評のパンダ・ベアと、前作には参加していなかったディーケンにインタビューしました。前作から今作にいたる3年間とディーケン復帰の経緯、今作のこだわり、おすすめの音楽、ふたりが考える「ポップ」と「アヴァンギャルド」についてなど、ばしばし聞いてきました!(取材・文/福アニー)
Interview: Animal Collective
Private Dub(以下PD):2009年のフジロック以来3年ぶりの来日となりましたが、6月に行われた「タイコクラブ」でのパフォーマンスはいかがでしたか?
Panda Bear:すごくいいライブができたよ。お客さんもメロウな雰囲気でね。フェスの環境も景色もきれいでうれしかったし、出演バンドがずっと一緒に行動している感じが、みんなでキャンプに来たみたいですごく楽しかったな。
PD:新作『センティピード・ヘルツ』の曲も演奏したんですか?
Deakin:うん。新曲から5曲、昔の曲から5曲やったよ。
PD:前作『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』発売後、それぞれどうしていたのか振り返って教えてください。
Panda Bear:『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』ツアーの後半に、その合間をぬってソロ用の曲を書き始めたんだ。ツアーが終わった頃にソロ作『トムボーイ』のレコーディングをして、発売して、アメリカとヨーロッパで短いツアーをして。で、2011年の1月にまたみんなで集まって、『センティピード・ヘルツ』の準備にとりかかったんだよ。
Deakin:前々作『ストロベリー・ジャム』を作った後、音楽活動から離れて大工をやっていたんだ(笑)自然素材を使って家を建てるっていう。それを2年くらいやって、徐々に音楽活動を再開して。始めはリミックスをいくつかやって、2010年頃から本格的に自分用の曲を書き始めて、ソロライブもやって。ルームシェアしているエイヴィー・テアといろいろレコーディングしたし、彼のアルバムも一緒にプロデュースしたんだよ。あと、自分たちが主宰するレーベル「パウ・トラックス」で、プリンス・ラマのレコーディングを手伝ったり、トリッキー・フェザーをプロデュースしたりしてね。その後パンダ・ベアも言ったけど、2011年にみんなでボルチモアに集まって、『センティピード・ヘルツ』の制作にとりかかったんだ。
PD:どうしてディーケンは大工をやろうと思ったんですか?また、復帰の経緯を教えてください。
Deakin:大学を出た後にニューヨークに引っ越したんだけど、もともと、大工でお金を稼いでいたから。劇場のセットの組み立て、キッチンや戸棚の取り付け……それで2007年くらいかな、音楽活動を休んでいる時に、たまたま自然素材を使って家を建てるって話があったからやってみたんだ。復帰はごく自然な流れで。ソロ活動をやっていくなかで、ずっとメンバーとも連絡を取り合っていたし、話もしていたしね。
PD:ビートルズの『イエロー・サブマリン』が海底アドベンチャーだとしたら、『センティピード・ヘルツ』は宇宙アドベンチャーで、どこかのスペース・ジャングルを探検しているようでした。かなりハイテンションでビートが際立っている作品ですね。『ストロベリー・ジャム』の時、ディーケンは「アルバムをレコーディングする時は、大抵みんなで話し合って、今回のアルバムはこういう音になるってみんなが考えたのと近い場所に行くことにしているんだ」と言っていましたが、今回はどんな心境でどんな音にしようと決めて、どこでレコーディングしたんですか?
Panda Bear:スペース・ジャングルか、ザッツ・クール(いいね)!今回のレコーディングでは、これまでに比べて場所はそんなに重要じゃなかったかな。むしろアルバムでこういうサウンドを出したい、それを実現するためのスタジオの機材や間取りを重視したよ。それでエルパソのスタジオになったんだけど、行ってみると月面みたいな簡素なところでさ。隣にピーカン畑があって、砂地の上に何列も何列も、木が整然と並んでるんだ。色もかなりシンプルで。ある意味、アルバムの雰囲気にあっていたかもね。
PD:今作は前作と打って変わって、荒々しく躍動的で、ライブ感があります。スタジオの機材や間取りにこだわったとのことですが、具体的には?
