言わないよ。大好きだから。ね。 -4ページ目

別に

誰に祝って貰えなくても
構わない


忘れられていたって
どうでもいい



姫にだけは



祝って

欲しかった

一日経って

だいぶ頭は冷静になってきた。



どうするべきか、
私は答えを出さなきゃならない。



股関節が痛い。
当然ながら、全体重を、
客にかける訳にはいかないから、
普段使わない筋肉が痛む。



その痛みこそが、
私が昨日なにをしたのかの証。

夢だったなどと
戯言を許さない現実の痛み。


確かに、あの場所に在籍
すれば
金に困る事はなくなるかもしれない。



だけど、

目標額が貯まれば
すぐにやめられるのか、
と言えば、


そんなに甘い世界ではないだろう。


いつ知り合いが訪れるかも
分からないリスク。



姫の心配を裏切る痛み、

私は耐えられるのだろうか?





源氏名は、尊敬し、
愛してやまない名前を借りた。


その名で呼ばれる度に
痛む心に、


私は耐えられるのだろうか?



時間はある。
悩まなければ、いけないね。

堕ちる、腐る、

後悔は、
していない。


あれくらいの金になるだけの
サービスを
私はしたのだから。




金に困っていた。
日払いの仕事を探していた。
高給な仕事を探していた。



おのずと、職種は限られてくる。


短い期間で、確実に稼ぐ。



夜の道を選ぼうとした。


数時間働いて、
普段の仕事6日以上の
金額を叩き出した。


私にでも出来るんだ、
と思う反面、
怖かった。


仕事場で携帯を見て、
姫からの着信を見つけた瞬間
背筋が凍る思いがした。


心臓が、
止まるかと思った。




仕事場を後にして、
姫にコールする。


時刻はAM3:00
姫は眠っていたのかもしれない。


それでも、
電話に出てくれた。


私に電話をしたのは
『心配だったから』



姫、ごめん。ごめんね。
私、約束破っちゃったね。



『風俗はダメだよ』
姫はそう言った。


だけど私はさっきまで、
見知らぬ男の膝に乗って
いたんだよ。



正直に話したから、
気持ち悪いなと思われて
当然だと思った。



それなのに姫から
返ってきた言葉は、


『大丈夫?』




姫、
あなたは私に甘過ぎる。


ここは引いても、拒絶しても
いい所なんだよ。




姫、優し過ぎるあなたが、


私には酷く眩しくて、




あたたかいよ。