日本は世界でもきれい好きな人が多いことで知られるが、まさにトイレを見れば一目瞭然である。
あれがふつうで生きてきた日本人にとって海外でトイレに悩まされることは多いだろう。
高校生の頃旅行で万里の長城に行ったときガイドさんが信じられないことを言った。
「日本人がトイレで倒れて救急車で運ばれた」
理由はあまりにも汚すぎたためだという。
恐怖のあまり私はそのトイレを見学することができなかったが、それから3年後、その意味を理解できるトイレと出会った。
場所は西安より西に110キロ、宝鶏という町にある太白山(海抜3767m)という山に行ったときだ。
山はもちろんトイレがない。
そのため登山口付近で用を済ませる。
「あれがトイレだよ」
現地の人に指差された先にあったのは“便所”と書かれた布きれがぶら下がっている小屋だった。
小屋は6㎡ぐらいでレンガでかなり雑に作られている。
まず小屋から出てくる人を観察してみた。
半分は愛する恋人にあっさり捨てられたような無様にゆがむ顔。
もう半分は見てはいけないものを見てしまったかのような唖然とした顔。
いよいよ私の番である。
中に入るといきなり真っ暗だ。いや、真っ黒だ。そして騒音。
よくみると蠅だ。
蠅が大量発生していた。
トイレで蠅が大量発生。
そのあまりの量に私は一度、足を止めた。
つづく。