Panda Bear:今回は自分たちの生演奏をアナログテープでレコーディングするっていう手法をとりたかったから、2インチのアナログテープを2台同期させて使ったんだ。トラック数はほしいからね。お互いの楽器がかぶらないように個別の部屋で録ったんだけど、あたかも同じ部屋で演奏しているかのようなライブ感が出せる間取りだったから、とてもよかったよ。
Deakin:前作が音をどんどん重ねて録っていったものに対して、今作はバンドとしてのライブ感をそのまま音にしたいってこだわりがあったから、そこが大きな違いなんじゃないかな。
PD:今回はどうしてそういうムードになったんでしょう?
Panda Bear:前作がシーケンサーとかサンプラーとか機材に依存していて、すごく閉じ込められてしまっている感覚になったから、その反動でそこからの解放を……(笑)
Deakin:久しぶりに4人で集まって、同じ部屋でジャムセッションをしながら曲を作ったら、自然とエネルギッシュなライブパフォーマンスになったんだよね。生の楽器を持って、ギターを演奏して、ドラムを叩いてっていう行為から生まれる自然なエネルギーが曲自体に満ちていたから、サウンドもそういうふうになったんだと思う。
PD:『センティピード・ヘルツ』は中南米やアフリカ、アジアなどのトライバルなムードが感じられて、レーベル「サブライム・フリーケンシーズ」あたりの音楽がお好きなのかなと思いました。制作時にインスピレーションを受けた音楽などあれば教えてください。
Deakin:世界中の音楽はメンバーみんな好きで、いろいろ聴いてるよ。とくにクンビア(南米コロンビアのラテン音楽)はすごく刺激を受けるし、セルダ・バージャンとかアーキン・コーレイとか、トルコのサイケ音楽もいいよ。あとはきみが言ったように「サブライム・フリーケンシーズ」から出てるものも結構好きで、カンボジアやインドネシアなどの東南アジアのサイケポップもよく聴いてる。でも、それら幅広く聴いているものを今回のアルバムで意識的に出そうってわけじゃなくて、普段からたくさん聴いてるから自然とにじみ出ちゃったって感じかな。
PD:『センティピード・ヘルツ』で、先行シングル「ハニカム/ゴッサム」の2曲が未収録な理由は?BBCのインタビューで、ビートルズのシングル「ペーパー・バック・ライター」とアルバム『リボルバー』の関係と似たようなものと話していましたが。
Panda Bear:いつもアルバムのレコーディングをすると、それに入りきらないくらいの曲ができることが多いんだ。これまではそのあまった曲をミニアルバムにして後で出してたんだけど、今回はアルバムの後に出すんじゃなくて、先に出そうってことになったんだ。この2曲、ディーケンは気に入ってていい曲だと言うんだけど、僕はそうでもない(笑)とにかく両方とも、前作と今作をつなぐ架け橋みたいな曲になったと思う。
PD:なるほど(笑)メンバーそれぞれのソロ活動が、『センティピード・ヘルツ』にどう影響したと思いますか?
Panda Bear:僕の場合、ほとんど影響はないかな。『トムボーイ』の前のソロ作『パーソン・ピッチ』の時は、『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』の制作にそのままつながるところもあったんだけど……『トムボーイ』ではギターを弾いてドラムマシーンにあわせて作ったんだけど、『センティピード・ヘルツ』では生ドラムを叩いているわけだから、やってることは昼と夜くらい違うしね。曲作りも、自分のソロでやったこととアニマル・コレクティヴでやったことは違うから、僕個人としてはソロ作品と今回のアルバムのつながりはないんだよね。
Deakin:僕は『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』を他のメンバーが作っている間、バンドを離れていた。なぜそこに参加しなかったかというと、自分と自分の音楽に向き合って、自分のなかで自分の音楽とはどういうものなのか、再確認する必要があったんだ。それでさっきも言ったように大工をやって、ソロの音楽活動に専念して……そうすることで改めて自分の音楽をしっかり見つけて、自信もついて、またこうしてバンドに戻ってくることができたんだよ。
PD:デビューしてから12年を振り返ってみて、世界の音楽的状況をどう見ていますか?またそのなかで、インディーでやっていくことの強みを教えてください。
Panda Bear:音楽的状況が12年前とずいぶん変わったなってことは、すごく実感してる。おそらくそれは、インターネットによるところが大きいんだろう。インディーとメジャーの垣根もほとんどないと感じてるよ。
