フランス:チェルノブイリ原発事故の国民への影響隠す
【パリ福井聡】世界有数の原発大国であるフランスが1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の国民への影響を隠していたと指摘する政府報告書が15日までに明らかになった。仏の反原発団体は「政府は原発事故の影響を過小評価している」と訴えてきたが、その主張を裏付ける内容だ。
◇原発業界に配慮?
AFP通信によると、報告書は事故後、独立機関の物理学者2人によってまとめられたが公表されず、最近、同汚染に関連して起こされた行政訴訟で担当判事がこの報告書を原告側に開示したことから、隠匿が表面化した。
報告書は、国営機関である「放射線予防のための中央サービス」が当時、チェルノブイリからの高レベル放射能汚染物質を含む大気が仏南部やコルシカ島などで検出されたにもかかわらず、正確な情報を提供しなかったなどと指摘している。
反原発団体「脱原発」は「仏原子力産業のイメージを守るため、政府による虚像キャンペーンが存在したことを示すものだ」と非難する声明を出した。
仏は原子炉数が米国に次ぐ世界2位、原子力の発電比率も75%と世界最高水準の原発大国。
(毎日新聞 2005/12/16)