ポツダム宣言を受諾して日本は朝鮮・台湾・関東州・南洋諸島そして樺太南部・千島列島の領有権を放棄した。千島列島に関しては、北方領土(いわゆる「北方4島」)以外、要するに得撫島以北を放棄したのであって、択捉島以南は日露和親条約以来の固有の土地であって、そこまでは断じて放棄していないというのが日本政府の立場である。
それはそれでいいのだが、さらに申せば、なるほど樺太南部は放棄したかもしれないが、別にロシアのものとは認めていないのである。実をいえば、国際法上、樺太南部は無主の地である。たとえ、ロシアが実効支配しているとしても。
そのように考えた場合、樺太南部は北方領土返還運動をすすめるうえで「取引材料」になる。これを、安易にロシア領などとは言わない方がよい。日本としては、機会があるごとに樺太南部の領有権はロシアにはないのだということを強調すべきなのだ。いや、強調というより言及するだけでよい。別に、日本領だと主張しなければよいのである。
これを繰り返していれば、さすがのロシアも参ってしまうだろう。とはいえ、日本一国では心もとない。やはり、アメリカの手助けも必要だ。大戦時の一方の雄であり、ポツダム宣言当事国でもある。少なくとも、日米英3か国が南樺太はロシアのものだと認めなければ、ロシアとしては晴れて樺太全土はまぎれもないロシアの一部だと言えないのである。
なぜ、日本政府はそこに目を付けないのだろうかと思う。樺太はロシアのものと認める、そして、樺太の開発にかける資金協力や人材派遣協力はおこなう、だから、その代わりに択捉以南のロシアにとっては小さな島々は返してくれ、軍事基地はそこにはつくらないと約束する。こういうふうに言えば、ロシアだとて、少しはその気になるだろう。
いつまで、効果のない方法をつづけるのだろうか。