Deakin:とくに僕らが所属してるドミノは、インディーのなかでもそれなりに大きくてしっかりしてるレーベルなんで、バンドがやりたいことを十分やらせてくれるし、それを支えるだけの経済的・組織的バックアップもある。その一方でそこまで大きくないから妥協する必要もないっていう、ちょうどいいバランスだと思うんだ。
Panda Bear:あと、昔だったら新人バンドをブレイクさせるのに、大きなメジャーがお金をつぎ込んで宣伝して、みんなに音楽を届けるってことをしなければならなかった。でもいまはインターネットのおかげで、youtubeに動画をアップすれば瞬く間に広まることもあるしね。メジャーの支援や後ろ盾がなくても成功できるような状況になったから、インディーとメジャーのバンドの差はないに等しいんじゃないかな。ただ、インターネットで一気に有名になれるっていう反面、長続きしないこともあるだろうし、若いバンドにとっては大変な時代ではあるかもしれない。僕たちは自分たちのペースで、どういうふうにやっていきたいのかをじっくり考えながら成長して、ここまでくることができた。もし早くに成功しちゃったら煮詰まってたかもしれないし、分裂してたかもしれないよね。
Deakin:とにかく変化の途中であることは間違いない。音楽産業の古いあり方がほとんど機能してないとわかったから、みんなが次にどういうビジネスモデルが一番いいのか模索してるところなんじゃないかな。1年後でさえ、レーベルとアーティストの関係がどういう状態なのか、先が読めないような時代だよね……
PD:それでは最後に。アニマル・コレクティヴは「ポップとアヴァンギャルドを自在に行き来する」と言われますが、あなたたちにとって「ポップ」と「アヴァンギャルド」とはどういうものですか?
Panda Bear:「ポップ」っていうのは「これ」って一つ決まったものじゃなくて、その時代その時代において、大多数の人たちが好むものだと思う。だから、50年前といまでは「ポップ」のあり方も当然違うんじゃないかな。
Deakin:「アヴァンギャルド」に関していえば、自分たちは新しい曲作り、新しいサウンド、新しい構成を模索する自由さを、すごく大事にしている。それがおそらく「実験的」ってことなんだろう。でも、やっぱり核にあるのは「メロディー」なんだよ。聴いててすごく楽しくて興奮する刺激的な「メロディー」が大事で、それを表現するやり方を新しい方法で見つけていくってことが、「アヴァンギャルド」なんだと思う。
(Interview & Text by 福アニー)
■アルバム情報
アーティスト名:Animal Collective(アニマル・コレクティヴ)
タイトル:Centipede Hz(センティピード・ヘルツ)
品番: HSE-10126
レーベル: Domino / Hostess
発売日:8月29日(水)
価格: 2,490円(税込)
※日本先行発売、ボーナストラック2曲、歌詞対訳付
■トラックリスト
1. Moonjock
2. Today's Supernatural
3. Rosie Oh
4. Applesauce
5. Wide Eyed
6. Father Time
7. New Town Burnout
8. Monkey Riches
9. Mercury Man
10. Pulleys
11. Amanita
12. Honeycomb(ボーナストラック)
13. Gotham(ボーナストラック)
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
Grizzly Bearの新曲”Yet Again"がめちゃくちゃいいのでお願いだから聴いてみてください

Grizzly Bearが9月に発売の新作『シールズ』から2曲目の新曲”Yet Again”を発表した。
こちらで聴けます。
これがめちゃくちゃ良い。バンドとしての新たなレベルの洗練を示すのみならず、曲として思いきり心地良いので、何度も何度も繰り返し聴きたくなる。とりわけ、エドのボーカルが良い。これまでは幾重にも加工してきたのに、こんなにさらっと優しく歌ってしまっていて、それが驚きでもあり、素晴らしい。
バンドはアルバムの1曲目となる”Sleeping Ute”をすでに発表したが、この曲は前作からどれだけ飛躍したのかを思いきり伝える異様に激しく力強いロック・ソングであった。
この2曲は、バンドの新方向、そして幅広さを伝えるものだと思う。アルバムへの期待を思いきり高めて待ちましょう!
すーばーらーしーいーーーーーーー!!

